株式投資塾 これだけ知っていれば失敗しない!(1章 誰もが教えないことについて)

成田 青央 (著) 2003年10月

  目 次
 1章 誰もが教えないことについて
  1. アナリストと株式評論家は“株を買え”と言えば稼げるので、自分は売買しない。
  2.罫線やソフトの販売会社はそれを販売すれば儲かるのであって、実際に儲かるかどうかは興味が無い。
  3.証券会社や株式雑誌は万年強気でいつも買え買えだが、売れとは言わない。言ったとしても乗り換えを勧誘する。
  4.ファンダメンタル分析をする人に質問です。あなたは証券アナリストより正確な情報を取れて分析ができるのですか。
  5.テクニカル分析をする人に質問です。あなたはテクニカル通りに売買できますか。
  6.ファンダメンタル分析とテクニカル分析を使いこなす人に質問です。あなたは本当に儲かっていますか。
  7. 一般投資家は株価分析の意味を知らない。これは株価が上がるのか下がるのかの分析であって、儲かるか損するかを教えてくれない。
  8.株価の天底を当てることと儲けることは同じではない。
  9. 一般投資家は株価分析はできても、それを使った利益の出し方を知らないから儲からない。
  10.投資は情報で決まるという人に質問したいこと
  11.伝言ゲームとインサイダー取引について
  12.合理的期待形成論と「風が吹くと桶屋が儲かる」は同じ意味
  13.証券会社が顧客に売る投信の元本割れは、自己責任の名の元に損失を押し付ける。
  14.証券会社の自己売買部門はなぜいつでも黒字なのか。
  15.株式投資で儲けるためには何が必要か。
  16.儲けるにはあなた自身が訓練すること
  17.資金についての誤解
 2章 投資信託は儲かるか
  1. 投資信託の仕組みについて
  2.投資信託はベンチマークとの勝負である
  3.アクティブ型投資信託について
  4.パッシブ型投資信託について
  5.国内の投資信託運営会社はどうやって儲けているのか
  6.海外の特別な投資信託について
  7.CTA(先物投資専門の投資信託)について
  8.CTAの内容について
  9.ヘッジファンドについて
  10.ヘッジファンドの内容について
  11.投資信託はどのくらい儲かるものか
  12.相対的利益と絶対的利益について
  13.投資信託ではTOPIXを上回れば成功
  14.ヘッジファンドやCTAの目標は年間20%
  15.企業業績は総資本利益率7%で一流企業
  16.機関投資家と個人投資家の違い
 3章 株式投資で準備すべき道具
  1. 場帳 - 保有投資の終値を記入するノート
  2.グラフ-相場の傾向をみる
  3.建玉帳-損益を記入する物
  4.資料-投資判断に必要
  5.投資技術-練習により向上する
  6.パソコン-手数料が安くなるのであればお得
  7.資金はどのくらい必要か
 4章 株式投資の基本の基本
  1. 株価分析は後回し、まずは投資の基本のお勉強
  2.順張りと逆張りについて
  3.順張り(トレンドフォロー型)について
  4.順張りは従来相場の高値抜けか安値抜けの銘柄を売買すること
  5.投資信託運用者は順張りがお好み
  6.逆張りにつて
  7.逆張りは安定してうねりを見せている銘柄を売買すること
  8.具体的に逆張りの方法論
  9.心理的なストレスがかかる逆張り
  10.逆張りは人間にしかできない高等技術
  11.損切りについて
  12.空売りについて
 5章 日本株デイトレードについて
  1. デイトレードの優位性
  2.どんな銘柄をトレードするか
  3.板情報について
  4.デイトレードの具体的な方法について
 6章 投資に対する心構え
  1.心構えの必要性
  2.投資哲学は持っていますか
  3.投資技術は持っていますか
  4.投資に関する正しい知識はどのくらいお持ちですか
  5.勝つためには運が必要
  6.勝ち続けるためには技術が必要
  7.投資と投機とギャンブルの違い
  8.パソコンの使い方
  9.どのようなパソコンを選ぶのが良いか
  10.ゲームとレースの違い

  「1章 誰もが教えないことについて」では、アナリストや証券会社の実態などについて紹介されている。例えば、アナリスや株式評論家が作成するレポートは個人投資家にとって役に立たないことや、証券会社の投資信託部門は赤字で自己売買部門が黒字である実態などについて紹介されている。

 「2章 投資信託は儲かるのか」では、投資信託とヘッジファンドの種類や違いなどについて紹介されている。例えば、投資信託は投資家から手数料というかたちで確実に儲かり、損は自己責任の名の元に投資家だけが損をする仕組みであることや、ヘッジファンドは投資家と運命共同体で、運用に失敗すれば給料は0であることなどを説明している。

 「3章 株式投資で準備すべき道具」では、株式投資を行う上で必要な道具などについて紹介されている。著者は場帳、グラフ、建玉帳、新聞と四季報だけを活用し、終値を記入するという単純な手法だけで年間20%ぐらいの利益を出していることを紹介している。

 「4章 株式投資の基本の基本」では、順張り投資と逆張り投資について紹介されている。例えば、順張り投資は年間の2割しか儲かるチャンスが無いので5銘柄以上は保有する必要性があることや、逆張り投資は損から入るかわりに勝率が高いことなどについて説明している。

 「5章 日本株デイトレードについて」では、デイトレードの特徴や投資方法などについて紹介されている。例えば、デイトレードは少額の利益を積み重ねてく投資方法であることや流動性を確保できる銘柄で投資すること、体調が悪いときなどは控えることなどを挙げている。

 「6章 投資に対する心構え」では、投資の心構えなどについて紹介されている。例えば、株式投資では感情的になってはいけないことや場帳をつけること、講演会などで個人投資家を鴨にする輩がいることや、暴落がチャンスになることなどを挙げている。

○ 1.アナリストと株式評論家は“株を買え”と言えば稼げるので、自分は売買はしない。
 株式を売買する時に参考になる情報源として、雑誌や証券会社のアナリストや有名な株式評論家のレポートなどを読まれると思います。
 しかし、本当にそのレポートの銘柄を売買して儲かりましたか。私の知る限り、株式レポートで推奨される銘柄を売買して儲けたという話を聞いたことはほとんどありません。
 たまに、推奨銘柄を売買して儲けたという人もいますが、その儲けたお金で、次の推奨銘柄を売買したら損してしまい、トータルで計算すると収支は赤字になった、という人がほとんどです。
 ではなぜ、推奨銘柄の売買では儲けることができないのでしょうか。まず言えることは、アナリストや評論家の仕事は、株式については後付けの説明や理屈付けをすることであり、その理屈付けでお給料をもらっているのです。
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 みなさん、考えてみてください。証券会社に大きい手数料を支払ってくれるのは会社の上場や株式増資・会社買収・債券発行などをする大会社です。ほかにも機関投資家が億単位で出す注文や、これまた億単位で取引してくれる大口投資家などです。この人たちが、証券会社の経営に貢献してくれる主要顧客なのです。
 ですから、アナリストたちは、この人たちの利益に貢献するために、レポートを作成するのです。
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 例えばIPOで某ハンバーガーチェーンの株式のレポートを見た時、価格が高すぎるので驚きました。確かに高い株価で上場すれば、発行元である会社は多額の資金を調達できるので良いですし、上場の手伝いをした証券会社も会社に感謝されます。“貴社のおかげで資金調達がうまくいった”と言われ、多額の手数料を得ることができるのです。
 しかし資金を提供する投資家の側からすれば上場価格より株価が上昇しなければ儲けは出ないのです。よく考えてみてください。結局のところ、このIPOで儲けたのは上場会社と上場の手伝いをした証券会社です。アナリストは、自社と上場会社を儲けさせるべく彼らに有利なレポートを書くのです。
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 ですから、彼らのレポートは、自社の利益のためであり、投資家に儲けさせるためにレポートを発行するのではないということを覚えておいてください。

 次は株式評論家についてです。この人たちは責任を取らない人たちです。通称“お風呂屋さん”(お湯だけを売っている→言うだけを売っている)という人たちです。皆さん、考えてみてください。彼らの言うことが本当に正しいならそんな評論はしないで、自分で株式を売買して儲けるはずです。それをしてないということは、彼らは自分で株式投資では儲けられません、と宣言しているようなものです。
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 では、私たちは、どんなアナリストを信用すればいいのでしょうか。まず独立系のいわゆる、ひもが付いていないことが絶対条件です。そうでなければ好きなことは言えません。それから、実際に投資で稼いだ経験のある人。つまり現場で売った買ったをやったことがある人。ほかにも大切なことは、上手に文章が書ける人で物事を合理的に説明できる人です。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 2.罫線やソフトの販売会社はそれを販売すれば儲かるのであって、実際に儲かるかどうかは興味がない。
 投資関連の雑誌の広告や書店の株式関連の棚には、必勝の罫線とかトレーディングシステム入門など、こうすれば儲かるという投資の方法がよく売られています。
 しかし本当に儲かる方法を本などで発表するでしょうか。
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 要するに、“俺はこうやって稼いだんだ、皆も真似したらどうだ、もしかしたら、俺みたいに稼げるかもしれないぞ”という主張をしているのだと思います。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 3.証券会社は株式雑誌は万年強気でいつも買え買えだが、売れとは言わない。言ったとしても乗り換えを勧誘する。
 証券会社のレポートをご覧になったことはありますか。
 “割安銘柄のレポート”、“当社一押しの銘柄”、“これから成長が期待できる銘柄”などなど、とにかく買ってください、という銘柄がたくさん出てきます。しかし、いまだかつて、割高銘柄やこれから企業業績の下方修正が予想される銘柄のレポートを見たことがありません。
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 株式雑誌の場合は別の理由で買い推奨しかしないのです。
 雑誌の運営は、基本的に企業からの広告収入が主要な収入源になっています。企業としては、発行部数の多い株式雑誌に広告をだし、無言の圧力をかけ、会社の良い点だけをこれでもかと記事にさせ、自社の株式を買うことを投資家にアピールしているのです。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 5.テクニカル分析をする人に質問です。あなたはテクニカル通りに売買できますか。
 テクニカル分析が当たるという根拠は、
  “株価は群衆心理(集団のヒステリーの感情)で動いている”
  “歴史は繰り返す”
 という2つです。
 まず株価は群集心理で動いているという意見についてですが、人間なら誰しも感情を持っています。特に株式投資では、“恐怖と欲望”の2つの感情で動いています。
  ・損したらどうしようという恐怖の感情
  ・どこで利益を確定させよう、株を売った後に株価が上がったら損だ、できれば天井で売りたい、という欲望の感情
 この2つの感情を表したものこそがチャートであり、それを分析するテクニカル分析こそが、相場の天底を当てる最適の方法だと信じている人たちが使う株価分析の方法です。
 そして、「歴史は繰り返す」というのは、どんなに人類が進歩しても人間としての感情を持っている限り、過去の人間と同じような反応をするであろうという前提のもとに作られた理論です。
 この2つを組み合わせて考えた場合、確かに当たっています。例えば、日本では80年代のバブル相場、インターネットバブルのIT相場、アメリカでのニューエコノミー相場、東南アジアのバブル相場など、いくつでも例を挙げれます。
 チャート上では、ほとんどすべての相場が同じ形をしています。つまり、急上昇と急降下の組み合わせです。
 以上のことから考えますと、確かに合理的な理由では説明できません。しかし、経験則ではテクニカル分析は当たります。人間である限り、人間が欲望と恐怖を持つ限り、テクニカル分析は投資で有効な武器となります。
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 知っていますか、アメリカンの投資サービスには、自分で作ったテクニカル分析と資金管理システムを他人に運用させるサービスがあるのです。
 サービス会社のオペレーターに、このテクニカル分析で買いサインがでたら株を買いこの売りサインが出たら売ってくれ、損切りはいくら損したらしてくれと、お願いするのです。
 これがテクニカル分析をうまく使う秘訣らしいのです。自分で運用すると欲がからんで運用できないので、人に任せて機械的に運用する。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 6.ファンダメンタル分析とテクニカル分析を使いこなす人に質問です。あなたは本当に儲かっていますか。
 テクニカル分析は人間の感情と言いますか、群集心理をなんらかの数字やチャートの形で判断する分析方法ですが、人間の感情は数値化できませんし、時々、激情(今風ですと“キレる”と言う奴ですか)にかられ、予測不可能な状態に陥ります。
 ですから、ある程度の範囲で株価の予測はできても、時々、信じられない事が起こり、予測が外れるのです。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 7.一般投資家は株価分析の意味を知らない。これは株価が上がるか下がるかの分析であって、儲かるか損するかを教えてくれない。
 株価分析はこれから株価がどちらかに動くのかを何らかの方法で予測または予言することです。ですから、予言にもとづいて株式を売買したところで、儲かるはずがないのです。
 あくまでも、株価分析の本質は予言です。当たるも八掛当たらぬも八掛、相場の世界では信じる者は救われませんから、あまり深入りしない方がいいと思います。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 8.株価の天底を当てることと儲けることは同じではない。
 さて、みなさんが株式投資で儲けるためには、テクニカル分析やファンダメンタル分析を使い、株式相場の天底を当て、底で買い天井で売る。これこそが株式投資の成功の王道だと考えている方がほとんどだと思いますが、それははっきりいって大間違いです。
 第一、相場の天井と大底というものは、後付けの説明でしか分からないのです。ほとんどのチャートの本は1番天井とか2番天井で売りなさいとか言っていますが、これは後付けの説明だからできるのであって、現実に今日の株価が天井か大底かなど分かるわけがないのです。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 11.伝言ゲームとインサイダー取引について
 “あなたはその情報を誰から聞いたのですか。”
 証券会社経由の場合、少なくともあなたより前に証券会社や機関投資家などがその情報を利用して株式投資をしています。ですからあなたがババを引かされる可能性は大変高いです。
 同僚や同業者経由の場合も同様に、その情報を利用して株式投資をしている人は確実に存在します。自分だけがその情報で儲けられるわけがありません。この世界そんなに甘くありません。
 結論としていえることは、あなたが情報で儲けようと思ったら、情報の発信者になるしかありません。しかし、世の中には、“風説の流布”という規則がありまして、故意に情報を流し儲ける事は犯罪なのです。
 分かりましたか、極秘情報をつかみインサイダー取引で儲けようとしても、その情報そのものが真実かどうか分かりませんし、情報をエサに、あなたは鴨にされているかもしれません。故意に情報操作をしようとすれば、証券取引法違反により犯罪で捕まります。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 12.合理的期待形成論と「風が吹くと桶屋が儲かる」は同じ意味
 “その情報は既に折り込み済み”という言葉を1度くらい聞いたことがあると思いますが、これはどういう意味かあなたは知っていますか。
 この言葉は、簡単に言えば、“相場の参加者はすべての情報を知っていてその情報を元に自分の利益が最大になるように合理的に行動する”というものです。
 ですから、将来に高い確率で起こりそうな事はすでに株価に織り込まれており、その事が実際に起こっても株価は反応しないのです。
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 湾岸戦争時の石油相場ですと、1回目の戦争では戦闘開始時まで石油の値段は上昇し、戦争が始まると下落しました。
 2回目の湾岸戦争の場合も、戦争開始時まで石油相場は上昇すると思われました。しかし、1回目と違い、開戦時ではなく宣戦布告時に石油相場は下落しました。これは前回開戦時が石油相場のピークだったので、今回はそのピークの前に石油を売るのが合理的だと判断した人たちが大勢いたためです。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 14.証券会社の自己売買部門はなぜいつでも黒字なのか。
 証券会社が、自社の顧客のために株式を運用する投資信託はほとんどが赤字運用です。また、自分の財布が痛むわけではないのですから、特に問題はないのでしょう。なんだかんだ言ったところで、他人のお金ですからね。それに運用に失敗したからといって、損は顧客に押し付けるわけですし、自分たちは信託報酬をもらうわけですから、証券会社は損しません。
 しかし、自分の財布に直結する自己売買部門はほとんどが黒字です。それはそうでしょう。自己売買部門の株式売買の失敗は直接自分の財布に響きますから、真剣さの度合いが違います。
 例えばですよ、あなたが友人から「1万円預けるから競馬で稼いでくれ。でも損してもいいよ」と言われたらどうします。現実社会でこのような“お人好し”はいないと思うでしょうが、投資信託を購入するということはこういうことなのです。
(1章 誰もが教えないことについて)

○ 16.儲けるにはあなた自身が訓練すること
 冷静に少し考えれば当たり前のことが、お金がからみ欲の皮が突っ張ると、こんな基本的なことまで分からなくなってしまいます。
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 あなたが他人の言葉で投資信託をし、損失が出た場合、そのアドバイスをした他人は責任を取ってくれますか。
 取ってくれるわけがないでしょう。あなたが自分で決めたのですからと逃げを打たれることは確実です。しょせん他人ですからそんなものです。突き詰めれば、あなたはお金を払って安心や失敗の言い訳を買っているのです。
 “あの人が勧めたから買ったのに損した”とか、“あの雑誌が推奨したのに損した”、“証券会社のレポートなど当たらないじゃないか”など、よく聞く言葉ではありませんか。
 あなたはどうですか、他人に責任を押し付け、自分はいつでも正しいと思っている。違いますか。それではいつまで経っても、株式投資の成功は訪れません。
 株式投資で儲けを出すには、儲けを出すための考え方とやり方を身に付けなければいけません。そしてそれは、個人個人が訓練の末に身に付けてゆくものなのです。
(1章 誰もが教えないことについて)

 









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