バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール(2 バフェット流損益計算書の読み方)

メアリー・バフェット (著), デビッド・クラーク (著), 峯村利哉 (翻訳) 2009年3月19日


No.9 会計はすべて売上高から始まる。しかし、この数字だけでビジネスを評価すべきではない
 ビジネスの売上高をさっと確認したあと、ウォーレンはそれぞれの経費をじっくり慎重に吟味していく。利益を増大させる秘訣のひとつは、なるべく経費をつかわないことである、という事実を知っているからだ。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)

No.11 永続的競争優位性を持つ企業は、高い粗利益率を示す傾向がある
 そんな彼が発見したのは、秀でた長期的経済性から好業績を引き出している企業は、そうでない企業と比べ、“一貫して”高い粗利益率を保っているという点だ。詳しく説明しよう。
 ウォーレンによって永続的競争優位性が確認された企業の粗利益率を見て見たい。〈コカ・コーラ〉は一貫して60パーセント以上の粗利益率を保っている。〈ムーディーズ〉は73パーセント、〈バーリントン・ノーザン・サンタフェ鉄道〉は61パーセント、〈リグリー〉は51パーセントだ。
 以上の数字を、長期的経済性に疑問符がつく企業と比べてみよう。たびたび破綻の危機に見舞われる〈ユナイテッド航空〉の粗利益率は14パーセント。苦境にあえぐ〈GM〉は、弱々しい21パーセント。かつて危機におちいり、ようやく業績を回復させた鉄鋼会社〈USスチール〉でも、高いとは言えない17パーセント。〈グッドイヤー〉のタイヤは、どんな路面状況でも走ることができるが、経営不振のときには20パーセントの粗利益をあげるのが精一杯である。
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 企業が高い粗利益を稼ぎ出せるのは、永続的競争優位性の存在によって、売上原価をはるかに上回る価格設定の自由が与えられるからだ。対照的に、永続的競争優位性を持たない企業は、自社の製品もしくはサービスを値下げすることで競争するしかない。当然、この値下げは利ザヤの低下につながり、最終的には収益性に悪影響を及ぼす。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)

No.13 販売および一般管理費は、“一貫して”低いことが望ましい
 たとえば〈コカ・コーラ〉のSGA費(販売および一般管理費)は、一貫して粗利益の約59パーセントを保っている。〈ムーディーズ〉は一貫して約25パーセント、〈プロテクト&ギャンブル〉は一貫して約61パーセント。注目してほしい、ここでのキーワードは“一貫性”だ。
 逆に、永続的競争優位性を持たない企業は、きびしい競争に苦しんでいるため、粗利益率にたいするSGA費の比率が激しく上下動する。たとえば自動車産業に目を向けると、過去5年間、〈GM〉のSGA比率は28パーセントから83パーセントのあいだで変動してきた。同時期の〈フォード〉の変動幅は、89パーセントからなんと780パーセントだ!
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 永続的競争優位性を持つ企業を探すとき、調査対象のSGA費は低ければ低いほど良い。そのうえ一貫してSGA費が低く保たれているなら、なお良い。
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 同様に、たとえSGA費率が低いか、あるいは中程度の企業でも、研究開発費や設備投資、債務利払いのいずれか、もしくはすべてが発生することにより、秀でた長期的経済性が損なわれてしまう場合がある。
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 ウォーレン・バフェットが投資において肝に銘じているのは、高いSGA比率に苦しめられつづけている企業を避けること。また、たとえSGA比率を低く保っている企業でも、ときに研究開発、設備投資、債務利払の増大によってその経済性が破壊されてしまう場合があることだ。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)

No.14 多額の研究開発費を要する会社は、競争優位性に先天的欠陥を内包している
 永続的競争優位性を持つ企業を発見しようとするとき、“研究開発費”という項目をチェックする必要がある。なぜなら永続的競争優位性のように見えるものが、実は、特許や先進技術を源とする一時的優位性であることも多いからだ。たとえば製薬会社のように、特許によって競争優位性がつくり出されている場合、一定期間後に特許が切れれば優位性は消滅してしまう。
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 こうした企業とは対照的に、ウォーレンの長年のお気に入りである〈ムーディーズ〉は、研究開発費を支出する必要が無く、SGA費も粗利益のわずか25パーセントだ。また〈コカ・コーラ〉も研究開発費はゼロだ。もちろん〈コカ・コーラ〉は途方もない量の広告を打つ必要があるが、それでも、平均するとSGA比率は59パーセントに過ぎない。
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 多額の研究開発費を必要とする企業は、競争優位性に先天的な欠陥を内包しており、これは長期的経済性が危険にさらされていることを意味する。つまり、その企業の競争優位性は絶対確実なものではないのだ。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)

No.16 営業利益に占める支払利息の比率は、企業の危機レベルを表わす
 営業利益に占める支払利息の比率が高い会社は、次のふたつのタイプのうちどちらかである可能性が高い。ひとつは、所属する業界特有の熾烈な競争にさらされ、競争力を保つために巨額の設備投資が必要な会社。もうひとつは、ビジネスとしての経済性はすぐれているものの、レバレッジ・バイアウト(LBO)によって買収された結果、多額の債務を背負わされてしまった会社だ。
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 永続的競争優位性を持つ企業の大多数は、支払利息をほとんど、もしくはまったく計上していない、という事実をウォーレン・バフェットは突き止めた。たとえば長期的競争優位性を持つ〈プロクター&ギャンブル〉の支払利息は、営業利益のわずか8パーセント。〈リグリー〉の場合は約7パーセントだ。対照的に、資本集約型で競争が激しいタイヤ業界に属する〈グッドイヤー〉は、営業利益の平均49パーセントも利息にあてなければならない。
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 どの業界においても、営業利益に占める支払利息の比率が最も低い企業は、競争優位性を持っている可能性がいちばん高い。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)

No.20 まず第一に、純利益が右肩上がりかどうかを確かめよ
 ウォーレンはまず第一に、純利益が長期的に右肩上がりで推移しているかどうかを確かめる。単年の純利益がどうだろうと、彼にとっては何の意味もなさない。大局的に見て収益に一貫性はあるか、長期的トレンドは右肩上がりになっているのか、競争優位性は“永続的”なのか、という点に彼は着目する。
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 売上高の数字だけからわかることは少ないが、売上高に占める純利益の割合の数字は、その企業の経済性について多くを語ってくれるだけでなく、ほかのビジネスとの比較を可能にしてくれる。
 優良企業の純利益の比率は、たとえば〈コカ・コーラ〉で21パーセント、〈ムーディーズ〉ではなんと31パーセントにのぼり、いずれの場合も、ビジネスの秀逸な根源的経済性が反映されている。
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 原則を言うと(もちろん例外は存在する)、売上高に占める純利益の割合が、長期的に20パーセント以上で推移してきた企業は、何らかの長期的競争優位性から恩恵を受けている可能性がきわめて高い。逆に、一貫して10パーセント以下を示し続ける企業は、どの参加者も永続的競争優位性を持ちえない過当競争気味の業界に属している可能性が高い。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)

No.21 1株あたり利益の長期的推移から、勝者と敗者を見分ける
 永続的競争優位性を持つ企業を探し出したいとき、単年の1株あたり利益の数字は判断材料にならないが、10年間の1株あたり利益の推移を見れば、その企業が長期的競争優位性を持っているかどうかがはっきりとわかる。ウォーレンが求めるのは、1株あたり利益が10年のスパンで一貫性と上昇トレンドを示している企業だ。
(2 バフェット流損益計算書の読み方)


 









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