バフェット投資の王道(第4章 投資哲学を確立する)

ロバート・P・マイルズ (著), 三原 淳雄 (著), 小野 一郎 (著) 2005年1月17日


○ ウォーレン・バフェットの投資哲学
 バフェットの投資の原則は、次のようにもまとめられる。
   自分が持っているものを知る。
   買う前に調査する。
   株ではなく、事業を所有する。
   一生の間に投資は二〇回までとする。
   株を所有すると決めたら、長期間持ち続ける。
 株式を買うときの判断基準は、その企業を丸ごと買収するかどうかを決めるときと同じである。ウォーレン・バフェットは、かつて「たばこの吸い殻」方式で投資をした。つまり、従来型の事業の中で、たばこの一服程度のわずかな利益しか残っていない企業、ちょうどバークシャー・ハサウェイの繊維事業のような事業を探し、PERで二~三倍の株価でしかなく、二〇年先までは生き残れそうもない銘柄を見つけるのだ。
 今では、この方式から、素晴らしい事業を適正な価格で購入する方式に進化している。ジレットの例を見てみよう。一九八九年に六億ドルを投資したバークシャー・ハサウェイは、現在、この世界最大のひげそりメーカーの株式一一%を所有しており、その価値は三〇億ドルにのぼっている。バフェットはジレッとの株式を一株六.五ドルで買い、これまで一四年間に平均一二%の利回りを実現した。さらに注目すべきことは、最近の数字では、一株当たりの利益が一.二五ドル、つまり当初の購入価格の二〇%になっている点である。毎晩二五億人の男性が眠っている間にひげを伸ばしていることを思い、ジレットが世界中のひげそり市場の七〇%を握っていることを考えると、バフェットは安心できるのである。
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 バフェットは、買ったら持ち続ける。実際のところ、よい買い物しかしないので、売る必要もない。バフェットの師であるベンジャミン・グレアムが、一生を通して投資の決断は二〇回以内と言ったことを思い出しいてほしい。このアドバイスを思い出せば、取引回数を減らし、レポートなどを読んで調査し、考えることのほうを増やそうと思うだろう。
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 一九九七年の株主への手紙の中で、バフェットは彼のシンプルな投資哲学について、このように披露しいている。
 市場で流通している株式を選別するときは、企業を丸ごとほぼ同じ方法で考える。私たちがビジネスに期待するのは、①私たちが理解できる事業であること、②長期的な展望が明るいこと、③誠実で有能な経営者がいること、そして、④魅力的な価格で手に入ることである。私たちは、株価が短期的によい方向に動きそうだということで株式を買うことはまずない。買った後の事業の実績が満足できるものであり、しかも株価が下がっているとすれば、それは歓迎すべきことである。よいものをさらに安い価格で買い増すことができるからである。
(弟4章 投資哲学を確立する)

○ フィリップ・フィッシャーの影響
 バフェットは、よく、自分の八五%はグレアムであり、残る一五%はフィッシャーだと言う。バフェットは、「フィッシャーが伝えたかったことはすべて読んでいる熱心な読者である」とも言う。
 フィッシャーの投資哲学は、次のようなシンプルで率直なものだ。
  長期的な投資を行う。
  適切な資産ポートフォリオに分散する。
  パッシブとアクティブな運用を組み合わせる。
  コストを意識して低くするように努める。
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 原則というのは本来、滅多に変わるものではない。市場環境が変化しても新たな哲学は不要である。市場には常に恐れと貪欲という二つの病気が蔓延している。ベンジャミン・グレアムは、その状況を「ミスター・マーケット」と名付け、躁鬱病患者で、常に恐れと貪欲の両極端を行ったり来たりする人格として表現している。
(弟4章 投資哲学を確立する)

○ 投資プランを文書にする
 フィデリティのマゼランファンドのピーター・リンチは、一三年間にわたって平均二九%の利回りを達成したことで有名であるが、彼は次のようなアドバイスをしている。
 「ある銘柄の株式を買おうとしたとき、その株式を買う理由を一枚の紙に書いておき、後にその株式を売ろうと考えたとき、売る理由を書いてみるとよい」。紙に書いていると、投資家は誰でも、考えがより明確になり、より深く考え、感情に左右されることが少なくなる。
(弟4章 投資哲学を確立する)

○ あなたの投資哲学をテストする
 自分が投資哲学をどれだけ信じているかを確かめるには、下げ相場を経緯することも重要である。一定の経験が投資家を育て、投資哲学を磨き上げるからである。まして、株価が下がっている最中に株式を買うことほど貴重な経験はない。ある株式がよい投資だということに、どれだけ自信を持っているかをテストするためには、どんな上げ相場よりも下げ相場が適している。上げ相場では、誰でも投資の「天才」になれるものだ。
 成功を収めた住宅開発業者は、景気の悪いときこそ住宅開発を行う好機だと知っている。
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 バフェットのバリュー投資の哲学は、下げ相場で何度もテストされてきた。一九七二年から七四年の間に、彼は持っていた株式の下落で資産の六〇%を失った。しかし、それにもかかわらず、長期的展望に基づくワシントン・ポストとシーズ・キャンディという素晴らしい投資を行っているのである。それぞれ一一〇〇万ドルと二五〇〇万ドルを投じたこれらの投資は、今では一〇億ドルを超える資産になっている。
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 投資哲学を構築する際には、失敗もまた重要である。自分の失敗を振り返り、そこから何を学んだかを説明できるようになれば、優れた投資家に近づける。失敗することによって、どのように進歩したかを詳細に解明し記録することは、投資プランの重要な部分である。
(弟4章 投資哲学を確立する)









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