敗者のゲーム(新版) なぜ資産運用に勝てないのか(第9章 効率的なポートフォリオとは)

チャールズ・エリス (著)  2003年12月4日


 フィル・フィッシャー、ジョン・ネフ、ピーター・リンチ、ジョン・テンプルトン、ジョージ・ソロス、パーカー・ホール、ウォーレン・バフェット、ロウ・プライスなど、皆そうであった。
 これらのずば抜けた投資家は、人が見落としたり、ずっと後になるまで気づかないような機会をとらえ、ポートフォリオの価値を高めている。
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 資産運用における真の課題とは、収益率を増大させることではない。すなわち、安く買って高く売ることではなく、収益増大に結びつくようにリスクを取り、それを管理することである。
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 株式の場合と同じように、これまでの実証によれば、個々の債券のリスクは分散させることで本質的には排除できる。その信用度が中レベルより低い債券は、デフォルトによる損失を埋めた後でも、高い信用度のものに比べ収益率が高くなる。したがって、運用機関はそうした信用度が中レベル以下の債券に集中することにより、リスク調整後の収益率を増加させることができる。
 債券運用において、ポートフォリオを上手く分散・編成したなら、次に投資家は収益率を高めるために、その基準となるポートフォリオから乖離すべきかどうか、また乖離する場合、その方法や時期をどうするか決めればよい。その方法は次のようなものである。
 (1)格付けの改善または悪化を予想して、個々の債券を売買すること。
 (2)過去の長期的平均水準より相対的に価格の高いセクターから低い別のセクターへシフトすること。
 (3)一時的に値上がりしている債券(これは市場の不完全性から起こる)を売って、値下がりしているものを買う(これを裁定スワップという)
 (4)金利が低下すると予想される時は、長期債を購入することによりポートフォリオ全体の平均満期を長期化し(繰上償還のないものを選んで)、金利が上昇すると予想される時には短期債にシフト、平均年限を短期化すること。

 ただし、プロの債券ファンド・マネジャーによってさえ、以上の戦略のいずれを採用することによっても、継続的に大幅に運用成績を改善することは難しいということが明らかにされている。一般に債券市場はきわめて効率的なので、トップ・プロでさえもアクティブ運用を通して手数料以上のリターンを稼ぎ出せることはめったにない。また、卓越した成果をあげたマネジャーには、資金が集中することが多いので、結局は債券について高いパフォーマンスを維持することが難しい。収益を決めるのは、どの債券に投資するかではなく、そもそも債券に投資するかどうか、投資するとすればいくらなのか、といった点である。
(第9章 効率的ポートフォリオとは - 第Ⅱ部 運用理論の基礎)










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