敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか(第5章 運用につきまとう矛盾)

チャールズ・エリス (著)  2003年12月4日


 運用機関および投資家の双方が真に追求すべき最も重要な目標は、次の四つである。それはさほど難しいことではない。
 (1)投資家のニーズを理解すること
 (2)そのニーズにあった現実的な運用目的を明確にすること
 (3)個々のポートフォリオのための適切な資産配分を確立すること
 (4)現実的で特定の長期運用目的を達成するよう設計された、明確な根拠のある運用基本方針を作り上げること。
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 優れた個別銘柄を選ぶことによって、常に市場平均収益率に毎年〇.四%勝ち続けるというのは大変な成功である。
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 相場がどんなに上下しようと、投資家が株式を持ち続ける限り、その時々の収益率が債券や短期証券のそれを上回るかどうかというのは、実は対した問題ではない。リターンが予想される平均値になるまで十分長い期間、投資家が実際に持ち続けようとするかどうかが問題なのである。問題は市場にあるのではなく、自分自身、私たちの認識、そして、それにどう反応するかにある。
 一九八二年から九七年までの一五年間、投資信託の平均リターンは約一五%であった。しかし、投資信託に投資した投資家の得た平均リターンは一〇%であった。なぜか。それは投資家が長期的な投資プログラムを立ててそれを遂行する代わりに、ファンドを次々と乗り換えたからである。結果として投資家はファンドにもたらされた全リターンの三分の一を失っている。
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 投資家は市場の短期の動きと長期の動きの違いについて、自ら勉強しなければならないのである。投資環境についてよく知っている投資家は、何を期待すべきかについて熟知している。このような投資家なら、知識の乏しい投資家たちが有頂天になったり落ち込んだりするような状況に出会っても、冷静に対処することができるだろう。
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 個人投資家にとって、相場が急激に上昇している(あるいは下落している)時に、長期的な視野を保ち続けるということがいかに困難なことかは、言うまでもない。
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 投資においては忍耐力 - または意識的な静観 - の方が行動に出るよりも良い結果を生むことを歴史は教えている。
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 投資家は市場平均には勝てないものの、たくさんの他の投資家がそのために努力しているという事実を、逆手に取ることはできる。インデックス・ファンドという、「投資のドリーム・チーム」が成功する(コストは低く、リターンは高い)のはまさにこのためである。
(第5章 運用につきまとう矛盾 - 第Ⅰ部 資産運用の本質)










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