バフェット投資の王道(第3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

ロバート・P・マイルズ (著), 三原 淳雄 (著), 小野 一郎 (著) 2005年1月17日


○ バリュー投資家は群衆の狂気に釣られない
 多くの人は、バリュー投資とグロース投資とは別の物として扱う。バフェットに言わせれば、両者は突き詰めれば同じものになる。結局のところ、投資とは、将来大きく育つことを期待して、今資金を投じることに尽きるのではないか。
  ・
  ・
  ・
 バフェットの考え方だと、人生のどの段階にいるかということは、投資と無関係である。どの時点においても、質の高いものを安く買うだけである。対象が固定金利の債券であれ、株式であれ同じである。バフェットの教えによれば、リスクは投資の変動の大きさではない。投資家で十分な知識を持ってないこと、もっとわかりやすく言えば、自分が何をやっているかをわかっていないことこそリスクなのである。
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

○ パッシブ投資のサクセスストーリー
 パッシブ投資の手法で他人に委任する投資の最も良い例は、オスマー夫婦(ダンとミルドレッド)だろう。彼らはオハマで生まれ、バフェットと知り合いにある幸運に恵まれた。一九六〇年代初めに二人はそれぞれ二万五〇〇〇ドルをバフェットに託した。最初の投資以来追加することもなく、増えた資産を使うこともないままにしていたところ、何と8億ドルにまで成長してしまった。
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

○ アクティブ投資とは何か?
 アクティブ投資家が最初に行うことは、読むことである。他の投資家や経営者、仕入先、顧客や競争相手に問い合わせることも多少はあるが、調査を行い、自分の頭で考えることが行動の大半を占める。アクティブと言うと、取引の結果と混同する人も多い。現実の投資活動においては、何もしないことが最善ということもある。
 アクティブ投資のプロセスについて、バフェットは好んで野球にたとえる。「投資には見逃し三振は存在しない」。バットを持ったまま一日中立っていても構わない。一日どころか、一年中そうしていてもよい。バットを振らなくてはならないということはないからである。一番いいボールを待ち構えて、場外ホームランを打てばいい、とバフェットはアドバイスする。残念ながら、アクティブ投資家の多くは、投資のスーパースターになるまでじっと待っていることができない。
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

○ 感情に任せた投資は避ける
 アクティブ投資家は、行動を行う前に、本や資料を読み、調査を行い、理解しておく必要がある。アクティブ投資家の成功者は、合理的で論理的な投資家である。決して感情のままに行動する人間ではない。
 グレアム教授はこう言っている「短期的には、株式市場は投票マシンである。しかし、長期間で考えると、重さを測る道具である」。つまり、短期的な株式の動きは、人気があるかどうかで決まる。
  ・
  ・
  ・
 「価格とはあなたが支払うものであり、価値はあなたが手に入れるものである」とバフェットは言う。
  ・
  ・
  ・
 株式と投資家の行動は非常に独特である。株が売られているときには、離れて見ていて、株価が上がり過ぎた状態になると、いつまでも買い続けようとする。他の商品を買う時の消費者の行動とはまったく正反対である。車も洋服も、日用雑貨でも家庭電化製品でも、わざわざ高くなってから買ったりしないだろう。
 著名な投資家ピーター・リンチは、こういったことがある「『二五%株価が下がったら買おう』という確信を持つことができず、『二五%下がったら売らなくては』という致命的な考えから逃れられないとすれば、株式で大きな利益を手にすることは絶対にできないだろう。株式で利益を上げる投資家は、バーゲン価格で株式を買う人である。リスクがゼロの投資などどこにもないのだ」。アクティブ投資家は株価が卸売価格のようになったとき、つまり一時的に人気がなくなったときに買うべきなのだ。
 グレアムが開発し、彼の優秀な弟子が見事に育て上げた投資哲学を要約した言葉が、「安全余裕度」である。グレアムは次のような例を挙げている。
 あなたが橋の設計者だったとしよう。一度に一万トンの重さの自動車を通す橋をつくろうとしたら、きっと三万トンの重量がかかっても大丈夫な橋をつくるに違いない。投資においても、それと同じ程度の安全性を見込んで買うべきなのである。多少株価が下がっても、利回りの下振れ余裕度がたっぷりあれば、夜もぐっすり眠れる。もう少し具体的に言えば、一ドルの価値の資産を五〇セントで買う、あるいは毎年一ドルの利益を生む資産を一ドルで買うことである。
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

○ リスクを定義する
 バフェットの定義によれば、リスクとは自分が何をやっているかを知らないことである。大部分の人が分散させるのは、無知のなせる業である。企業の価値を判定することができ、それを魅力的な価格のときに買っておけば、その次も、自分が理解していてすでに買っているものをさらに買い増ししたいと思うはずであり、魅力の劣る別のものを買おうと思うだろうか。
  ・
  ・
  ・
 失敗を認めず、謙虚さを忘れることは、投資家のリスクをさらに大きくする。傲慢さゆえに多くの有望な投資家が挫折した。世界最高の投資家でも失敗はする。最も重要なことは、失敗を認め、その失敗から学ぶことである。
 リスクを考える別の見方は、投資に安全余裕度があるかということである。やみくもに投機に走ること、利益を得る可能性が低いのに投資を行うことは、ギャンブルと同じである。
  ・
  ・
  ・
 バフェットはこう言っている。「株式を買う理由のうちで世界一バカげているのは、その株式が値上がりしているから、というものだ。株式を買うタイミングは大底である必要はない。その企業を運営している人々が誠実で有能であることが必要なのである。ギャンブルをするのではなく、普通と違う状況に注意を払う。素晴らしい投資機会は、優れた企業の株価が一時的な要因によって、その本質的な価値よりも下がってしまうときにある」
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

○ マーケットを追いかけない
 バフェットは自分がビジネスの分析者だと考えている。彼の特技は、ある事業の寿命を考えて、どれだけの価値があるかを判定することにある。あとはその事業をより安く買うことである。
 新時代のハイテク事業は将来展望は開けているが、利益が出ていない。そんな事業に飛び込むのはたいへんリスキーな行動である。
 バフェットの資産は、従来型の事業によって生み出された。清涼飲料(コカ・コーラ)、新聞(ワシントン・ポスト)、自動車保険(GEICO)などである。バフェットが完全子会社にしいている企業も、レンガ(アクメ社)、カーペット(ショー社)、塗料(ベンジャミン・ムーア)、チョコレート(シーズ)、アイスクリーム(デイリー・クイーン)、百科事典(ワールド・ブック)、カウボーイ・ブーツ(ジャスティン)などである。これらは、彼が価値を評価できる事業ばかりである。彼はこの先の一〇年間で、企業がどれだけ利益を上げるかを判断し、現在価値に割り戻すのである。一〇年後にどうなっているか予想できない企業を、彼は評価しない。
  ・
  ・
  ・
 資金があるから買うというのもリスキーである。場合によっては、何もしないことが最良の行動だということもある。一九八五年から一九八八年の間、バフェットは株式を一切言購入しなかった。投資ポートフォリオに大きな変化があったのは一〇年経ってからであった。バリュー投資家はぐっする眠り、長生きする。バフェットは言う。「一〇年間保有するつもりいがないのなら、一〇分間でも持ってはならない」。
  ・
  ・
  ・
 ウォーレン・バフェットは市場分析をするのではなく事業を分析することによってリスクを軽減している。一九七三年に石油危機が起こったが、だからこそバフェットはワシントン・ポストに対する投資を行った。一九七三年と一九七四年に市場は暴落したが、素晴らしい長期投資であった資産を売ることもしていない。
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)

○ まとめ
 ストーリーのある株式を買おう。例えば、コカ・コーラは一〇〇年以上も前から存在している従来型のビジネスである。ウォーレン・バフェットが投資している従来型の企業が創立された年の平均は一九〇九年であり、バフェットの生まれる二一年も前なのである。
(弟3章 あなたはどのタイプの投資家か?)









← 第2章                                                       第4章 →
トップページ