株式投資で損をしない会社を見抜く方法(第7章 危ない会社の事例に学ぶ)

高橋 要 (著) 2009年2月


第1節 昭栄化工
 ※ 1992年バブル崩壊後に倒産
 オートバイヘルメット製造販売の昭栄化工は、1992年5月、会社更生法の適用を申請して事実上倒産しました。負債総額は約130億円

 ※ ダンピング販売するも資金繰りは悪化
 大量の在庫をさばくため、昭栄は安売りに走ります。通常2割引がいいところのヘルメットを5割引で安売りしました。コストを無視した安売りも長くは続かず、利益は落ち込みます。

 ※ ワンマンに人が付いて来ず
 強気経営を続ける鎌田社長にストップをかけられる人材はいませんでした。また、ワンマンであるがゆえに有能な役員は次々と辞めていっていました。
(第7章 危ない会社の事例に学ぶ)

第2節 NOVA
 ※ 駅前留学を売りに急拡大
 英会話サービスを提供する株式会社ノヴァは、2007年10月大阪地裁に会社更生法適用を申請して実質的に破綻しました。負債総額は約855億円

 ※ 消費者軽視の販売で顧客離れ
 急速な拡大戦略のもとで講師が足りず、レッスンの供給が間に合わなくなるのとともに、苦情や訴訟が増加します。06年から売上が減少に転じ、営業、経常、当期純利益が赤字になりました。

 ※ 社長の独裁と暴走
 猿橋氏は、発行済み株式数の7割以上を実質的に所有し、独裁者といわていました。
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 事業拡大を追求する中で、独裁色を強めていきます。
 取締役3人には、経営判断をするだけの権限や情報が与えられておらず、幹部社員は続々と職場を去り、若手ばかりになった職場に暴走を止める機能は失われていました。

 ※ 社長の不透明な資金処理
 猿橋氏は、赤字決算で無配となった05、06年度に、計3億円以上を役員報酬として受け取りました。

 ※ 監査法人と監査役が辞任
 NOVAの会計監査を担当していた監査法人は、06年に突然辞任します。07年10月初旬には、監査役3人が辞職。経理や総務など管理業務を担当する社員が職場を去り、資金の流れさえつかめない状態に陥りました。

 ※ 広告宣伝費が利益を圧迫
 費用の点では、CMなどに伴う広告宣伝費の粗利益に占める比率(38%)が人件費(25%)を上回っており、営業利益を圧迫していました。

 ※ 資金繰りと安全性の分析
 倒産前には資金繰りに窮していたことが、「売上債権回転日数」に表れています。05年3月期には売上債権の回収に33日で済んでいましたが、07年3月期には55日かかるようになっていました。
(第7章 危ない会社の事例に学ぶ)

第3節 アーバンコーポレーション
 ※ 不動産流動化事業で売上げを8倍まで拡大
 株式会社アーバンコーポレーションは、2008年8月、東京地裁に民事再生手続開始を申し立てました。負債総額は約2558億円。

 ※ 不動産バブル崩壊や法改正で歯車は逆転
 売上げが急伸する一方で、不動産開発資金を中心に借入金は増加していました。
 07年下期から、サブプライム問題や建築基準法改正の影響で、都市部を中心に不動産市場は冷え込みました。アーバンコーポ社の資金繰りは急速に悪化。

 ※ 売上と利益は前倒直前まで急拡大
 アーバンコーポ社は、倒産直前の08年3月期まで急速に売上高を伸ばしてきました。
 特に、07年3月期には、約2400億円の売上を上げ、前期比180%の伸びを記録しました。不動産流動化事業で、不動産ファンドへの物件売却が拡大したことが主要因です。売上拡大に伴い、各種利益も黒字を拡大しました。
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 しかし、営業キャッシュフローに目を転ずると、05年3月期以降の売上拡大と歩を合わせるかのように赤字幅が急拡大しています。08年3月期には1千億円、売上高比で41%もの営業キャッシュフロー赤字になっています。
 主な要因は、積極的な物件取得に伴う現金支出です。この現金支出の大きさが、後にアーバンコーポ社の支払い余力を奪うことになります。

 ※ キャッシュフローを分析すると問題が見える
 貸借対照表と損益計算書では順調に見えた財務状況も、キャッシュフロー計算書を見ると様相が異なってきます。
 損益計算書の当期純利益が拡大する一方で、「営業キャッシュフロー」は赤字幅を急拡大させています。08年3月期には1千億円の赤字でした。「棚卸資産の増加額」が要因のほとんどで、積極的な不動産物件の仕入に伴い、大きな現金支出があったことを示しています。
(第7章 危ない会社の事例に学ぶ)











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