バフェットの財務諸表を読む力 大不況でも投資で勝ち抜く58のルール(5 永続的競争優位性を持つ企業の評価法)

メアリー・バフェット (著), デビッド・クラーク (著), 峯村利哉 (翻訳) 2009年3月19日


No.57 ウォーレンはどのように優良企業の株の買い時を決めているのか
 永続的競争優位性を持つ企業の株を買うさいには、仕入値が安ければ安いほど、長期投資としての結果が向上する。そして、ウォーレンはすべてを長期で考える人なのである。しかしながら、現実は旧弊なグレアム派の考え方とちがって、優良企業の株がバーゲン価格で売りに出されることはほとんどない。実際、グレアムのバリュー理論を信奉する投資運用担当者たちは、あまりにも株価が高すぎるとして、“スーパースター企業”の株を決して所有しないのである。
 では、優良企業の株をいつ買えばいいのだろうか? まず第一は、弱気相場を狙うことだ。優良銘柄は、“弱気相場の大特価”でも、ほかの銘柄ほど割安にならないが、長い目で見れば、この株価水準でも十分に良い取引ができる。また、永続的競争優位性を持つ企業もたまには、ヘマをやらかしたり愚行を犯したりして、短期的に株価の下落を招く場合がある。“ニュー・コーク”の大失敗がいい例だ。ウォーレンも言っているように、優良企業が解決可能な一時的トラブルに局面したとき、願ってもない買い時が向こうからやって来る。ただし、このトラブルは“解決可能”でなければいけない。
 逆に、“スーパースター企業”を見送るべきときもある。それは、強気相場の絶頂期だ。株式市場が過熱すると、優良銘柄の株価は急上昇し、株価収益率が歴史的な高倍率をつける。たとえ、永続的競争優位性を持っている企業に投資しても、法外な参入コストを支払ってしまえば、初期投資に対する収益率は低飛行を続けざるをえないのである。
(5 永続的競争優位性を持つ企業の評価法)

No.58 ウォーレンはどのように売り時を決めているのか
 ウォーレンの世界では、永続的競争優位性が失われないかぎり、“スーパースター企業”の株を手放すことはない。理由は単純明快。長く保有すればするほど、より大きな利益を得られるからだ。そのうえ、素晴らしい投資先を売却することは、税務署員にパーティの招待状を送ることにひとしい。税務署員をパーティーに招きすぎる人は、超リッチになれる確率がきわめて低い。
 ウォーレンの持株会社〈バークシャー・ハサウェイ〉は、永続的競争優位性を持つ企業に投資を続け、現在では360億ドルの含み益を抱えている。しかし、この巨万の富にたいして、ウォーレンはまだ1セントの税金も払っていない。今までどおりのやり方を続けるなら、将来も払う必要はないのである。
 とはいえ、“スーパースター企業”を売却したほうが、保有しつづけるよりも有利な場合もある。第一に考えられるのは、もっと優良な企業をもっと有利な価格で買うチャンスが訪れ、資金調達のために現有の優良企業の株を売る場合だ。このような状況は折に触れて発生する。
 ふたつめは、現有の優良企業が永続的競争優位性を失いそうな場合。このような状況も周期的に発生する。例をあげるなら、新聞社とテレビ局だ。新聞とテレビは優良なビジネスだったが、インターネットの登場により、突如として永続的競争優位性が疑わしくなってきた。競争優位性に疑問符がつく企業は、安心して長期投資を行える場合とは言いがたい。
 三つめは、株式バブルが発生した場合。常軌を逸した上げ相場では、優良企業の株価が天井を突き破り、ビジネスの真の経済性をはるかに上まわる水準に達する。そしてこの“ビジネスの真の経済性”は、株価が成長圏という限界を超えて上昇したあとには、重力のように株価を地表まで引きずりおろす効果があるのだ。株価が高くなれば高くなるほど、現有銘柄を持ちつづけるうまみは相対的に小さくなっていく。なぜなら、株をいったん高値で換金して、より有利な案件に再投資するほうが、将来の利益を極大化できるからだ。
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 ルールは単純明快だ。“スーパースター企業”の株が高騰し、株価収益率が40倍以上になったら、売却を検討する潮時だと考えればいい。
(5 永続的競争優位性を持つ企業の評価法)


 









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