ピーター・リンチの株の教科書(4章 見えざる手)

ピーター・リンチ、 ジョン・ロスチャイルド (著) 2006年10月27日


○ 1.チャンスは誰にでもある
 今日では億万長者になる方法には限りがありません。自動車部品、片手操作の蛇口、イエロー・ページ、コーヒー・クリーマー、工業廃棄物からのプラスチック、ピンのゴルフクラブ、ハイリスクの自動車保険、免税店、ピザのチェーン店、レンタカー、などで財を成しています。なかには弁護士までがリストに入っています。厄介な事件で財をなしたのでしょう。
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 驚くべきことは、金持ちになっても、昔の質素な生活態度を保ち続ける人が多いことです。二年前に亡くなったウォルマート社のサム・ウォルトンは、ポケットの小銭でリムジンの一群を買いそろえることがわけなくできたのに、古びたシボレーを乗り回していました。ハンドルには犬の歯形がついていたそうです。彼ならパリ、ロンドン、ローマなど“金持ちと有名人のライフスタイル”特集なるものを撮影するような都に、豪邸を構えることも容易にできたのですが、アーカンソー州ベントンビルの郷里にある二寝室の家に、夫婦で住んでいたそうです。
 ウォーレン・バフェットも同じように、成功後も郷里のネブラスカ州オハマにとどまって、今でも読書とブリッジゲームに親しんでいます。自分がつくり上げた巨万の富を湯水のように使えるはずの億万長者のなかには、質素な生活を守り、自分の生活スタイルを大切にして、宣伝、広告のたぐいを嫌い、長時間働く人たちが数多くいるのです。“静かに生活し”“マスコミを避ける”というのがフォーブス誌の四〇〇人について語るときによく使われる表現のように思えます。
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 コカ・コーラ社とジョン・ペンバートン
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 ウッドラフが実行した懸命な経費削減効果功を奏して、コカ・コーラ社は生き延びることができて、あの大恐慌を迎えたのです。この期間はほとんどの企業にとって苦難の時でした。ところがコカ・コーラ社にとっては、逆に業績の回復をもたらしたのです。人々は使えるお金をほとんど持っていなかったのですが、それでもコークは飲んだのです!
 ここに投資に対するよいアドバイスがあります。猟犬のように行動しろ、そして目の前にある事実以外のことはすべて無視すること、ということです。一九三〇年代の経済はこれ以下はないというほど最悪の状態にありました。ところがコカ・コーラ社は好収益を続けたので、株価は一九三二年の二〇ドルから、一九三七年の一六〇ドルに上昇したのです。周囲の誰もがこの世の終わりだと言っていたときに、投資したお金が八倍にも膨れ上がるとは! 想像できますか?
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 コカ・コーラにとって最大の脅威はペプシでしたが、考えてみれば、コカ・コーラ社はペプシ社を、タダのような値段で買えるチャンスがあったのです。一九三〇年代に、ペプシは破産の危機に直面していました。しかし、それは免れて、五〇年後にはコークを悩ますところまで復活してきたのです。一九八四年には、アメリカ市場でのペプシの売上げはコークを超えています。そこでコーク本社の首脳は、反攻に転じなければならないところまで追い込まれました。その闘いのなかでダイエット・コークが生まれたのです。これが清涼飲料業界を変えました。そして人類のウエストから何百万ポンドというぜい肉を取り去る働きをしたのでした。ペプシとの競争がなければ、コークはダイエット・コークなど考えもしなかったでしょう。
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 リーバイス社とリーバイ・ストラウス
 リーバイ・ストラウスはドイツのババリア地方の出身です。彼はテント用のキャンバスでつくったパンツを売って成功しました。相手は一八四九年のゴールドラッシュのときに、ひと儲けしようとカリフォルニアに集まった開拓者たちでした。彼らのほとんどが空手で郷里に帰って行ったのですが、ストラウスはブルージーンで金持ちになりました。
(4章 見えざる手)

○ 3.新時代を築くヒーローたち
 一九八五~九五年の期間には、小企業のリストには六社の一〇倍銘柄、三社の二五倍銘柄、そして四〇~五〇倍銘柄が三社ありました。アムゲン社は一ドル三六セントから八四ドルへ、オラクル社は〇.八三ドルから四二ドルへ、コンパック社は一ドル六九セントから五〇ドルに上がっています。実に印象的な動きです。
 株式投資でお金を儲けるのに、いつも当て続ける必要はない、という理由がこれを見て分かったことでしょう。仮に小企業一〇社の株を持ち、そのうちの三社が売上高が四〇〇〇万ドルからゼロになり、その株価が二〇ドルから、やはりゼロになったとします。しかし、このときでも、一つの大化け銘柄が出れば、十分相殺されて、お釣りがくるほどです。たとえば売上高が四〇〇〇万ドルから八億ドルになり、株価が四〇〇ドルになればよいのです。
(4章 見えざる手)










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