株は「逆張り」がおもしろい(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

小林 正和 (著) 2001年3月


○ 株はノンゼロサムゲーム。そこで勝つには・・・
 経験的にみて手持株の時価総額がピークより一五%減少、もしいくは含み損が一〇%を超えたら、相場変調とみて持株を処分して休むのがよい。うまくいかなくなったときには、そのまま売り買いを続けるより、休むほうがほとんどの場合結果がよいのは、経験の教えるところである。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 相性のいい株を持て。そうして何度も売り買いせよ
 株式投資で成功するには、相性のいい株を持つことである。それが一流株ならいうことはない。しかし、二流株でも相性がよければ、その人にとっては不慣れな一流株よりも成果が挙げやすい。これは私の持論である。
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 だれかにとって相性のいい株とは、何度もうまく儲かった株である。最安値圏ではなくてもまずまずの安値で買い、天井圏でなくても買値よりかなり高値で売ったからうまく儲かったと考えられる。それも、一度ならずに二度も三度も・・・。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 「売り上がり」という技法
 大相場についていきながら、売り逃がさない方法はないか。それを満たしてくれるのが「売り上がり」という技法である。私の奨める「倍になったら半分を売り、タダになった残り半分であとの相場を楽しむ」というのもそうした狙いを持つが、その根底には相場の天井は正しくわからないという考え方がある。
 何十年にわたってチャートの研究を続けてきたが、上昇相場のスタート時点で天井値をあらかじめ予測して適中した(誤差一〇%内外を適中と見ても・・・)ことは、正直な話ほとんどない。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 資産の劣化を防ぎ、投資効果を高める「合わせ切り」という技法
 だいたい、上がる見込みで買った銘柄が予想に反して下がった場合、アヤ押しであるよりも、一相場終了というケースのほうが多い。だから損勘定の株を残すと、評価損はふくらむものなのだ。損がふくらめば、余計売りにくくなる。諦めがつくまでには長い時間を要する。
 その間は、気持ちの上で負けているから動くに動けない。資金面でもゆとりがないから、チャンスが巡ってきても手が出ない。経験の長い投資家ならこんな思いをしたことが何度かあるはずだ。
 そうならないためには「合わせ切り」という技法を身に付け、実行することである。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 底割れ銘柄はリバウンドで必ず売れ
 押し目だと思って持続していた銘柄、あるいは押し目だと思って買った銘柄が、しばらく中断で保合った後上へ行かずに下放れることがある。この形になると、下放れ前の安値付近を買った人が戻ったら売ろうとするため、保合い圏の安値が新しいチャート上のシフト(上値抵抗帯)となる。
 手持株にこのチャート型が出たら、早ければ即刻、遅くとも次のリバウンドで必ず売るべきである。まして上昇期間が長く、上昇率の大きい銘柄の場合は、ためらってはならない。
 たとえ業績がどんなによくて、見通しがどんなに明るくても売るべきである。いやむしろ、業績がよくて見通しが明るいのに下がったことは好材料織り込みずみの証拠と考えるべきである。昔から「天井はもっと明るく見えるときに打つもの」と決まっている。
 週足チャートを見て、一三週線を鋭く割るか二六週線を割り込んでいたらそれは崩れ足である。トレンドはすでに下降に入っていると思われる。小戻りで売っておかないと儲けはどんどん減り、損はますますふくらむ。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 計画的買い下がりはせよ、引かれナンピンはするな
 おかねにゆとりがあるから買い増す、というのは戦術的対応とはいえない。これでは、運がよければ儲かるが、運が悪ければ損をする、というレベルの話になる。
 買い増しにも、戦術的対応となるとそれ相応のルールがある。ルールに従って計画的に行ってこそ、危険を小さくし、利益を大きくすることができる。
 買い増しの戦術には二つある。一つがナンピン、もう一つが利乗せである。
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 実戦を重ねてみるとわかるが、ナンピン買いはもろ刃の剣である。上手にやれて平均買いコストを安値圏に引き下げることができて、長期で大きな利益を生む。しかし、下手にやると、損を予想以上に大きくしてしまう。
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 上手なナンピンというのは、全般安につれて優良株が大幅に下落し、チャート面でPER面でも割安になったあたりからおもむろに買いはじめる。あらかじめ資金を計画的に配分しておき、悪材料でさらに下がるとそこを買い増す。
 実戦では、ここでの買い増しが非常にむずかしい。考えていたより余計下がると「買い下がって本当に大丈夫かな」という疑念がつい頭をかすめる。優良株が並の株になり下がりはしないかと気になるものだ。とりわけ、この技法に慣れていない人は安値での買い増しを尻込みしがちである。成功はそこをくぐり抜けた人にだけやってくる。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 値がさ優良株のゴールデンクロスは利乗せのポイント
 利乗せというのは、予想した通りに株価が上昇しはじめ、上昇波動入りしたときに買い増していく技法である。この技法は、上げ下げのトレンドがわかりやすい値がさ優良株の出直り、たとえばゴールデンクロス(値下がりしつつある二六週線を値上がりしはじめた一三週線が上抜いたチャート型。値がさ優良株のゴールデンクロスは上昇入りのシグナルとして信頼度が高い)完成直後の押し目買いは成功の確率の高い利乗せのポイントである。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 塩漬け銘柄にも役立ってもらおう
 一相場が終わったとき、実戦投資家で手許に失敗玉が一つもないという人はごく少数派である。ほとんどの人は、大幅・小幅に引かれた因果玉をたくさん抱いて塩漬けにしている。
 投資家は日頃「儲けたい」「損したくない」と考えている以上、いくら“合わせ切り”の技法を身につけても、“見切り売り”の大切さを十分に知っていても、あらゆる条件下で損勘定の株を思い切って全部切れるという人はほとんどいない。
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 「安値圏に入った」「買い有利」と考えて買い下がった株を下放れたときは、玉もふえていて損の総額も大きいため、かなりのベテランでも見切りづらい。
 押し目だと思って思い切って買い下がったあと、予想に反して急落して水浸しになったときも投げにくい。
 こういうケースでは私も過去に「しまった」と思いつつ損切りを先送りして傷を大きくしたことが再々あった。「しまったは手仕舞え」という格言の大切さは知ってはいるのだが、実戦においてどんな条件下でも損切りが実行できるとは限らない。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 天井型を記憶せよ
 日足でも週足でもいい、大天井を打った株を注意深く見続けていると、大天井の形が次第に見えてくる。
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 私が天井型として重要視しているのは、次の三つである。
 (1) 長期間にわたって大幅に上げたあとに出現する長い上ヒゲ。
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 これは天井をもっとも早く見つけるのに役立つ。長い上ヒゲは、戻り売り圧力の強さ、あるいは有力ファンドの買い方陣営からの離脱を暗示している。
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 (2) 長期間にわたって大幅に上げたあとに出現する鋭い一三週線割れ。
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 (3) 長期間にわたって大幅に上げたあとに出現するWトップ
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)

○ 底値予知は天井型予知よりむずかしい
 私の経験では、実戦で個別銘柄の底値を予知したり確認するのは、天井型の予知や確認よりはるかにむずかしい。
 チャートの教本では、たいてい、天井型を裏返した形の下ヒゲ型底、W底、トリプル底、なべ底などなどの形が代表的な底型とされているが、実際には、こういう形からの底割れ(ダマシ)が多すぎて、あまり役立たない。
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 だいたいにおいて、底値圏では、予想以上に大きく下げて買い方が自信をなくし買い物が細っている。そこへ、どうしても処分しなければならない売り物、たとえば国内外ファンドのロスカット売りや、個人の追い証投げ、損金を埋めるための現物投げが出るので、行き過ぎた下げになりがちである。
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 実戦では、中・低位株の場合は過去の最安値圏への循環を底値と見当をつける。
 株価振幅の大きい優良成長値がさ株の場合は、(1)予想PERの急低下(たとえば予想連結PER三〇倍割れ、二〇倍付近)、(2)カイ離率の急拡大(たとえば一三週線カイ離率マイナス二五%以上)で下値のメドをつけ、(3)ゴールデンクロス完成を底値確認・上昇開始のシグナルと考えて対応するのがミスの少ない判別法だと思う。
 平均株価のゴールデンクロスと主力優良値がさ株のゴールデンクロスが重なったときの“底値確認・上昇開始”の信頼度は相当高い。
(第3章 上手な儲け方・上手な損の仕方)


 









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