バフェットの投資原則(はじめに)

ジャネット・ロウ (著), 平野 誠一 (翻訳) 2008年8月22日

  目 次
 第1章 投資の原則
  ○ 哲学がある
  ○ 最大の敵「インフレ」を知る
  ○ 「神の顕現」を体験する
  ○ センセイたちの言うことは気にしない
  ○ ミスター・マーケットと会話する
  ○ ミスター・マーケットの機嫌を気にしない
  ○ 「価格」と「価値」の違いを知る
  ○ 「内在価値」を見極める
  ○ 周囲の雰囲気に流されない
  ○ 利益に勝るものはない
  ○ 昨日の増益から今日の利益は生まれない
  ○ リスクを避ける
  ○ ギャンブルはしない
  ○ 異常事態に注意する
  ○ 異常事態に驚かない
  ○ 過大な借金をしない
  ○ 激安株を探す
  ○ 可能であれば、裁定取引で稼ぐ
  ○ 辛抱強く待つ
  ○ 自分の頭で考える
  ○ 正しい道具を選ぶ
  ○ ウォール街に気をつける
  ○ 自分が理解できる株しか買わない
  ○ 新しい市場も調べる
  ○ ペントロチャイナ
  ○ 自分の能力の輪を広げる
  ○ たくさん読む
  ○ 事件記者になる
  ○ 単純明快を心がける
  ○ 何事も大きく考える
  ○ 自分が何を探しているかを知る
  ○ 数字はほどほどにする
  ○ 倹約の精神を重んじる
  ○ 現実的な目標を設定する
  ○ 事実を直視する
  ○ 変化の方向性に注意する
  ○ いつでも変われる力を養っておく
  ○ 失敗は潔く認める
  ○ 時間の浪費を許さない
  ○ 同じ失敗を繰り返さない
  ○ 失敗から学ぶ
  ○ 「おとぎ話株」を買う
  ○ エクセレント・カンパニーを探す
  ○ 品質にこだわる
  ○ ジャンク・ボンドへの見方
  ○ フランチャイズの価値をあなどらない
  ○ 価格決定力を重視する
  ○ 安価な滞留資金を手に入れる
  ○ 独占を愛する
  ○ オーナーのように考え行動するマネジャーを見つける
  ○ 経営陣は重要だか、よい会社であることはもっと重要だ
  ○ レミングのように行動する会社にならない
  ○ 自社株買いをする企業に着目する
  ○ 事業の多角化をあせらない
  ○ 長期的な視点から投資する
  ○ 要するに
  ○ コラム - 恩師ベンジャミン・グレアム
  ○ コラム - シケモク投資派
  ○ コラム - 警告に耳を貸さない株主たち
  ○ コラム - バークシャー株の子供「B株」
 第2章 貢献の原則
  ○ 株式投資は社会に貢献する手段の一つだ
  ○ 報酬が平等に分配されないとき
  ○ 税金はきちんと納める
  ○ たくさん稼いだら、たくさん寄付する
  ○ 慈善事業への寄付について思うこと
  ○ バフェットの寄付がバークシャーに及ぼす影響
  ○ コラム - ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の活動内容
 第3章 仕事の原則
  ○ 楽しんでやれる仕事に就く
  ○ スタートは早めに切る
  ○ 働きたいところで働く
  ○ 尊敬できる人と働く
  ○ 人をほめる
  ○ パートナーに忠誠を尽くす
  ○ 自分の時間を守る
  ○ 引き際を知る
 第4章 経営の原則
  ○ コミュニケーションをよくする
  ○ “ノー”を言うタイミングを測る
  ○ 模範を示す
  ○ 株主を大事にする
  ○ 優れた人材を雇い、あとは任せる
  ○ 経験を高く評価する
  ○ 投資資金は賢く分配する
  ○ おじけづかない
  ○ さまざまなスキルを組み合わせて使う
  ○ コラム - バークシャー・ハサウェイ年次株主総会
  ○ コラム - グッドバイ、グッドアイデア
  ○ コラム - ソロモン・スキャンダル
  ○ コラム - バークシャー・ハサウェイ・オンライン
 第5章 人生の原則
  ○ 最も居心地のいい場所に住む
  ○ 行きたいように生きる
  ○ 食べたいものを食べる
  ○ 趣味を持つ
  ○ 情熱を注ぐ
  ○ 志を高く持つ
  ○ 目標は要領よく目指す
  ○ 目標に集中する
  ○ 自分を見失わない
  ○ 正直に生きる
  ○ 本当のことを語れ
  ○ ウォールストリート・ジャーナル紙への手紙
  ○ 人格を高める
  ○ おのれを信じる
  ○ だが、うぬぼれてはいけない
  ○ 誇大過大に惑わされない
  ○ 知恵を分かち合う
  ○ 老後は考えない
  ○ コラム - 投資家のみなさま、ウォーレン・バフェットが通ります。ご注意ください
  ○ コラム - いい人なのに一等賞
  ○ コラム - 自分にピッタリのヒーローを探しなさい
  ○ コラム - ネブラスカ・ファニチャー・マートの女主人、ローズ・ブラムキン
 第6章 交友の原則
  ○ 友情の意味を知る
  ○ 友達が困っていたら助ける
  ○ シュワルツェネッガー州知事との交流
  ○ 生涯つき合える友達を作る
  ○ コラム - チャーリー・マンガーとはどんな人物か
 第7章 家庭の原則
  ○ 子供を甘やかさない
  ○ バフェットの子供たち
  ○ 困難は妻とともに乗り越える
  ○ 母親に孝行する
  ○ 最後に
  ○ コラム - 友人や知人はバフェットをどう見ているか
  ○ コラム - バフェットの二番目の妻、アストリッド・メンクス
  ○ コラム - 物議をかもすスーザン・T・バフェット財団
  ○ コラム - 母レイラが息子について語らなければならなかったこと
  ○ コラム - バフェットを批判する人たち

 「第1章 投資の原則」では、バフェットの投資に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「その企業が将来稼ぎ出す現金を定量的に分析し、割安かどうかを判断する」「ほかの投資家がレミングのごとく一斉に売りに走ったとき、買いを入れる」といったことなどを挙げている。

 「第2章 貢献の原則」では、バフェットの社会に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「個人的な見解ですが、私が稼いだお金の大半は社会のおかげです。もし私がバングラデシュやペルーなど、市場が整備されていない土地に放り出されたら、私は自分の才能を生かすことができません。三〇年経っても苦労していることでしょう。・・・」といったことなどを挙げている。

 「第3章 仕事の原則」では、バフェットが幼少時代のときに学んだことや、仕事に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「尊敬できる企業に入り、尊敬できる人たちがいる職場で働くべきです。自分が学ぶべきものを持っている人が周囲にいて、かつその組織になじむことができれば、よい結果はおのずとついてくるでしょう。今はみじめでも、一〇年後には良くなるなどと思って行動してはいけない。今はこれしか稼げないが一〇年後にはその一〇倍稼げるなどと思って行動してもいけない。今楽しめないものを、一〇年後に楽しいむなんてことができるでしょか。たぶん無理でしょう」といったことなどを挙げている。

 「第4章 経営の原則」では、バフェットの経営に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「もし私が何か言えば、せっかく見つけた銘柄が買われて値上がりしてしまします。金融の世界では、パンチをお見舞いするまねをして相手を思いとどまらせることはできません」といったことなどを挙げている。

 「第5章 人生の原則」では、バフェットの人生に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「周囲の人からそれなりの評判を得るには二〇年かかる。でも、その評判はたった五分で崩れることがある。そのことを頭に入れておけば、今後の生き方が変わるはずだ」「自分より立派な人たちとずっと一緒にいれば、少し浮かび上がることでしょう。そうでない人たちと一緒にいれば、ずるずると下がり始めることでしょう」といったことなどを挙げている。

 「第6章 交友の原則」では、バフェットの交友に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「アーノルドとは何年も前から知り合いですが、偉大な州知事になると思います。カリフォルニア州の経済危機を解決することは、ほかの州にとって非常に重要であり、アーノルドならその仕事をやってのけると思います」といったことなどを挙げている。

 「第7章 家庭の原則」では、バフェットの教育に対する考え方の発言をまとめている。一例として、「うちの子供たちは立派です。でも、自分の子供が何かの点でほかの子供たちより有利な立場にあるなら、たとえばどんな育てられ方をしたかとか、どんな教育を受けさせてもらったかとか-自宅で教わったことも含めてですが-そういったことで有利な立場にあるのなら、その子に多額のお金を渡すことは正しくないし、合理的でもないと思います。競争はできるだけ公平な条件で行われるようにすべきなのに、巨額の資産が親から子に受け継がれていけば、不公平さが増してしまいます」といったことなどを挙げている。

○ はじめに
 バフェットの投資家としての経歴は「華々しい」のひと言に尽きる。初めて立ち上げた投資ファンド「バフェット・パートナーシップ」は、一九五六年から六九年にかけて、年率換算で三二%の高利回りを記録して(手数料差引き前)。
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 バフェットはまず、七.五〇ドルで取引されていたバークシャー株を二〇〇株購入した(手数料は一株当たり一〇セント)。その後少しずつ株を買い増し、一九六五年に経営権を握った。当時の株価は、一二~一五ドルだった。
 それから四二年間、バークシャーの一株当たり純資産(BPS)は、スタンダート&プアーズ(S&P)五〇〇種株価指数の二倍のペースで増加してきた。バフェットが運用を始めたころに資金を預け、いまだに引き出さずにいる人(または、それを相続して持ち続けている人)は数十名に上る。
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 一九八〇年代の初め、バークシャー株は五〇〇ドル前後で売買され、総会には一五名ほどしか出席しなかった。八〇年代の後半に、株価は二五〇〇ドル前後になり、出席者数も四〇〇名ほどに増えた。九〇年代に入ると出席者が急増し、バフェットは会場を毎年のように大きなものに変えていった。二〇〇六年には、オハマ最大の会議場であるキューウエスト・センターに一万名ものバフェットファンが詰めかけている。
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 さて、本書を読み進めるにあたっては、次の点に留意していただきたい。まず、本書はバフェットの発言を集めたものであり、投資家向けの「人生に役立つ教訓集」と呼べるものである。彼の発言(および彼に関する逸話など)はテーマ別に分類しており、似ているものは小見出しをつけて一箇所にまとめている。一つの小見出しに発言が一つしかないこともあれば、複数の発言や逸話、出来事などが紹介されていることもある。また、必要に応じて状況説明も加えている。こうした発言には、バフェットが自分を含む多数の人々の財産を運用したり寄付をしたりするときに拠り所とした哲学を探るうえで、小さな手がかりとなるだろう。
(はじめに)

○ バークシャー・ハサウェイという名のブルドーザー
 昔から、バークシャー・ハサウェイという会社の名前を持ち出すと「シャツを作っている会社ですか」とよく聞かれるが、同社はシャツを作っていない。
 ウォーレン・バフェットが株式を買い始めたころの同社は、ニューイングランドを地盤とする紡績会社だった。業績は悪化しており、バフェットも自分の投資では最大級の失敗だと認めている。立て直そうと何度も試みたが奏功せず、紡績業から撤退した。
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 もし一九六五年にバークシャーに一万ドル投資していれば、その価値は二〇〇六年には三〇〇〇万ドルを上回っていただろう。一方、同じ金額を同じ年にS&P五〇〇種株価指数に投じていれば、その評価額はわずか五〇万ドルにとどまっていたはずだ。またモーニングスター社のリポートによれば、バークシャーの一株当たり純資産(BPS)は一九六五年以降、年率換算で二二%近いペースで増えている。こちらも、S&P五〇〇の伸び率は一〇.四%でしかない。
 バークシャーは六五社を超える数の企業を子会社としているほか、約三九銘柄の株式を保有している。投資先は家具販売会社、ファストフード・チェーン、靴メーカー、下着メーカーと多彩だ。ただし、金額で言えば、資産の大半は保険会社にある。傘下のGEICOはアメリカ第四位の自動車保険会社であり、ゼネラル・リーとバークシャー再保険グループは世界最大級の再保険会社である。特にゼネラル・リーは、再保険会社としては世界で唯一、トリプルAの格付けを誇る(再保険会社とは、保険会社に保険を売る企業のこと。保険会社は、保険の販売によって引き受けた大きなリスク、特にハリケーンや地震といった予測できないリスクを一部肩代わりしてもらうために、再保険をかける)。
 格付け会社のムーディーズは現在、最上級の格付け(トリプルA)を八社に与えているが、バークシャーはその一角に名を連ねる。
 バフェットは当初、株式への投資に的を絞っていたが、しだいに企業を丸ごと、それも有利な価格で買収事業に手を広げた。借入れは最小限に抑え、手にした利益は再投資するという手法で収益を増やした。
 バークシャーの保有資産で最も目を見張るものの一つに、多額の現預金がある。二〇〇六年には、その額は四二〇億ドルにのぼっていた。
(はじめに)









                                                             第1章 →
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