株式投資塾 これだけ知っていれば失敗しない!(2章 投資信託は儲かるのか)

成田 青央 (著) 2003年10月


○ 1.投資信託の仕組みについて
 現実の、特に日本の投資信託は、投資家から手数料をボッタクるために存在しているのです。要するに、証券会社の金のなる木なのです。
 はっきり言えば、“飛んで火にいる夏の虫”ぐらいにしか考えていないのです。私の経験から言えることは、証券会社は一般投資家にはまず、リスクの少ない、つまりあまり変動率の大きくない投資信託を勧めます。
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 で、しばらくすると、何か投資信託を購入しませんかと勧誘が始まります。そして、証券会社の勧誘に乗って投資信託を購入し1カ月くらいしますと、また電話がかかってきます。
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 一般投資家という名の鴨から手数料をボッタクっているのです。よく考えてください。証券会社は損は1円もしていないのです。投資家には自己責任の名の元に損失を押し付け、自分たちは売買の度に手数料収入を得ているわけです。このようにして証券会社は投資信託を使い、稼いでいるわけです。
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 どうです、儲かる商品でしょ(証券会社にとっては)。ですから、投資信託を売買する場合は、手数料などのコストを考えた上で投資してください。そうしないと、とりあえず儲かったけど手数料の分で損をした、というなんとも笑えない話になってしまいます。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 2.投資信託はベンチマークとの勝負である
 ノーベル賞を受賞した経済学者が“市場こそが最適ポートフォリオである”ということを論証したからです。
 分かりやすく言いますと、市場には無数の銘柄があります。そのうちで、いくつかの銘柄を組み合わせてポートフォリオ(投資信託のこと)を作ったとします。当然、無数の組み合わせができます。そして、無数のポートフォリオの組み合わせのうち、最適な組み合わせのもの、つまり、リスクとリターンのバランスが最も優れているのは、市場銘柄すべてで構成されたポートフォリオであるということを証明したのです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 3.アクティブ型投資信託について
 ・グロース型投資信託
 まず、グロース型投資信託についてですが、この投資信託は、成長が見込まれる企業の株式を購入し、企業が成長することで株価が上昇し儲けることができると期待できる銘柄で構成されている投資信託です。
 一般的にグロース型投資信託は、発展途上国ファンドや中小株ファンドや、これから爆発的な経済成長が予想されるセクターのファンドがパフォーマンスが良いようです。
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・バリュー型投資信託
 次に、バリュー型投資信託についてです。この投資信託は簡単に言いますと、何らかの方法で、大体は企業のファンダメンタルを分析し、その結果、企業の株価が企業価値に比べて割安に放置されていると考えられる企業の株式を購入し、あるべき価値になったら株式を売却し儲けようという方針で運営されている投資信託のことです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 4.パッシブ型投資信託について
 パッシブ型投資信託というものは、簡単に言えば何かのINDEXと同じ動きをする投資信託のことです。
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 それに加えて、運用成績についてですが、現代の投資理論では、リスクとリターンのバランスが最適の投資信託は市場(INDEX)と同じ動きをするファンドであるということが、数字的に論証されています。
 現実に、世の中の投資信託の8割以上はINDEXに負けています。真実を言いますと、長期間、例えば10年間連続して、INDEXより成績の良い投資信託は、存在する全投資信託の中でも5%もありません。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 5.国内の投資信託運営会社はどうやって儲けているのか
 つまり、投資信託の運用会社は、運用成績にかかわらず集めた運用資金によって報酬が決まるのです。有体(ありてい)に言えば、投資信託の大きさが大きいほど儲かるのです。某A証券が設定した1兆円ファンドの場合信託は1.9%です。よって、A証券の運用チームの年間利益は運用成績にかかわらず、何と年間190億円の収入となるのです。しかも、この信託手数料は運用成績にかかわらず、投信を保有する限り、毎年、ファンドから天引きされるのです。
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 次に販売手数料です。証券会社は、顧客に投資信託を販売する際には、数%の手数料を取っています。
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 最後は解約手数料です。*兆円ファンドは換金時に0.3%の手数料を取っています。これは損しようが儲けてようが払わなくては、現金は手元に入りません。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 6.海外の特別な投資信託について
 日本以外の国にも当然、投資信託というものは存在しています。しかし、日本の投資信託と違い、プロのファンドマネージャーが、責任と誇りを持って投資信託を運営しているのです。
 はっきり言えば、日本の投資信託のファンドマネージャーは、サラリーマン・ファンドマネージャーです。
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 一方、海外の特に欧米のファンドマネージャーはどうかと言いますと、この人たちは完全なプロフェッショナルです。日本語で言い換えれば、
 “専門技術の商売人”という人たちです。
 投資家(お客様)の資金を預かり、運用しプラスαをつけてお返しする。
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 欧米系のファンドマネージャーはこのようなプロの人間が多数を占めています。この道10年とか、徒弟制度により10代からこの仕事をしています、という人がゴロゴロしています。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 9.ヘッジファンドについて
 ヘッジファンドというのは投資対象を限定しない投資信託であり、かつ、成功報酬制度を取っている投資信託のことです。
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 自分の専門分野での資金運用がヘッジファンドの基本形です。そして、彼らのようなファンドマネージャーを何人か集めて、資金を運用すれば、いろいろな投資戦略を駆使するヘッジファンドの出来上がりというわけです。
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 ヘッジファンドンの特徴である成功報酬制度というのは、ファンドの期末総金額から期首総金額を引いて利益が出た場合にのみ、報酬を頂きます、という仕組みです。
 つまり、ファンドの運用成績が赤字の場合は報酬は頂きませんという資金体系でファンドマネージャーが働いているのです。これでしたら死ぬ気で働くと思いませんか。なにしろ運用が失敗すれば給料は0です。しかし、運用に成功すれば成功するほど自分の懐に入る金額も大きくなりますから、死ぬ気で働くのは当然だと思います。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 10.ヘッジファンドの内容について
 ① グローバルマクロ
 一番有名なヘッジファンドです。有名な、ジョージ・ソロス率いるクオンタムファンドの主要戦略がこのグローバルマクロです。
 このタイプは各国の経済の方向性を重視するタイプのヘッジファンドです。トップダウンで国を観察し、その国の経済傾向に合わせて、主に株価指数の先物やオプション、為替や国債などを売買します。
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 ② グローバル
 主に現物株式で国際分散投資が主幹業務であるヘッジファンドのことです。
 基本的にこのタイプのヘッジファンドは、ボトムアップのアプローチで丹念に割安な株式を集めるのを得意としています。グローバルマクロと違い、国の経済性よりも、企業の成長性から利益を上げようと考えているのがこのタイプの特徴です。
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 ③ セクター
 特定の業界の株式の売買に特化したヘッジファンドです。
 このタイプのヘッジファンドは、ファンドマネージャーがある特定の業界の経験者か、特定の業界に精通している人間で、その専門知識や人脈を生かしてその業界(セクター)の株の売買で利益を上げようとしているのが特徴です。
 分かりやすい例ですと、孫正義氏率いるソフトバンクインベストメントでの事です。孫氏の人脈やハイテク業界の専門知識を生かし、IT業界でこれから伸びそうな企業の株式を購入し、高値売り抜けやIPOによる未公開株売却を目的としてIT業界特化型で証券投資を行っています。
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 ④ エマージング
 発展途上国の株式投資に特化したヘッジファンドです。
 このタイプのヘッジファンドは、これから爆発的な成長が見込める国に投資するファンドです。
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 ⑤ ディストレスト証券投資
 ディストレスト証券というのは分かりやすく言えば、破綻証券投資です。
 もっとなじみの言葉で言い換えますと、“ハゲタカファンド”のことです。
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 このディストレストファンドの儲ける仕組みは、いくつかの種類があります。
  ・ 破綻したが再生可能性のある会社の株式を安値で買い叩き、会社の経営改善を通じて株価を上げて転売利益を得る
  ・ 簿価が10の債権を1で買い叩き、それを2で転売し儲ける
  ・ 買い叩いた企業の資産をバラ売りして投資資金を回収する
 などが主な儲けの仕組みです。
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 ⑥ マーケットニュートラル
 相対価格の縮小か拡大を利益の源泉にしているヘッジファンドのことです。
 この種のファンドは、主に国債などの債券の価格差の動きから利益を得ようとすることを、主要業務としています。
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 ⑦ ペアトレード
 上がりそうな株を買い、下がりそうな株を空売りすることで儲けようと考えているヘッジファンドの戦略です。
 これは今はなきジェリアン・ロバートソン率いるタイガーファンドの得意としていた投資戦略です。世界中で業績の良い企業を買い、世界中で業績の悪い企業を空売りして儲けようという投資戦略です。
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 ⑧ リスクアービトラージ
 企業買収に特化した投資戦略です。
 リスクアービトラージ、別名M&Aアービトラージ、この戦略は、企業間で企業買収や合併、経営統合などのイベントが発生した場合に、
  ・ 買収企業の株式を空売り
  ・ 被買収企業の株を買う
 という投資行動を専門に行うファンドのことです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 11.投資信託はどのくらい儲かるものか
 突き詰めてみると、株価が上がる根本理由とされている経済成長の理由というのは、企業の業績が良くなるから景気や経済が良くなるか、それとも、景気や経済状況が良くなったから企業業績が良くなるという2つの説に分かれるのです。これは、“鶏と卵のどちらが先か”という哲学に近い話ですが、けっこう切実な問題なのです。
 新聞などを見ますと、企業や財界の人間は、景気対策を政府に要望しています。これは景気が良くならないと、企業業績は良くならない、つまり、現在の不況は政府の責任だ、と言っているわけです。
 一方では、不況の中でも儲けている企業はたくさんあります。その企業に言わせると、「儲からないのを人のせいや景気のせいにするな。儲からないのは企業努力が足りないからだ」と言うのです。
 どちらの主張も正しいと思いますが、つまりは、経済が成長するか、衰退するかの理由と根拠は誰にも分からないのです。ということは、経済の象徴である株式市場の動く本当の理由を誰も知らないのです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 12.相対的利益と絶対的利益
 経営者の方や営業担当者の方でしたらご理解いただけると思いますが、業界の平均的な売上高の伸び率や利益率が自社の業績と比べて上か下かはけっこう気になると思います。自社の業績が2%上昇でも、業界平均の伸び率が5%の場合でしたら、自社の業績は良くないということになります。
 どうです、会社勤めの方でしたらご理解いただけると思います。しかしですよ、もし、会社が赤字になったら、そんな業界比と比べてどうとか言ってられないと思いませんか。
 業態全体の売上が5%ダウンですが、うちの会社は2%ダウンで済んで良かった、と考えますか。業界全体がどうあれ本当に大切なのは、何があろうと自分の会社は常に黒字決算であることと思いませんか。
 投資信託の場合もこれと同じでして、運用者は、基準としている指標より、自分の運用成績が良いか悪いかが気になるのです。さらに、投資信託の場合は指標がマイナスの場合は、自分の運用する投資信託の運用成績がマイナスでも、指標よりマイナス幅が小さければ許されるのです。
 いえ許されるどころか、指標より成績が良かったと賞賛されるのです。
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 つまり、投資信託は、絶対的な利益でなく指標となるINDEXとの競争で成績が決まる。相対的な競争では利益も相対的に決まるのです。
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 市場INDEXと投資信託の相対的な関係で発生する損益が、あなたの損益になるのです。
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 ヘッジファンドマネージャーは運営する投資信託に、自分の資産のほぼすべての資産をつぎ込んでいます。まさにヘッジファンドに投資してくださる投資家とは運命共同体なのです。
 故にINDEXがどうとか甘いことを言うことはなく、常に絶対的な利益の追求を追い求めています。必要なのは、現金を確実に積み重ねることだと考えているのです。そうしないと自分の暮らしが成立しませんからね。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 13.投資信託ではTOPIXを上回れば成功
 そもそも日本の投資信託は儲からないような仕組みになっているのです。
 ①投資信託の運用会社は基本的に証券会社の子会社か証券会社の1部門として存在していますから、親会社や上司の意向には逆らえないのです。
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 ②給与体系の問題です。いくら成績が良くても自分には何のメリットもありません。せいぜい、上司に“よく頑張ったな”と言われて終わりです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 14.ヘッジファンドやCTAの目標は年間20%
 ところで、みなさんはヘッジファンドは投資でぼろ儲けしていると考えているようですが、最優秀と言われているヘッジファンドでも年間平均での利益率はおおよそ30%程度なのです。それに、一般的なヘッジファンドでも年利20%程度の利回りを目標としているのです。どうですか、みなさんが考えているよりずっと少ない利益率ではないでしょうか。
 多分みなさんは、投資資金を短期間で10倍とか100倍にするのがヘッジファンドだと考えているのでしょうが、それは大きな間違いです。彼らのほとんどは、20%台の運用実績を維持することによる複利運用で、お金を増やそうと考えているのです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 15.企業業績は総資本利益率7%で一流企業
 大企業は、基本的に企業の成長より、企業の維持を目的に経営を行っています。そうですよね、大企業は儲からないことより、変な事業に手を出して失敗して名誉を損ねることを恐れています。
 考えてみてください。日本の大企業で革新的な事業に手を出す企業がありますか。ないでしょう。日本でその役割を果たすのは、中小企業やベンチャー企業と呼ばれる新興企業です。
 新興企業が新規事業に乗り出し成功した場合、大企業はその事業におっとり刀で乗り込んで、大企業の大企業たるゆえんの資金力に物を言わせ、新興企業をつぶして、その事業で利益を上げるのです。
 この戦略をずるいと思いますか。いえいえ、これは正統な戦略です。この戦略が使えるからこそ、大企業はつぶれないのです。
 他人に実験をさせて成功を確認してから、自分が乗り出してその成功を力ずくで奪い取る。どうです、素晴らしいでしょう。
(2章 投資信託は儲かるのか)

○ 16.機関投資家と個人投資家の違い
 有体(ありてい)に言ってしまえば、機関投資家というものは、他人のお金を集めて、運用結果に責任を取らない投資信託のことです。
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 誰しも、他人の財布と自分の財布とでは、考え方が違いますよね。自分の財布の中身に関しては、誰しも増やしたいと考えています。しかし、他人の財布の中身を増やしたいと本気で考える人間はいるでしょうか。そんな奇特な人間はまずいないでしょう。
 しかし、現実社会では、みなさんはこの基本的な考えを無視して、赤の他人にお金を預けて、赤の他人がタダで自分のお金を増やしてくれる、という夢を見ているのです。
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 投資信託に関しては納得できないと思いませんか。
 “あなたのお金を増やします”という夢を売って、あなたからお金を巻き上げるのです。
 しかも、言い訳がまたすごい、“相場が悪いですから”ですよ。無責任も極まった、という感じです。
 他人の金を預かって、適当(本人は真剣)に運用し結果上手くいけば自分の手柄で、失敗すれば、相場のせい。しかも、運用結果にかかわらず馬鹿高い手数料をむしり取り、証券会社と運用者は儲かるという仕組みです。
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 では、海外に目を向けてみましょう。特にヘッジファンドやCTAなどの新興勢力の投資信託にです。
 これは既に説明した通り、大体が個人ベースで運用を行っており、自分の資金と一緒にお客様の資金を増やすことを目的に存在している投資信託です。
 当然ですが、彼らが売っているのは夢ではなく現実です。それ故、夢しか売れない既存の勢力から、無茶苦茶に言われるのです。
  “現代の妖怪”
  “通り過ぎた後、混乱だけ残すならず者”
  “ハゲタカ”
  “墓場のダンサー”
 などと言われているのです。
 みなさんはこの種の言葉をよくお聞きになるでしょう。
 私に言わせればこの種の言葉は、はっきり言ってねたみか嫌がらせ。そう思いませんか。彼らは運用のプロとして常に結果を出しています。しかし、既存の勢力の結果は惨憺たるものです。ですから、自分の自己正当性を証明するために、他人を誹謗中傷しているのです。
(2章 投資信託は儲かるのか)

 









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