キャッシュフロー計算書が面白いほどわかる本(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

天野 隆 (著) 2007年7月4日


○ 投資活動によって生じたキャッシュの増減 - 16.企業の投資政策を表す
 キャッシュフロー計算書の投資キャッシュフローの区分には、投資活動によって生じたキャッシュの増減が記載されます。
 これは将来の利益獲得および資金運用のために、どの程度の固定的な資金を支出し、または回収したかを示す情報となります。
 具体的な取引について説明します。
 最も一般的なのが有形固定資産、無形固定資産の取得および売却です。有形固定資産とは土地、建物、車両運搬具、備品、機械装置などです。無形固定資産とはのれん、特許権、電話加入権、借地権などです。すなわちこれらの取得及び売却は投資キャッシュフローに区分されることになります。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 貸付金や有価証券に関連した取引は投資に区分 - 16.企業の投資政策を表す
 そのほかに、貸付金の支出及び貸付金の回収による収入、そして、現金同等物に含まれない有価証券、投資有価証券の取得・売却といった取引によるキャッシュフローも投資キャッシュフローに区分されます。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 資産を獲得すると現金は流出する - 17.投資キャッシュフローを把握する
 固定資産とは、営業上必要な建物・工場、車両運搬具、備品、土地、機械装置などで、耐久性のあるものを指します。
 これを買った場合は、費用とせずに資産として計上することになっています。

 これをキャッシュフローの立場から考えると、営業上必要な建物や車両運搬具などを購入し、実際に現金が出ていることになります。
 すなわち固定資産が増えると現金は出るのでマイナスになり、固定資産が減る(売却)と現金は増えるのでプラスになります。この関係に注意してください。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 投資活動によって生じたキャッシュの増減 - 18.自由につけるフリー・キャッシュフロー
 キャッシュフロー計算書を見る時に、最も注目すべきはフリー・キャッシュフローの多寡です。

 フリー・キャッシュフローとは、文字通り企業が自由に使えるキャッシュフローのことです。すなわち自由に使える現金・預金および現金同等物です。
 フリー・キャッシュフローは本業で稼いだ営業キャッシュフローから、現事業を維持するために必要な資金を差引いて(投資キャッシュフローを足して)算出されます。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 投資活動によって生じたキャッシュの増減 - 19.フリー・キャッシュフローで経営を判断する
 フリー・キャッシュフローがプラスなら会社の経営は良好、ゼロまたはマイナスなら悪いというのが基本的な考え方です。
 財務内容の改善や新規分野への投資は、フリー・キャッシュフローがプラスになってはじめてできることです。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 今使うか将来のために残すか? - 20.使い道は経営者の手腕の見せどころ
 そのほかフリー・キャッシュフローの使い道として、配当金の増減、自社株買入など株主への還元、新規設備投資やM&A(企業買収・合併)などが考えられます。株主還元は高株価により資本市場からの資金調達を容易にし、また、戦略的な設備投資は将来より多くの営業キャッシュフローを稼ぐ意図が見られます。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 設備投資は営業キャッシュフローの範囲内で行う - 21.設備投資は適切な基準をもって行う
 これからはキャッシュフローを重視し、いくらまでなら投資をしたらよいかという適正基準が必要になります。
 それは、設備投資は五年平均で考え、営業で稼いだキャッシュフローの範囲内で行うことです。すなわちフリー・キャッシュフローがプラスの範囲です。

 フリー・キャッシュフローがマイナスになると、新規借入や社債発行などによって外部から資金を調達するか、今まで蓄積したキャッシュを取り崩して不足資金を補う必要があります。
 営業資金の不足が一時的なものであれば問題ないのですが、これが恒常的になると企業の存続が危ぶまれ、いずれ倒産の可能性が出てきます。
 さらにフリー・キャッシュフローを増やすためには、現状維持のための支出を減価償却費分だけにとどめ、投資キャッシュフローを常に最低限度にとどめておくというのも一つの目安でしょう。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)

○ 営業キャッシュフローをすべて投資に回すのは危険 - 22.フリー・キャッシュフローのよい会社・悪い会社
 営業キャッシュフローをすべて使ってしまうような投資は危険です。
 投資は五年平均で営業キャッシュフローの範囲内で行うのが理想的です。

 また、得意先の倒産などで期待していた売掛金が突然回収できなくなったなどのアクシデントに見舞われたときも、多額の借入金を必要とします。
 銀行がすぐに新規借入れを承認してくれればよいのですが、実際には難しいでしょう。過剰な設備投資を行っている企業はたとえ担保があっても新規融資は受けにくいのが現状です。
(第3章 投資キャッシュフローを理解しよう)









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