ピーター・リンチの株式投資の法則(第9章 外食株 食べたいものに関する会社に投資を)

ピーター・リンチ (著), 酒巻 英雄 (監訳) 2002年3月14日


○ はじめに
 外食チェーンには小売業と同様に一五~二〇年間の急成長期がある。駆け出しの外食企業は、熾烈なビジネスであると考えられているが、電機会社や靴会社と異なり、競争からは守られている。
 外食企業が全国展開するには長い時間がかかる。また、外国からの競争にさらされるということはない。デニーズピザ・ハットは、低コストの韓国からの輸入品を心配する必要はない。
 外食チェーンで成功者と失敗者とを分けるものは、優秀なマネジメント、十分な資金力、しっかりした拡大策である。ゆっくりとではあるが着実に。
 チリズとファドラッカーという二社のハンバーガーのフランチャイズの比較は、わかりやすい格好の例を提供している。両社はともにテキサスでスタートした。チリズはダラス、ファドラッカーはサンアントニア。ともに食通のハンバーガーの店というふうに分類されるし、楽しい雰囲気の店であった。チリズではテーブルへのサービスが行われていたが、ファドラッカーはカフェテリア式であった。一方の会社は有名になったが、利益が上がらなかった。他方は名声と富をともに実現した。
 その原因はどこにあるのか。その一因としては、チリズではハンバーガーが流行りではなくなったときにメニューを多彩にしていったのに対し、ファドラッカーはハンバーガーにこだわったことがある。しかし、決定的であったのは、ファドラッカーの拡大のペースがあまりに急であったことである。毎年一〇〇店舗以上の出店をしようとしたとき、問題が起こってしまった。栄光に向かって突っ走った際に、間違った店舗立地と間違ったマネジャーを起用し、高い不動産費用を払うこととなり、従業員を適切に訓練することに失敗してしまったわけである。
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 外食チェーンが利益を伸ばす方法にはいくつかある。チリズが行ったように店舗の数を増やすのも一つの方法であり、ウェンディーズのように既存店の運営を改善するやり方もある。クラッカー・バーレル、ショウニー、マクドナルドがこのカテゴリーに入るのだが、高い回転率で値段の安い食事を出すことにより利益を上げるタイプがある。アウトバック・ステーキ・ハウス、チャート・ハウスが最近ではその例であるが、低い回転率だが、値段の高い食事を出すという別のタイプがある。会社によっては食事で利益を出す会社もあれば、クラッカー・バーレルのようにギフト・ショップで利益を出すやり方もある。高い利益率を誇る会社のなかにも、スパゲッティ・ウェアハウスのように安い原材料を使うことによって利益率を高める会社もあれば、運営コストの低さに要因が求められる会社もある。
 外食企業が損益分岐点に達するためには、当然ではあるが、十分な売上高を確保しなければならない。小売業と同じようなことが成り立っている。重要なファクターは、成長率、債務、既存店の売上高である。既存店の売上高が毎四半期、増加するのが望ましい。成長率は、あまり高すぎてもよくない。毎年一〇〇店舗以上の出店を考えているとすれば、その会社は危険ゾーンに入っているといわざるをえない。債務については、理想をいえば無借金が望ましい。
(弟9章 外食株 食べたいものに関係する会社に投資を)









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