キャッシュフロー計算書が面白いほどわかる本(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

天野 隆 (著) 2007年7月4日

  目 次
 第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう
  ① キャッシュフローとは”現金などの増減”
  ② キャッシュと利益の違いを押さえよう
  ③ ますますキャッシュフローが重視される
  ④ キャッシュフロー計算書は弟三の財務諸表
  ⑤ 企業経営に与える影響を知ろう
  ⑥ 活用するとさまざまなメリットがある
  ⑦ 他の財務諸表との違いを理解しよう
  ⑧ 営業・投資・財務の三区分で表示する
  ⑨ 企業グループでキャッシュの流れを見る
 第2章 営業キャッシュフローを理解しよう
  ⑩ 本業で獲得したキャッシュの増減を示す
  ⑪ 営業キャッシュフローを把握する方法は二つ
  ⑫ [作り方]間接方で営業キャッシュフローを導く
  ⑬ 経営上では二つのポイントに要注意
  ⑭ 法人税等、割引手形も含まれる
  ⑮ ケーススタディ 営業キャッシュフローのよい会社・悪い会社
 第3章 投資キャッシュフローを理解しよう
  ⑯ 企業の投資政策を表す
  ⑰ [作り方]投資キャッシュフローを把握する
  ⑱ 自由に使えるフリー・キャッシュフロー
  ⑲ フリー・キャッシュフローで経営を判断する
  ⑳ 使い道は経営者の手腕の見せどころ
  ㉑ 設備投資は適正な基準を持って行う
  ㉒ ケーススタディ フリー・キャッシュフローのよい会社・悪い会社
 第4章 財務キャッシュフローを理解しよう
  ㉓ 財務キャッシュフローは営業、投資を補う
  ㉔ 借入金の増減は安全性を反映している
  ㉕ [作り方]財務キャッシュフローを把握する
  ㉖ キャッシュの増加はここに注目して分析
  ㉗ ケーススタディ 当期キャッシュフローを比べる
 第5章 キャッシュフロー計算書はこう活用しよう
  ㉘ 自由資金比率に注目して企業を分析しよう
  ㉙ 自由資金比率で資金体質を把握できる
  ㉚ 自社の資金体質を把握してみよう
  ㉛ キャッシュフローを重視して経営改善する
  ㉜ 取引先の資金体質を分析してみよう
  ㉝ 融資先・投資先の選別材料として使おう
  ㉞ 提携先・買収先の選択材料として使おう
  ㉟ 優良企業のキャッシュフロー計算書を見てみよう

 「第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう」では、キャッシュやキャッシュフロー計算書の特徴やその活用性などについて紹介されている。例えば、キャッシュフロー計算書とは現金・預金および現金同等物の増減を3つの区分に分けて算出過程を表したものであることなどが説明されている。

 「第2章 営業キャッシュフローを理解しよう」では、営業キャッシュフローの特徴や重要ポイントなどについて紹介されている。例えば営業キャッシュフローとは、外部からの資金調達に頼ることなく営業活動からキャッシュを獲得したかを示したものであることなどについて紹介されている。他にも、健全である企業は通常、営業キャッシュフローがプラスになることや、改善するための方法などについて紹介されている。

 「第3章 投資キャッシュフローを理解しよう」では、投資キャッシュフローやフリー・キャッシュフローの特徴などについて紹介されている。例えば投資キャッシュフローとは投資活動によって生じたキャッシュの増減を表したもの。フリー・キャッシュフローがプラスであることが企業にとって望ましいことなどについて紹介されている。

 「第4章 財務キャッシュフローを理解しよう」では、財務キャッシュフローの特徴やチェックポイントなどなどについて紹介されている。例えば、財務キャッシュフローとはどの程度の資金が調達または返済されたかを示したもの。チェックポイントは借入金が増えているか減っているかを確認することなどを挙げている。

 「第5章 キャッシュフロー計算書はこう活用しよう」では、キャッシュフロー計算書を活用した指標の求め方や選択材料の判断など、さまざまな活用方法について紹介されている。例えば、キャッシュフロー計算書から自由資金比率を求めることで自己資本増加に対するフリー・キャッシュフローの割合を求めることができたり、銀行などはフリー・キャッシュフローで融資先や投資先を判断していることなどについて紹介されている。

○ 現金・預金とは手元現金と普通預金、当座預金、通知預金 - 1.キャッシュフローとは“現金などの増減”
 キャッシュとは、現金・預金および現金同等物のことです。
 現金・預金とは、手元現金と要求払預金のことをいいます。
 要求払預金とは、預金者が事前に通知することなく自由に引き出すことのできる普通預金、当座預金、または数日前に事前通知することによって、自由に引き出すことのできる通知預金を指します。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 容易に換金可能であることが現金同等物の条件 - 1.キャッシュフローとは“現金などの増減”
 現金同等物とは容易に換金可能で、価格の変動についてわずかなリスクしか負わない短期投資のことを指します。価格の変動について僅少なリスクしか負わない金融商品への投資であっても、その運用期間が比較的長期のものについては現金同等物になりません。
 現金同等物には、取得日から満期日または償還日までの期間が三カ月以内の短期投資である定期預金、譲渡性預金、コマーシャル・ペーパー、売戻し条件付現先、公社債投資信託があります。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 現金・預金および現金同等の増加・減少を見る - 1.キャッシュフローとは“現金などの増減”
 キャッシュフローとは以上のような現金・預金および現金同等の増減のことを指します。すなわち手元現金、普通預金、当座預金、通知預金、現金同等の増加または減少のことを意味します。
 キャッシュフロー計算書は一定期間(会計期間、通常は一年間)におけるキャッシュフローの状況を一定の活動に区分して、期末の現金・預金および現金同等の算出過程を表したものです。つまり、期首の現金・預金および現金同等物にキャッシュフローの増減額を足し、期末の現金・預金および現金同等物を示します。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ キャッシュと利益の違いはお金のやりとりとモノのやりとりが同時でないことから生じる - 2.キャッシュと利益の違いを押さえよう
 毎日の企業活動において、モノやサービスを提供すると売上げが計上されます。また、モノやサービスを提供して入ってきた収入を売上収入といいます。ところが、現実にはモノやサービスの提供と代金の回収は同時に行われないのが普通です。
 これは支払の場合にも同じことがいえ、購入した原材料の代金を費用として計上して、いても、実際には支払っていない場合があります。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ キャッシュ不足が会社のピンチを招く - 3.ますますキャッシュフローが重視される
 キャッシュが不足すると支払いができなくなり、最終的には会社の存続が不可能になります。
 まず、銀行取引が停止されます。手形の金額より預金残高が少ないと、預金不足の手続きが必要になります。これを不渡りといい、不渡りを六カ月以内に二度起こすと銀行取引停止になります。これを通常、倒産といいます。
 また、会社の信用がなくなり、次回から材料や商品が買えなくなります。また、人を雇うこともできなくなります。
 このほかにも人件費・経費が払えなくなったり、設備投資ができなくなるなど、さまざまな問題が発生します。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 適切な資金管理を行える - 5.企業経営に与える影響を知ろう
 キャッシュフロー計算書は、企業が営業活動を通じて、どれだけの資金を獲得し、このうちどれだけを投資活動に振り分け、また、株主に配当したり効果的に運用したかを明確に表す計算書です。

 キャッシュフロー計算書は現金主義の考え方で、「現実にどれだけ現金が入ってきて、どれだけ出ていったか」を明確に表示します。このため黒字倒産、つまり「利益があっても現金不足で倒産」という事態を避けることができます。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ ライバル会社との比較が可能 - 5.企業経営に与える影響を知ろう
 キャッシュフロー計算書は現金・預金と現金同等物の増減のみにスポットを当てているため、事実のみが浮かび上がってきます。このため会計基準の異なる企業との比較も可能になり、同業他社との業績の比較も簡単に行えます。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 意思決定の指標が変わる - 5.企業経営に与える影響を知ろう
 これまで企業の意思決定で重要なポイントになっていたのは、「利益を上げられるのか」でした。キャッシュフロー計算書を導入することにより、企業の意思決定は「キャッシュフローがよくなるか」、すなわち「現金を獲得できるか」に変わります。
 経営者は、M&Aなどで買収企業を評価する場合、また設備投資などの経営戦略上の意思決定をする際に、将来獲得できるキャッシュの多寡を現在価値にして判断するようになります。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ キャッシュフロー計算書は企業の新しい成績表 - 6.活用するときのさまざまなメリット
 キャッシュフロー計算書は数々の情報を与えます。
 キャッシュフロー計算書を利用する人は、そこに表された情報を分析することによって企業の戦略や活動状況を読み取ることができます。
 具体的に言うと、企業の純資産や財務構造の変化、投資活動や支払能力の変化など、企業が生き残っていくために、最も重要となるキャッシュフローを生み出す能力についても評価することができます。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 投資家は判断材料としておおいに活用すべき - 6.活用するときのさまざまなメリット
 キャッシュフロー計算書は企業の状態を如実に表しますから、投資家の判断材料としておおいに利用されることになるでしょう。
 まず、キャッシュフロー計算書を時系列で分析することにより、拠出した資本を効率的に使っているかどうかを判断することができます。
 また、将来のキャッシュを生み出す経営を行っているかどうかで、企業の将来も判断できます。現在のキャッシュ残高は過去の経営戦略の結果であり、これが今後も増加するという保証はありませんが、キャッシュ増減の推移や設備投資、借入金などから、今後を予測することができます。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ キャッシュの増減と経営活動をありのままに表す - 7.他の財務諸表との違いを理解しよう
 貸借対照表と損益計算書では、キャッシュの動きを把握することはできませんでしたが、キャッシュフロー計算書はその点を明確に表します。また、貸借対照表と損益計算書を細く説明する形で、経営活動の目的や意図および行動も映し出すことができます。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 利益の内訳も示し企業の資金体質がわかる - 7.他の財務諸表との違いを理解しよう
 企業を人間の体にたとえると、貸借対照表はある時点の体重を表すといえます。損益計算書は一年前と今とで体重がどれだけ増えたのかを表します。
 キャッシュフロー計算書は増えた体重の内訳を表し、よい筋肉がどれくらい増えたのか、あるいは悪い脂肪がどれくらい増えたのかがわかります。筋肉とは企業にとって商売で稼いだ現金の残高であり、脂肪は借入金の残高と考えられるでしょう。

 キャッシュフロー計算書で、体重が筋肉(営業活動で増えた現金)で増えたのか、脂肪(借金)で増えたかがわかります。大切なのは現金です。たとえ体重増が少なくても筋肉による増加ならよいのです。すなわち、利益がそのまま現金になっていればよいのです。逆に体重が大幅に増加しても、それが脂肪による増加だといけません。すなわち利益が増えていてもそれが借入金による増加では企業の資金体質は悪化します。
 このようなことがキャッシュフロー計算書からわかるとイメージしてください。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 三区分により企業の活動状況を分析できる - 8.営業・投資・財務の三区分で表示する
 キャッシュフロー計算書では、キャッシュの流れをわかりやすく三つに分けました。
 その区分とは、営業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローです。三つの区分したことによって、単なるキャッシュの増減だけでなく、どのような活動でキャッシュが増減したのかもわかるようになり、企業の活動状況を分析できるようになりました。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ いちばん重要なのは営業キャッシュフロー - 8.営業・投資・財務の三区分で表示する
 営業キャッシュフローとは、商売上の取引によるキャッシュの流れを把握するためのものです。
 企業が外部から資金調達に頼ることなく、営業能力を維持し、商品を仕入れ、営業費をかけて売上を上げることにより、どの程度の現金・預金および現金同等物を主たる業務から獲得したのかを示します。
 日々の企業活動がそのまま反映されるので三つのなかではいちばん重要なものといえます。企業が本業から生み出すことができる手元資金を示し、キャッシュはたまっていく方向にあるのか、そうでないのかを見極めることができます。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)

○ 当期のキャッシュ増加に期首残高を足すと期末の残高 - 8.営業・投資・財務の三区分で表示する
 投資キャッシュフローは、将来の利益獲得および資金運用のために、どの程度の資金を設備投資に支出し、または回収したかを示します。とくに企業の投資政策をみる重要な情報源となります。
 財務キャッシュフローは、どの程度の資金が調達され(借入れが行われ)、また返済されたのかを示します。
(第1章 キャッシュフロー計算書の基本を押さえよう)









                                                             第2章 →
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