株は「逆張り」がおもしろい(第2章 戦術的投資のすすめ)

小林 正和 (著) 2001年3月


○ ウォーレン・バフェット氏の挙げる「投資家として成功する六つの資質」 - 戦術的投資法
 そのウォーレン・バフェト氏が「投資家として成功するための六つの資質」を挙げているので参考にしてもらいたい。
 (1) 抑制のきいた貪欲さによっていつも心が活発に動いていること。投資のおもしろさに魅せられていること。
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 (2) 辛抱強いこと。
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 (3) 他人の意見に左右されず、自分で考えること。
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 (4) 十分な知識によって心の平静と自信を身に付けること。せっかちも頑固もいけない。
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 (5) 知らないことは知らないといえる素直さを持つこと。
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 (6) どんな業種の株を買うかについては柔軟性を持って臨むこと。ただし、その銘柄の価値以上の値段ではけっして買わないこと。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 成長株ファンドが得意とする順張り戦術 - 戦術的投資法
 株で勝つ側に回るには、戦術的な思考法を身につけ、合理的な行動をとることが必要である。多くの個人投資家は、そういうことが大切だと気づかないか、気づいても、身につける努力を怠ったまま、楕性的な売り買いを繰り返している。
 だから多くの投資家は、儲けたり損したりしながら財産をすり減らす。戦術無視の合理性を欠く投資法では、勝率は高められない。その上、儲かるときの利益は小さく、損はふくらみがちである。
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 順張りでは、なんといっても、知識や経験がものをいう。
 相場の流れは上向きかどうか。その判断ができるだろうか。上向きでないと順張りでは成果が挙げにくい。上向きかそうでないかを見分けるためには景気や企業収益の先行きを見通す目、チャートを読む知識などがいる。
 本流株を見分け、成長株を発掘する能力も必要だ。上昇期の本流株、成長株投資では、平均株価を大きく上回る成果が挙がるからである。
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 相場の伸びが悪ければ、小幅利益かトントン、ときには多少損でも売る。失敗したと思えば、思い切って損切りする。
そんな臨機応変の措置がとれるだろうか。
 相場の流れは、ある日突然変わることがある。
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 順張りは国内外の成長株ファンドのファンドマネージャーたちが得意とする。しかし、多くの個人投資家は、前記したような順張りで成功するために必要な知識や経験、克己心を持ち合わせていない。だから、一時的にうまくいっても、転機や思惑違いの際に適切な対応がとれず、楽しみ三分に苦しみ七分で最終的に財産をすり減らす。だから私は、個人投資家に順張りは奨めない。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 個人投資家が一番成功しやすい逆張り戦術 - 戦術的投資法
 株の種の一番いい蒔き時は「景気のうんと悪いとき」「金融不安が市場をおおうとき」「企業収益が大きく落ち込んで優良企業の一角でさえ赤字になるようなとき」「株価暴落をマスコミが大々的に取り上げ社会問題となるとき」である。具体的には九八年の一〇月頃を思い浮かべるとよい。二〇〇一年初もこれに近いほど暗く、種の蒔き時だと思う。
 取り入れるのは「景気がいいとき」「企業収益が好調なとき」「新聞、雑誌、テレビなどが株ブームを取り上げるとき」なのである。
 逆張り戦術の長所は、安いとき、不人気のときに仕込むので、リスクが相対的に少なく、メリットが大きいということである。
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 逆張りの短所は、種を蒔いてから取り入れるまでかなりの時間がかかるということである。
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 長年私が見てきた限りでは、法人、個人を問わず、逆張り派は長期的に見てかなりの好成績を挙げている。個人投資家で財産をふやしたいという投資家は、順張り派にはほとんどいないのと対照的である。
 時間はかかっても、ミスなく儲かる投資戦術だから、私は自分で工夫を重ね、なるべく多くの個人投資家にこの戦術の神髄を伝え、株で資産をふやしてもらいたいと考えている。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ ウォーレン・バフェット氏が実践する長期保有戦術 - 戦術的投資法
 厳選されたごく少数銘柄の「バイ・アンド・ホールド」(買って持ち続ける)という長期投資で有名なのは、前述した米ウォーレン・バフェット氏。
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 氏によれば、産業界というものは、金を払って投資するに値する極めて少数の一流企業と、長期保有する魅力がまったくない膨大な二、三流企業から成り立っているのだそうだ。
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 氏はその銘柄の価値以上では、どんなに魅力を感じた企業の株も買わない。そういう株がまったく人気がなくなった場合にだけ買いを検討するのだそうだ。ということはつまり、多くの投資家が将来性を危ぶんだようなときにその株を買うのだ。
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 また彼はハイテク株が嫌いである。九八~九九年のハイテク株ブームの最中においても一貫してハイテク株を買わなかった。それが投資機会をせばめた。一時は巨額の現預金を抱えて運用難にあえいでいると伝えられた。
 なぜ彼はハイテク株投資を見送ったのか。それは「事業内容を理解できない企業の株は買わない」という投資哲学に反するからだ。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 順張り戦術はなぜ成り立つか - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 どんな銘柄にも「一旦上がりはじめると、途中で修正的な値下がり(押し目)があってもまた上がる。一旦下がりはじめると、途中で修正的な値上がり(反発)があってもまた下がる」という習性があることに気づくはずである。
 この株価習性を私は『慣性の法則』と呼んできた。
 順張りが、成功する投資戦術として成り立つのは、実は、株価にこの『慣性の法則』が働いているからである。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 順張りの長所は効率のよさ。お奨めは短期より中期 - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 しかし高くなって買えば確実にリスクは高まる。ある大手証券の推奨株のタイミングをチャート分析してみると、ほとんどの場合、押し目をつけて上がりはじめ高値に迫ったあたりか、新値を取った直後であることがわかる。この買いタイミングだと、利食える幅は小さく、利食える期間はほんの短い間、たとえば数日間程度しかない。
 とくに、新値飛びつき買いの場合は、続伸してもすぐ反落することが多い。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 順張りの短所は次第に大きくなるリスク - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 順張りの短所は、上昇期間が長くなればなるほど、上昇率が大きくなればなるほど、次第にリスクが大きくなることである。
 安全度が高いのは、株価が大底圏を脱出したことを確認して間もないときである。銘柄によっても違うが上昇期間は一~二か月、上昇率は二〇~三〇%をメドにしたらいいだろう。
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 「日経平均株価・連日の年初来高値」とか、「出世株続出」「新高値銘柄急増」などと新聞が書き立て、テレビがトップニュースで株価上昇を特集し、週刊誌が株ブームを取り挙げる頃には、順張り派の多くは順調に儲けをふくらませている。大半の銘柄が安値から相当に値上がりし、人気株の中には半年~一年の間に三倍、五倍になる銘柄が出てくる。こうなると、現実に儲けやすくても相対的なリスクはどんどん高まる。
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 多くの人は、チャートの下げトレンド入りを確認しても、「しまった。間違えた」と思っても、損では売りたがらない。戻りに望みを託す。しかし一旦天井を打った相場は、買い手が期待するほどには戻らず、再び下落する。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 勝つポイントは相場の方向を正しく捉えること - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 順張り戦術は、相場が上昇基調のときに儲けやすい戦術だから、この戦術で勝つには「相場全体が上向きか、中段または安値圏の従来か、それとも下向きか」をなるべく正しく捉えることが必要である。
 相場全体の方向性を正しく捉えるには、ふだんから株価指標を注意深く見続けることが欠かせない。
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 自分で相場の方向性をなるべく正しく捉えたいと思う人は、国内株では日経平均、単純平均、TOPIX、二部総合指数、日経店頭平均という五つの指標と出来高、売買代金、それに日本株に大きな影響を及ぼすNYダウ(工業株三〇種)、ナスダックの二つに加えて自分で毎日記入することを奨める。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 指標間にばらつきがあれば買い対象を本流株にしぼれ - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 平均株価、単純平均、TOPIXという三つの指標が揃ってバランスよく上昇していれば、順張り戦術の成功率が非常に高い時期である。どんな銘柄を買ってもたいてい儲かる。
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 九九年は「二極分化相場」といわれ、「ハイテク・情報通信株」でくくられた時価総額の大きい数十の人気株が本流株として非常に大きく激しく買われた反面、早々と天井を打った二流ハイテク株や先駆した内需型優良株が反落し、不人気な内需型中低位株が下げ続けた。このため、値上がり銘柄数は値下がり銘柄数より少なく推移した。
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 つまり順張りで成功するためには、日経平均株価など主要株指標の方向性を見るだけでなく「各株価指標間にばらつきはないか」「そのばらつきは大きいか小さいか」そうして「本流株は何か」などを注意深く観察することがとても大切である。本流株が見つかったら、買い対象をその本流株にしぼることが成功に結びつく。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ どんな銘柄が順張りに向くか - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 私は、順張り戦術は中・大型値がさ優良株ほど安全かつ有効と考えている。実戦派投資家はこのことを忘れないようにしたい。
 では品簿値がさ優良株はどうだろう。品簿値がさ優良株は、上昇相場での上昇率は中・大型値がさ優良株より大きくなりやすい。需給原理が働き、値が飛ぶからである。しかしその反面、反動も激しく、下落相場で下落率は、中・大型の値がさ優良株と比べてはるかに大きい。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 上がりすぎたら本流株でも手を出すな - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 順張りに向く自分好みの銘柄をあらかじめマークし、その中から本流銘柄を買うとしても、厳重に注意すべきことがある。「上がりはじめてからの日柄(上昇期間)が長すぎないか」「値幅、上げ率が大き過ぎないか」というチェックを怠らないということである。
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 過去の相場史において、天井を打って下がらなかった株は一つもない。人が生まれたらいずれ死ぬように、どんな人気株も、もっとも未来が明るく見えるとき天井を打ち、下げに向かう。その下げは、上げているときには想像もつかないほど大きいものである。
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 新規公開株・売り出し株については「公開直後の人気化度合いが強い銘柄」「PER,PBRなどから見て異常に割高な銘柄」は、どんなに著名アナリストが高い評価を下しても、経済誌や投資雑誌がどんなに将来性が豊かだと書いても、高値を維持できないので買ってはならない。
 これまで、何度も儲けた銘柄でも、あまり上がったらもうさわってはいけない。
 こうした配慮は、順張りでババをつかまないための知恵である。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ どの程度の押し目で買うか - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 高値からどれくらい下がったら買うか。それは、上げ相場のスケールにもより一概にいえないが、そう大きいなスケールでないときには、高値比一五~二〇%安をメドにするとよい。上げ相場の初期、中期は、たいての銘柄の押し目は一五~二〇% でおさまっている。この場合の平均株価の下落率は六~八%程度である。
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 しかし、もう一方で、一三週線を鋭く割ったら一旦相場終了を疑えという経験則がある。二六週線に近づけば一相場終了はほぼ確実、二六週線割れは九分通り一相場終了である。
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 「相場の若いうち、つまり上昇期間が短く、上昇幅、上昇率が小さいうちは、一三週線割れ・二六週線接近でも押し目買いでいいが、上昇期間が一年以上にわたり、上昇率が三倍かそれ以上になった後では一三週線割れ、二六週線接近銘柄はけっして買うべきでない」ということで対処している。
 押し目だと思って買ったのに、思惑と違って下がってしまうことがある。その場合は、押し目ではなく、一相場終了を疑うべきである。すぐに見切るか、次の反発で小幅損止むなし、トントン処理なら上場と考えて対応するのが鉄則である。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 順張りによる利食い方 - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 順張り投資における利食い方は、どんなタイミグンで買ったかによって違ってくる。
 上げ相場の初期段階(個別銘柄で底値から二〇%~三〇%回復程度。平均株価では一〇%内外の上昇程度)で買った場合、利食いになったからといって二〇%や三〇%の利ザヤで売るべきではない。めったにない大きく利食えるチャンスだからである。
 上昇初期段階で買った株は、経験的にいうと少なくとも半年は持ち続けるべきだ。半年持てば、上昇相場のおいしい部分をかなり手に入れることができる。
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 上げ相場の中期というと、平均株価では二〇~三〇%くらいの上昇がメドになろう。
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 飛びつき買いは短期決戦が原則である。うまくいっても、まずくいっても、短期で決着をつけること。そうでないと、予想外の大きな損を蒙ることが多い。
 上昇末期に順張り戦術では、二度、三度うまくいかないことが重なったら、危険が近いと考えてしばらく休むのが賢明な対処法である。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 順張りにおける見切り方またはロスカット・ルール - 順張り投資で勝ち抜くポイント
 リスクが大きくなっているのなら休んでもよさそうなものだが、休もうとすると、派手にどんどん上がる銘柄が目につき、なかなか休めない。株式投資には、身勝手と身勝手、欲張りと欲張りの戦いという側面がある。「買えばすぐに儲かりそう」という誘惑に勝てる人は多くない。
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 押し目だと思って買った株が、そこからどすんと大きく下がることがある。その下げは、やや深い押し目であるかもしれないが、そうでないことのほうが多い。予想より深い押しは「一相場の終わりの始まり」ではないかと疑う必要がる。
 そういうときには「しまったは仕舞え」とすぐ見切るという選択がある。損にはなるが決定的なミスではない。それまでの儲けの一~二回分を吐き出せばすむことだが、投資家心理としてなかなか損切りはむずかしい。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張り戦術はなぜ成り立つか - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 長年チャートを丹念に見続けていると、本格的な上昇相場でも、全部が循環的に買われることはそうない。逆行して下げる銘柄が必ずあるものだ。また、上げ相場といっても、三〇~五〇%程度のあまり大きくない上げ一段で一相場を終える銘柄から、二年も三年も上げ続けて、安値比で五~一〇倍といった大相場を演じるものまである。
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 株価の「上がったものはいずれ下がる。下がったものはいずれ上がる」という習性に注目して、大きく下がったら仕込み、中・長期で大きく上がったら売ろうというのが逆張り投資戦術なのである。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張り戦術の長所 - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 逆張り戦術では、基本的に大きく下がってから買うので、相対的リスクは順張りと比べてはるかさに小さい。経験すればわかることだが、じっくり待ってうまく買えたときのリスクは小さい。少し早めに買ってしまい、買ったあと下がっても、そのときは、順張り戦術ではときに大怪我に結びつくナンピン買いが威力を発揮する。ナンピンは、大きく下がったあとで買って入る逆張りでは、コストのさらなる引き下げに結びつくのでとても有効である。
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 テクニカル面でいえば、それまでの値下がり分は、自分以外のだれかが負担してくれたわけで、自分が買ったあとで負う可能性のあるリスクは、人が負担してくれた分小さくなっている、ということだ。
 実際問題としては、かなり大きく下がったと思って買っても、そこが底になるケースは少なく、そのあとももっと下がることのほうがはるかに多い。しかし、その場合でも、高値圏で買った人は勿論、自分が買った値以上で買った人より有利なことは間違いない。
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 たとえ高値比半分、三分の一になってから買っても、買値からさらに二〇%~三〇%も値下がりすると、待つのが嫌になってしまう人が多い。しかし過去の経験からすると、株価が底を入れて上昇に転ずると、二〇~三〇%の評価損なら早ければ数日、長くても二~三週間で消えてプラスに変わるものだ。長年逆張りを主戦術にしてきた人は、そんな経験を再々しているので、買ってから少々下がっても驚かない。むしろ「安く買えるチャンスが広がった」「大きく儲かるチャンスがやってきた」と考えて買い増しをする。そう考えて安値で買い増せるようになれば、かなり年季が入った逆張り派投資家といえる。
 一方、逆張りは、リスクの小さい割に儲けは大きい。当然であろう。安くなって買い、高くなるのを待って売るのだから、順張りの短期投資と比べれば、うまくいったときの値幅ははるかに大きくなる。株価が大底を打って出直り、過去の高値に迫る頃には、高値づかみをした人はやっとトントンに近づいたところなのに、逆張りで大きく下がったところを仕込むことのできた人は、すでに大きな儲けになっている。
 思惑と少々違ってもミスが相対的に少なく、うまくいけば儲けは順張りよりうんと大きくなる逆張りは、安全派の投資家にはうってつけの戦術である。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張り戦術の短所 - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 逆張り戦術の短所は「成果が挙がるのに時間がかかることが多い」ということである。
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 天井を打って値下がりしたとしても、買いチャンスはすぐにやってくるわけではない。天井を打った株価が、相当期間にわたって大きく値下がりし、本当の好買い場になるまでには、一年、二年かかることも珍しくない。
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 「ここが底だ」と思って買ってすぐ上がることもあるが、そういう幸運はまれである。実は、そう大して上がらずにまた下がる、ということのほうが実戦においてははるかに多い。
 待ちに待って安値圏で買った株でも、すぐに上がるとは限らない。相当長い間、底値圏で小幅往来を続けることも珍しくない。せっかく逆張りで底値圏を買ったのだから、そんなときもじっと待つ。
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 実戦逆張り投資では、待って、仕込んで、十分に上がって利食うまでには、二~三年くらいかかることがよくある。それよりもっと短くて利食えるのか、逆にもっと長くかかるのかは、あとになってみなければわからない。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張り戦術に向く銘柄 - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 相場の底年圏の全面安場面で仕込む対象としては、まず第一に中・小企業の優良値がさ成長株にしぼるのがもっとも効率がよい。業績見通しが明るく、外国人持株比率が高く(一五%以上であることが望ましい)、市場人気が強い銘柄を選べば、とくに良好な結果が得られるはずである。
 各業種のトップ銘柄を選ぶのもいい。トップ銘柄は、ファンドのコアストック(中核銘柄)、準コアストックとなっていて、ファンドが上げたい銘柄、ファンドにとって株価が上がると都合のいい銘柄である。狙い目は勿論人気業種のトップ銘柄が下がったときである。
 株式や土地の含みが多い銘柄というのも買い占めの対象になりやすく、しばしば思惑を呼ぶので逆張り投資では一つの基準になる。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張りで仕込む大チャンス - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 金融機関や上場企業が破綻すると、同業他社や経営不安銘柄に連想売りが広がり、市場全般にも嫌気売り、不信売りが出る。また倒産企業が多数保有している銘柄も収益動向に限らず必ず売られる。需給関係悪化が懸念されるためである。
 悪い材料が出れば出るほど、平均株価も個別企業の株価も下げる。逆張りでは、そんな全面安場面が仕込みの大チャンスである。果敢に買うべきであるが、そんな大チャンスには、手持株は値下がりしているし、手持現金も少ない。かりに資金にゆとりがあっても市場には弱気が満ちあふれていて、とても買う勇気がでないものである。
 しかし、そこで買う勇気を持たないと、逆張りで大きな成功を得ることはできない。なぜなら、そんな大チャンスは、待っていてもめったにこないのだから。
 故なく連想売りされた業界トップ銘柄では、底を入れたあとの半年、一年のうちに、三倍、五倍に急上昇することが珍しくない。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 暴落を買い下がるか底入れを確認して買うか - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 大チャンス到来といっても、いつ、いくらが本当の底になるかは、「だれにも事前にはわからない。あとになってやっとわかること」である。そろそろ底値と思って買っても、底にはならず、ジリ貧になるとか一段安というようなことは、現実にはよくあることだ。
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 買い下がっている最中には、たいてい「ちょっと買い始めるのが早過ぎた」という気がする。勿論、下がっている間は、含み損(評価損)が確実にふえていく。あまり気持ちのいいものではない。
 それでも暴落をはじめるといつでも思い切って買い下がるのは、過去の成功体験に基づく。うまくいけば短期間のうちに上昇しはじめる。そううまくいかなくても、やがて底を入れる。前にも述べたが本格的に値上がりをはじめれば、二割や三割の評価損はたちまちなくなって評価益に変わるということを再三の経験でよく知っているからである。
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 下がっている最中に買うのは勇気がいるが、安値から二割、三割上がってから買うのも結構勇気のいることである。
 それに現実問題としては、安値から二割、三割上がって、三本新値足陽転やゴールデンクロス完成を確認して買っても、それがチャートでいうところのいわゆる“ダマシ”で、再び下げて底割れすることもある。いつも底値確認買いが成功するというわけではない。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張りの買い場を測るモノサシ(1) 信用取引評価損率 - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 逆張りの買いタイミングを決めるのに、私がもっとも重視しているのは、信用取引評価損率と騰落レシオの二つである。
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 経験的には、評価損率がどんどん縮小して二%くらいになると高値警戒といわれる。マイナスになれば厳重警戒である。
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 追い証は評価損率が二〇%を超えると急速に広がる。私は、評価損率が二〇%に近づくといつでも買いを考える。二〇%を超えると目をつぶって買い指示を出すようにしてきた。
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 下げ局面では、下げたら買うつもりの人もつい買いを手控えてしまう。もっと下がったらどうしようと考えるわけだ。買い物簿の中、売りがふえれば、株価は予想以上に下がる。それが株価急落のメカニズムである。
 だから私は、長年、「追い証投げ、なにはともあれ買うところ」を相場憲法として評論生活を続けてきた。
 このやり方は一〇回に八~九回はうまくいく。しかし、一~二回は失敗する。急落後急反発ではなく、急落後底割れというケースがどうしても出てくる。二〇〇〇年一〇月以降の下げは、この底割れだった。
 そのときは仕方がない。小戻りで損切りを考えるしかない。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 逆張りの買い場を計るモノサシ(2) 二五日移動平均騰落レシオ - 逆張り戦術で勝ち抜くポイント
 “騰落レシオ”という指標も、相場の過熱度(売り場)、冷却度(買い場)を判定するのにとても役に立つので、注意して見続けよう。
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 経験的には、二五日移動平均騰落レシオが六〇%を割れたところはほぼ間違いなく大底圏である。七〇%割れは買い有利、買い下がり開始と考えて大過ない。
 一方、一三〇%を超えたら過熱気味であり、一四〇%超えは厳重警戒、現金ポジションを高めよの信号と受け止めるべきである。
 信用取引評価損率と騰落レシオの二つの指標で売られ過ぎのシグナルが出ていたら、逆張りの買い場としては信頼度が高いとみてよい。
(第2章 戦術的投資のすすめ)

○ 長期投資対象としてのエクセレント・カンパニー - 長期保有戦術で勝つポイント
 長期投資派の成功者ウォーレン・バフェット氏は、ハイテク、ネット株嫌いで知られるが、それは投資対象として理解しにくいことが第一の理由と思われる。
 バフェット氏の挙げるエクセレント・カンパニーの条件は、
  ① 資本利益率が高い
  ② 事業がだれにも理解できる
  ③ 利益がいつでも現金化できる状況にある
  ④ 強力なフランチャイズを備えており、プライスリーダーの立場にある
  ⑤ 天才でなくても十分経営可能である
  ⑥ 利益の予想をつけやすい
  ⑦ 政府の規制を受けにくい
  ⑧ 在庫水準が低く、資産の回転率が高い
  ⑨ 経営陣が株主に顔を向けている
  ⑩ 最高の会社とは、自らの資本は最小に抑え、他の会社の成長を利用できる会社であること
 などだとしている。
(第2章 戦術的投資のすすめ)


 









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