テンバガーを探せ! 10倍儲かる低位株投資術(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)

鮎川 健 (著) 2009年2月27日


○ 私が「低PBR」に拘るワケ
 PBRが1倍割れとなれば、企業の原価より株価が安くお買い得である。さらにその数値が低ければ低いほど企業価値に対して割安である、といわれています。
 例えば、何ら経営状況に問題のない企業の100万円の小切手が50万円で売られていたら、誰だって買うでしょう。
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 言うまでもありませんが、株券は「有価証券」であり、手形や小切手と同等の高い経済的価値を有するものです。
 にもかかわらず、本来100万円の価値のある企業の株券が、50万円で平気の平左で売られている。
 「PBR1倍割れ」とはこのような状態であり、本来あるはずのない現象が株式市場においては横行しているのです(この例でいうと、PBR0.5倍ということ)。
 コレに目をつけない理由はありません。
 また1株純資産額は、仮に企業が廃業し会社資産を行った場合、全ての保有資産を売却し、全ての負債を返済した後の、最後の最後に株主へ分配される金額とされ、別名「会社解散価値」とも称されます。
 1株純資産が200円の銘柄を100円で買い、仮にその企業が廃業・清算される場合、あなたの手元には200円が分配され、この場合、投資したお金は2倍となるワケです。
 このように、1株純資産は企業の原価であり、株価がそれを下回るということは、原価割れを起こしているわけです。「PBR1倍割れ」が割安といわれる所以がそこにあります。
 実際に上場企業が会社解散を行うケースは存在し、近年においても株主へ分配金が支給されました。
(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)

○ 究極のPBR投資
 私のPBR重視株式投資の代表作として、元名古屋証券取引所上場企業で、当時、国内大手先物取引会社だった「グローバリー」があります。
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 2004年8月につけた上場来最高値3980円以後、悪質な経営実態が次々と明らかとなるにつれ、連動するようにグローバリーの株価は下落し、1年後、なんと10分の1の400円前後へと一直線大暴落を引き起こしていました。
 上場廃止発表直近の、グローバリーの1株純資産は1483円でした。先物廃業までは高収益を誇る、あくまで、“収益だけは”超優良企業だったのです。
 その巨額の利益は、バランスシートにも大きく貢献していました。難癖をつけようのない申し分ない素晴らしい財務状況であり、さらに全国各地の一等地に自社ビルを保有しており、いずれも例外なく超優良資産であることは火を見るより明らかでした。
 よって、この400円という株価は、とんでもないバーゲンプライスであり、まさに「ダイヤの原石」です。買わない理由を見つけることは私にはできませんでした。もう。止まりません。
 上場廃止が確定する直前、しかし投資家の間では、「上場廃止か否か?」の思惑が錯綜していた中、大暴落が少し収まった付近から、私は大勝負に出ました。
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 私は、グローバリーの類まれない豊富で優良な資産に着目しながら、主力事業の廃止により企業としての形態が崩壊した後の姿を予想しました。
 ① 会社を清算し、株主へ分配金が支払われる。
 ② 優良資産目当ての、企業・ファンド等により株式買取(TOB)が行われる。
 結果はどうなろうが「株式会社は株主のモノ」であり、当然後に残された遺産ともいえる優良資産も私たち「株主のモノ」なのです。
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 仮に、あまりに不当な評価額でグローバリーを株主から何者かが奪いさるような実態に陥った場合、私は株主代表訴訟も辞さない覚悟でした。遊びではありません。なにせ一世一代真剣勝負の650万円がかかっていたのですから。
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 決着がつくまで最悪2,3年程度の資金ロックは覚悟の上で挑んだこの勝負、確固たる自信こそあったものの、やはり上場廃止銘柄に650万円ブチ込み、平然と構えていられるような図太さを有していたなら、いまだにサラリーマンなんてやっているはずがありません。
 まして、明確な期限も定められていない神経耐久レース、今だから笑い話ですが、かなりこたえました。
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 株式交換を拒否したグローバリー株主に対する価格買取が提示されました。
 買取価格「1株584円22銭」
 翌月の2006年7月、私の投下資金650万円は、1.5倍の1010万円という大台突破を手土産に、舞い戻ってきました。
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 グローバリーを取り巻いた、このような悲観的キーワードのみに流された感情的な株式投資を行っていたならば、この千載一遇のチャンスは決して巡り合うことはなかったでしょう。
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 株式投資に一番大切なモノは、その銘柄事自体の金銭的価値であり、その価値を比較して、高いのか?安いのか?を見る。そして安ければ買う、それだけなのです。
(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)

○ 低PBR投資で株価118倍!
 2000年から2005年にかけて、鉄鋼関連株、いわゆる「テツ」が私の懐を大いに潤してくれました。中でも思い出に残る銘柄が「中部鋼板」です。
 当時、日経平均と連動するように、鉄鋼関連株は軒並み業績不振に喘ぎ、当然株価は下落の一途をたどっていました。
 同社においても、巨額の赤字計上と無配転落により、2002年末には仰天のPBR0.1倍台の73円まで売り込まれるという、破壊的なまでの超低PBR銘柄に成り下がっていたのです。
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 中国が4000年の歴史の中において最高レベルの経済バブルへと突入しました。高層ビル、道路、自動車・・・とにかく鉄が売れまくりました。
 鉄鋼関連が息を吹き返すのは当然の成り行きです。同社においても幾度とない上方修正がリリースされ、同業他社においても軒並み劇的な業績の急回復を遂げるどころか、斜陽産業のレッテルをはられた「テツ」は過去最高益までも更新するほどの稀にみる急成長を遂げたのです。
 鉄鋼業界の回復が確信へと変わった頃、私は2005年12月、1680円で持ち株全てを売却しました。パフォーマンスは5.6倍。日本にいながら中国バブルの恩恵に十分に浴しました。
 このように、かつてゴミのように見捨てられていた超低PBR鉄鋼関連低位株が次々と優良銘柄へと変貌しました。
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 この「“テツ”ドリーム」は、鉄需要のどん底時代に、企業の存続自体が危ぶまれていたのにもかかわらず、結局、上場銘柄のどれ一つとして破綻することなく乗り越えられた、それができるだけの体力が実は各企業にはあったことが重要です。そしてそれが低PBRとなって指標に表れていて、それを発見することができた投資家と、実際に逆境に耐え抜いた企業のコラボレーションにより発生したのです。
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 「株価爆発低位株」投資は、中長期投資が基本スタンスです。時に耐え忍ぶシチュエーションに遭遇する長い夜もあるやもしれません。
(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)

○ 有事の「PBR」
 金の価値はいつの世も不変であり、経済的な事変に最も左右されない国際的に認められた安全な資産、と見られることが多いからです。
 株式投資においては、「PBR」がこれに該当すると私は考えます。
 どれだけ経済情勢が不安定で株価が下落しても、1株純資産200円の会社の株がまあ株価100円になることはあっても20円、はたまた10円になるなんて、まず考えられません。
(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)

○ 低PBR=低破綻リスク
 投資雑誌においての推奨銘柄に手を出す、といったよくあるタイプの株式投資を行っていれば、「破綻リスク」を背負うことはまず考えられません。ただ「値下がりリスク」は、ほぼもれなく背負うハメに陥るのですが・・・。
 しかし、この、個人投資家としての最悪の痴態をさらす行為である「破綻リスク」は、PBRを念頭に置いた銘柄選択を行うことにより、回避することが可能です。
 低PBRとなる原因の一つとして、多額のキャッシュもしくはそれと同等の換金性の高い資産をバランスシートに計上しているケースが多々あります。このような銘柄であれば、当然破綻リスクはより低くなります。
 巨額の赤字や債務超過なんてものは、企業が破綻する要因としては間接的なものです。直接的な要因は唯一つ、「キャッシュの流れが止まる」ことなのです。
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 私の9年間に及ぶ株式投資人生において、破綻銘柄を引き当てた確率から見ても
 低位株=会社が危ない
 という公式は成立しないことが実証されます。
 株価が低位だから企業価値も低いという解釈は大きな誤りです!
(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)

○ 上場廃止によるリスクは十分理解して
 上場企業が証券取引所から退場を命じられるにはそれなりの理由があり、それが、企業経営の根幹を揺るがすような要因で、実際上場廃止の後に経営破綻してしまった企業もぶっちゃけ少なくありません。
 そういったこともあって、「上場廃止=経営危機」といった誤った公式が、個人投資家の脳裏に刷り込まれてしまったのでしょう。
 投資家として上場廃止に伴う最大のデメリットは、著しく売買が制限されてしまうことです。現在のライブドアがどれだけ優良財務であっても、また低PBRであってもライブドア株の売買を受け付けてくれる証券会社はどこにも存在しません。
 買いたい人も、そして売りたい人も自力で相手を探し出さなくてならないのですから・・・。
(第3章 なぜ「低PBR株」なのか?)









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