バフェット投資の王道(第5章 自分の持っているものを知る)

ロバート・P・マイルズ (著), 三原 淳雄 (著), 小野 一郎 (著) 2005年1月17日


○ はじめに
 世界最高の投資家バフェットの発言でよく引用されるのは、「自分には理解できないので、ハイテクへの投資は行わない」という言葉である。平均的な市場参加者のIQをはるかに上回るバフェットにとって、ハイテク企業の株価が呆れるほど高くなっていることは理解できないことであり、だからこそそんな企業に投資することなどできないという意味である。
(弟5章 自分の持っているものを知る)

○ 自分がよく知っているものに投資するバリュー投資
 バークシャー・ハサウェイの繊維事業のような従来型産業をバフェットが気に入っているのは、それが何かを自分でわかっているからである。繊維事業は太古の昔から存在している。保険も銀行も長い歴史を持っている。面白味はないが、必要不可欠な事業を営むバフェットの子会社群は100社を超え、家庭で必要なものは何でも揃う。これらの企業の創業年を平均すれば一九〇九年と古く、基本的に家族のために営まれていた家業だったものばかりである。
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 ある個人投資家が全米で衣料品を扱う小売り企業の株式を買い、彼はこの株式で大きな利益を手にしたが、それは自分が持っているものを理解していて、自分の全資産の大部分を投入して、本当の価値より非常に低い価格で株式を購入し、日曜日になると地元にあるその企業の店舗に出かけて投資先の状況を常にチェックすることができたからである。ある地域で起きている状況はおそらく全米でも同じであり、彼は衣料品を買わないのでその企業の顧客ではないが、自分の所有している企業については理解していた。衣料品の小売り事業を理解することは特に難しいことではない。彼は地元の店の店長と話をし、企業の四半期ごとの利益をチェックし、アニュアルレポートを読み、株主総会に出席し、その企業が誰を顧客としていて、誰が競争相手かもよくわかっていた。
(弟5章 自分の持っているものを知る)

○ 理解できる製品・サービスを提供する企業に投資する
 株式市場では、みんなと同じ考え方になりがちなので注意が必要だろう。だからこそ、バフェットの言葉はよく引用される。「群集と意見が同じかどうかは、あなたの判断が正しいかどうかとは無関係である。あなたの原則と調査、データ、将来の予想、そして理由づけが正しければ、あなたの判断は正しい。」
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 一九七九年にフォーブス誌でバフェットはこう言っている。「将来は不透明だ。みなの意見が一致した甘い見通しに乗ると、とても高い授業料を払う羽目に陥る。だが、不確実性は、長期的な価値に基づいて株式を買う者に助けになる。」みなが売っているときに買い、みなが買っているときに売れとは、株式市場でのお金の儲け方に関する昔からの言い伝えである。しかし、言うのは簡単だが実行は難しい。
(弟5章 自分の持っているものを知る)

○ 企業が古くなればなるほど興味が湧く
 一九八九年のコカ・コーラの一株当たりの利益は四二セントだった。バークシャーが払った平均購入コストは、当時の利益の一五.五倍に相当する六.五ドルだった。そのときのコカ・コーラの純資産は一株当たり一.一八ドルだった。つまり、バフェットの購入コストは純資産の五.五倍だったことになる。九年後にバフェットは投資額を回収したが、想定していた回収機期間のほぼ半分の期間だった。また、この間、純資産は四倍、株価は七倍になった。コカ・コーラの利益は最初に株式を購入したときの三倍になっており、経営陣はその後も自社株式の買戻しを続けていた(バフェットが買った後だけで一〇%を買い戻した)。
(弟5章 自分の持っているものを知る)

○ 財務諸表
 成功する投資家は誰でも、投資した企業の四半期および毎年の決算報告書を読むことができなくてはならない。自分が保有しているものについて知る方法はほかにない。
 バランスシートは、資産から負債を差し引いたものが事業の純資産(バフェットは簿価と呼ぶ)であることを示す。投資する時期の前後を含めて、この数字が時の経過とともに変わっていくかを注意する必要がある。
 損益計算書は、事業の収益状況を示す。究極においては、利益が株式の価値をもたらす。前に述べた例によれば、毎年一ドルの利益を生む企業の株式で、その利益が将来ずっと続く可能性が高い場合、期待利回りが一〇%だとすれば、株式の価値は六.一五ドルになるはずである。あなたがその企業をよく理解しているとすれば、六.一五ドルより安ければよい買い物であり、それより高ければ魅力的ではない。
(弟5章 自分の持っているものを知る)

○ 自分の保有しているものを知るための七つの秘訣
 ①合理的な投資を行う。感情に流されない
 合理的に投資するには、バフェットがグレアムから学んだ主な考え方の一つである。株式であっても企業そのものと考え、一部を保有するのであっても企業を丸ごと保有するものと同じように捉えて、慎重に調査し考えるのである。
 ミスター・マーケットは必ずしも合理的ではない。とても合理的とは思えない気前のよさを見せる躁の状態から、鬱の状態へと大きく揺れ動く。貪欲から恐怖の間を動く振子と言ってもよい。感情に任せて投資を行っているかである。ミスター・バフェットはあくまで合理的であり、賢い投資を行う。常に価値に基づく判断を行っている。
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 ②国内の投資案件に集中する
 海外での投資についてバフェットは、次のように考えている。自分が住み、投資活動を行っている国以外を本拠地とする企業については、その国の政治、通貨、市場、文化などの観点から、事業リスクを見極めることが難しい。
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 ⑦知識と才覚を身に付ける
 株式市場の素晴らしい特徴の一つは、人種・宗教・年齢・性別・教育レベル・国籍などまったく関係がないことであり、最高の実力がものをいう場である。高校も卒業していないカナダ在住のアジア系の移民がバフェットのように資産を築くことも可能である。投資は本質的に多様であり、何の偏見も存在しない。投資は何でも受け入れる。非違合理的な投資行動を歓迎する(ウォールストリートはそれで潤う)一方で、賢明な投資家には正当な報酬を与えてくれる。
(弟5章 自分の持っているものを知る)









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