ピーター・リンチの株式投資の法則(第7章 熟練、科学そして汗)

ピーター・リンチ (著), 酒巻 英雄 (監訳) 2002年3月14日


○ はじめに
 銘柄選択は、熟練にもとづく一種の勘が必要であり科学でもある。しかし、そのどちらか一方に、重点を置きすぎると、かえって危険なものとなってしまう。方法論に囚われてしまっている人、たとえばバランス・シートにばかりこだわる人は、まず成功しないだろう。もし仮に、バランス・シートから将来の見通しがたつならば、数学者や会計士は、いまごろ世界で最も裕福な人々となっているはずである。
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 一方で、勘に頼りすぎた銘柄選択も、同様にむくわれないものとなってしまう。私の銘柄選択の方法は、芸術的要素も、科学的要素も、そして体を使った、いわゆる足で稼ぐ要素も含んでおり、ここ二〇年来変わっていない。
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 プロの投資家は、的外れのことをしている場合が多い。ありとあらゆる情報サービスを導入し、他のプロの投資家が何をやっているのかを探ろうと躍起になっている。そんな暇があれば、もっと足で稼げと言いたい。企業の基礎的研究をしていないのなら、これらのソフトウェアを山のようにそろえたところで、無意味である。私を信じなさい。あのウォーレン・バフェットだって、このような機器は使っていないのである。
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 私は、常々、有望銘柄を発掘することは、岩の下の虫を探すようなものだと信じている。一〇の岩をひっくり返せば一匹、二〇の岩をひっくり返せば二匹はみつけられるだろう。
(弟7章 熟練、科学そして汗)

○ 買われすぎマーケット
 叩き売られた市場では、いたるところで、株が割安に放置されている。しかし、買われすぎの市場においては、買うに値する株を見つけるのは大変である。熱心な株式投資家にとっては、市場が三〇〇ドル下落するほうが、三〇〇ドル上昇するよりも幸せなのである。
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 収益ラインよりも株価が高くなってしまった株は、たいてい、妥当な水準になるまで、株価は、横ばいで推移するか(言い替えれば、ひと休みをする)、下落するものである。
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 EQKグリーン・エーカースを避けるべきだと思ったのは、直近の四半期報告書の一文からである。これらの小冊子の本文を、注意深く読むことは大切であると、私は常々感じている。この企業は、ロングアイランドでショッピング・センターを経営しているが、直近の四半期報告書にある、「従来行なってきた、四半期ごとの一セント増配を継続するかどうか、現在検討中」というくだりが私の目をとらえた。EQKグリーン・エーカースは、六年前に、株式を公開して以来ずっと増配してきた。この慣習を破れば、一〇万ドル節約できることになる。私は、これを短期的に事業がいきづまっている証拠ととらえた。増配を続ける伝統を持った企業が、わずかな節約のためにその習慣をやめるかもしれないと公表したときは、要注意の警告だと考えてよい(九二年七月、EQKグリーン・エーカースは増配しなかったばかりではなく、大幅な減配に踏み切った)。
(弟7章 熟練、科学そして汗)









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