バフェットの投資原則(第1章 投資の原則)

ジャネット・ロウ (著), 平野 誠一 (翻訳) 2008年8月22日


○ 哲学がある
 バフェットは折に触れ、恩師ベンジャミン・グレアムの教えに立ち返る。
 「グレアムの教えには、基本となるポイントが三つあると思います。この三つをしっかり押さえておけば、株式投資でまずまずの成績を残せるはずです。どれも単純で、数学の才能などなくても理解できるものです。
 ・・・第一のポイントは、株式は単なる紙切れではなく、その会社の一部だということです。第二のポイントは、市場の変動を自分の敵ではなく友達とみなすこと。ばかげた動きに加わるのではなく、それを利用して利益を得るのです。第三のポイントは、“安全余裕率”を考慮することです。これは、グレアムが著書『賢明なる投資家』の最後の章で、最も重要だと書いたものです。以上の三つのポイントは健全な投資の基礎であって、一〇〇年後も変わることはないだろうと思います」
(弟1章 投資の原則)

○ 最大の敵「インフレ」を知る
 バフェットはなぜ、インフレ率が高い時期にも株式を保有し続けるのだろうか。
 「それが習慣になっている面もあります。また、株を持つことは企業の一部を保有することであり、金の地金や農場を保有するよりずっと面白いということもあります。さらに言えば、おそらく株式は、インフレに対抗できるひ弱な手段のなかでは最も優れています。少なくとも、適正な価格で購入していればそう言えるでしょう」
(弟1章 投資の原則)

○ 「神の顕現」を体験する
 バフェットは、ネブラスカ大学に通っていた一九歳のときに、ベンジャミン・グレアムの古典『賢明なる投資家』を手にした。このときの体験を、バフェットは新約聖書の使徒言行録に書かれた「パウロの回心」になぞらえる。そして、「一ドルのものを四〇セントで買う」哲学を学んだと話している。この本を手にするまでは、バフェットもごく普通の投資家だった。
 「なんにでも手を出しました。株価チャートを集めて罫線を書き入れたり、テクニカル分析の本を読みあさったり、俗にいう相場のコツにも耳を傾けました。そのときに手にしたのが、『賢明なる投資家』です。文字通り、天から光が差してきたような気がしました」

 「あの本に出会うまで、私は、頭ではなく感覚に頼って投資をしていました」
(弟1章 投資の原則)

○ コラム - 恩師ベンジャミン・グレアム
 バフェットがコロンビア大学の大学院を修了した一九五一年、グレアムはバフェットに、過熱相場がひと行き着くまではこの世界に入るのを見合わせた方がいいと言った。この年、ダウ工業株三〇種平均株価は大幅に上昇していた。一九四九年までなかなか超えられなかった三〇〇ドルの壁をものともせず、二五二〇ドルに達する場面もあった。
 バフェットは言う。「当時、私の所持金は一万ドルでした。もしグレアムのアドバイスに従っていたら、今でも一万ドルぐらいしか持っていないでしょう」
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 「グレアムの理論は、優れた運用成績を残すためのもではないし、単なる流行でもない。彼が説いていたのは、あくまで健全な投資です。せっかちにならずに健全な投資を追求すれば、誰でも大きな資産が築けると私は考えています。少なくとも、貧乏になることはありません。どちらかと言えば、後者の効用のほうが大きでしょう」

 「ベン・グレアムのことを知る人は多いのに、彼の理論を実行に移す人は少ない。どうしてでしょうね。私たちも自分たちの原則を自由に話し、年次報告書などにもその中身を詳細に記しています。その気になれば簡単に学べるものですし、実行に移すのも簡単なはずです。それなのに、みなさんは『バフェットさん、今日は何をお買いになるのですか』としか聞きません。グレアム同様、私たちを知る人は多いのですが、私たちのやり方をまねしてくれる人は少ないようです」

 グレアムもバフェット同様、子供のころから数字が好きだった。だが、おそろしく立派な内容のチャートやグラフ、公式を根拠にした投資はすべきではないと話している。
 「投資家は単なる投機目的で証券を購入する場合でも、その醜い衝動を一見真っ当な理論の陰に隠そうとするものだ。それが人間の本性である」
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 バフェットはグレアムを敬愛しいているが、その教えをすべて受け入れているわけではない。
 「ベンは投資に際して、企業が持っている財産を定量的に分析し、株価が割安かどうかを判断しようとした。でも私は、その企業が将来稼ぎ出す現金を定量的に分析して、割安かどうかを判断したいと思っています。ベンのやり方が見事に通用したのは、たぶん一九七三年とか七四年が最後でしょう。あのときは、そういうことが実に簡単にできました」

 「二〇年前に比べると、私は優れた事業や経営陣にもっと高い値付けをしてもよいと思っています。ベンは数字ばかり見ているところがありましたが、私は帳簿には記載されない資産や、目に見えない資産にも着目するようになりました」
(弟1章 投資の原則)

○ センセイたちの言うことは気にしない
 「もし市場が常に効率的だったら、私は今ごろ街角で物乞いをしているはずです」
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 「ビジネススクールで、あれこれ考えても何の役にも立たないと教わった学生が、何万人も投資の世界に入ってくる。これは私にとっては、ありがたいことですね」
(弟1章 投資の原則)

○ ミスター・マーケットと会話する
 「ミスター・マーケット」とは、市場の動きにどう対処したらよいかを教えるためにグレアムが創り出したキャラクターである。グレアムによれば、株式市場は情緒不安定なビジネス・パートナー、「ミスター・マーケット」みたいなものだ。ミスター・マーケットは毎日、株式を売り買いする値段を示しにやってくる。とんでもない値段をつけてくることもあるが、何度断っても、次の日にはまた違う値段を提示しにやってくる。
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 株式相場が急騰した一九八九年三月、バフェットはこんな一文を書いている。
 「この過熱相場がいつまで続くのか、私にはわからない。また、相場に資金を注ぎ込んでいる買い手、その資金の貸し手、政府などが何をきっかけにどう態度を変えるのか、やはり私にはわからない。ただ一つ言えるのは、他人が慎重さを欠いているときほど、自分たちは慎重に事を運ばねばならないということです」

 二〇世紀末の数年間で、バークシャーの株価は大幅に下落した。ハイテク株やインターネット関連株に対する投資家の「根拠なき熱狂」、買収した再保険会社ゼネラル・リーのトラブル、バフェットの体調不良のうわさ、以前に比べれば見劣りする運用成績などが嫌気されたためでる。株価は一九九八年半ばには八万ドルだったが、二〇〇〇年三月にはその半値近くに下がっていた。
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 だがこの不調時にも、バークシャーの一株当たりの純資産は(わずかではあるが)増加していた。
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 市場が過小評価している株価はいずれ必ず上昇するというが、どうしてそう信じられるのだろうか。
 「グレアム・ニューマン・カンパニーで働いていたころ、私は上司のグレアムに同じ質問をしました。彼は肩をすくめ、何をいまさらと言った感じで『市場とは常にそういうものだ』と答えました。実際、彼の言うとおりでした。株式市場は、短期的には人気投票の場にほかなりません。しかし長期的には、企業の真の価値を測る計量器の役目を果たしてくれます」
(弟1章 投資の原則)

○ ミスター・マーケットの機嫌を気にしない
 「投資してみたいと思う企業が見つかったら、株式市場全体の水準はあまり問題になりません。あくまでその企業の状況を見て、投資すべきかどうかを判断します。基本的には、マクロ経済の状況は考慮しません。たとえ誰かが、マクロ経済予測の権威の手による向こう二年間の失業率や金利の予想を教えてくれたとしても、私たちは見向きもしないでしょ。
 自分たちにも理解できる企業に的を絞り、価格が適正か、経営陣を好きになれるかという点だけを考慮します。連邦議会の動きにも関心はありません。そういう話題に目を向けても得るところは少ないと考えています」
(弟1章 投資の原則)

○ チャンスの足音に耳を澄ませる
 「総じて言えば、バークシャーとその株式を長期間保有している株主たちは、株式市場の下落で利益を得ています。食料品をいつも買っている人が、食料品の値下がりで得をするのと同じです。ですから、相場が急落しても(これからも時々あるでしょう)、慌てたり嘆いたりすることはありません。バークシャーにとっては良い知らせなのですから」
(弟1章 投資の原則)

○ 「価格」と「価値」の違いを知る
 バークシャーは一九九二年にオハマの保険会社、セントラル・ステーツ・インデムニティ社を買収した。ウィリアム・M・カイザー(シニア)は、このときの交渉の様子を次のように振り返る。
 「バフェットは、企業を買収するときには(年間)純利益の一〇倍で買うと言っていました。そこで私は『わが社は昨年一〇〇〇万ドルの純利益を計上しました。私のかけ算が正しければ、わが社の値段は一億ドルということになりますね』と言いました。そしたらバフェットは、『オーケー。それでいきましょう』と言うんです。私は慌てました。『えっ、ちょっと待った。一億二五〇〇万ドルでどうです』。『だめだめ、さっき一億ドルとおっしゃったじゃないですか。もう手遅れですよ』」
(弟1章 投資の原則)

○ 「内在価値」を見極める
 「底値で買わなければだめだということはありません。その企業が持っていると思われる価値よりも株価が安いこと、そして正直で有能な人々によって経営されていることがポイントです。しかし、その企業の今日の価値よりも安く買うことができ、しっかりした経営陣だと確信でき、かつそういう企業数社に投資するのであれば、おそらく利益を得られるでしょう」

 このような姿勢で臨む投資家が、割安株を根こそぎ買ってしまう恐れはないのか。
 「私は投資を始めて三五年になりますが、こうした割安株投資を手がける人が増えているという感触はありません。どうやら人間には、簡単なことを難しくやりたがる天の邪鬼なところがあるようです」
(弟1章 投資の原則)

○ 周囲の雰囲気に流されない
 「バークシャーが買いを入れるのは、ほかの投資家がレミングのごとく一斉に売りに走るときです」

 「大半の人は、ほかの人が興味を示している株に興味を持つようです。でも本当は、そうでない株に興味を持つのがベストです。すでに人気の株を買っても、高い投資利回りを残すことはできません」

 「ロケット工学で博士号をとる必要はありません。投資とは、知能指数一六〇の人が一三〇の人を倒すゲームではないからです。合理的かどうかが問題です」
(弟1章 投資の原則)

○ 利益に勝るものはない
 株式の価値の源泉は、毎年の利益またはその見通しにある。
 「投下した資本が高い利益を生み出している企業、それも、その状態が長続きする公算が大きい企業が私たちの好みです。たとえば、コカ・コーラ社を最後に買ったときの株価は、年間純利益の約二三倍でした。しかし、私たちの平均取得価格を現在の純利益と比較すると、その倍率は約五倍でしかありません。投下資本とそこから生まれる利益、そして将来得られる資本という三者の相互作業が、この数字をもたらしたのです」

 「業績がよければ、その企業の株価はおのずと上がるものです」
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 四半期の業績だけで利益の傾向を判断することはできない。バフェットは、ソロモン・ブラザーズの今後について議論しているときにも、そう語っている。
 「年間のROE(自己資本利益率)が一五%ある限り、四半期の業績についてあれこれ心配することはありません」
(弟1章 投資の原則)

○ リスクを避ける
 バフェットに関する著作があるティモシー・ビックは言う。
 「ウォーレンが常に心がけているのは、損失を最小限にとどめることで、できる限りゼロに抑えることです。銘柄選択が優れているというのが彼の定評ですが、私に言わせれば、彼は損失をもたらす投資を巧みに避けてきた人です」

 「私は投資にあたって、確実性にかなりのウエイトを置きます・・そうすれば、リスク要因がどうのという議論はまったく無意味になります。大きなリスクをとる場合にはそうもいかないでしょうが、本当の価値の数分の一の価格で証券を買えるのなら、リスクなどほとんどありません」

 リスクのない投資の例として、バフェットはよくワシントン・ポスト社を引き合いに出す。ワシントン・ポストの時価総額は一九七三年当時で八〇〇〇万ドルであり、借入金はゼロだった。
 「あの会社の純資産はいったいいくらだったか。業界の誰に聞いても、四億ドルぐらいの値段になったはずです。大西洋のど真ん中で午前二時にオークションを開いても、きっと誰かが現れてその程度の価格を提示したことでしょう。しかも、この会社は正直かつ有能な人たちの手によって経営されており、経営陣自身も、各々の純資産のかなりの部分を同社の株式で保有していました。こんなに安全な投資先はそうありません。全財産を注ぎ込んでも、何ら心配することはなかったでしょう」
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 「昔の話です。アイザック・ニュートンという科学者が三つの運動法則を提示しました。あれはまさに、天才ならではの偉業です。しかし、彼には投資の才能はありませんでした。一八世紀のイギリスで起きた南海泡沫事件で大きな損を出し、『天体の動きなら計算できるが、人々の狂気は計算できない』と後に語ったと言われています。もし彼がこの損に懲りていなければ、運動の第四法則を発見していたかもしれませんね。すなわち、『投資家全体にとっての運用成績は、市場の運動量が増えるにつれて低下する』という法則です」
(弟1章 投資の原則)

○ ギャンブルはしない
 「ギャンブルをしたいという衝動は、賭け金が小さく、かつ賞金の額が大きいときに増幅されます。当たる確率や本当のオッズがいくら小さくても、賞金が大きければ人は集まります。ラスベガスのカジノがスロットマシンの賞金記録を広告で流したり、州政府の宝くじが一等賞金のことさら強調したりするのはそのためです」
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 カジノに足を運んでしまったら、自分の飲み物をチェックしよう。
 「あなたは株式市場というカジノで、たくさんの愚かな人たちを相手にしているようなものです。カジノにいる人たちは、みんな酔っぱらっていますよね。でもその場の雰囲気に流されることなく、ペプシ(あるいはコカ・コーラを)飲むんです。そうすれば万全オーケーですよ」
(弟1章 投資の原則)

○ 過大な借金をしない
 増え続けているアメリカ貿易赤字は大変危険な債務だ、下手をすると資産を失うことになりかねない、とバフェットは言う。
 「貿易赤字を縮小しようとしてもうまくいかないのは、アメリカが裕福だからだ。もし今のように裕福でなかったら、貿易赤字の拡大にも歯止めがかかったことだろう。だがアメリカは裕福だから、利益を生む資産とつまらない商品と交換し続けることができてしまう。
 これはたとえて言うなら、広大な農場の一部を切り売りしながら、現在の収入以上の生活を楽しんでいる裕福な地主みたいなものだ。農場が手元にある限り、生活が苦しくなることはない。だが売り払う財産はやがてなくなり、地主は小作農へと転じる。地主としての人生を、小作農としての人生と交換することになるのだ」
(弟1章 投資の原則)

○ 激安株を探す
 バフェットの投資スタイルを解説した本は、すでに何冊か出版されている。これらによるとバフェットは、目を付けた企業が今日から将来にかけて稼ぎ出す現金と支払う現金の差額を計算する。その差額を適切な利子率で割り引いて現在価値を計算し、その企業の適切な株価を割り出している。しかも、こうした計算をすべて頭の中でやってしまうという。そんなことができるのかと疑いたくなるが、計算過程を記した紙は残っていないようだ。
(弟1章 投資の原則)

○ 可能であれば、裁定取引で稼ぐ
 バフェットは一九九八年二月、バークシャーが一億二九七〇万トロイオンスの銀塊を買い集めたと発表した。当時の世界の地上在庫の三〇%に相当する量である。発表によれば、買い始めたのは一九九七年七月二五日。銀の先物価格が一トロイオンス当たり四ドル三二セントという六五〇年ぶりの安値を付けたその日である。
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 バフェットが銀に初めて興味を持ったのは一九六〇年代、アメリカ政府による貴金属廃貨が間近に迫った頃だった。これ以降は銀を保有しなかったが、そのファンダメンタルズには常に注意していた。そして鉱山での生産や銀製品の再生による供給を需要が上回って銀塊在庫が劇的に減ったとき、バフェットとマンガーは、需要はある時点で均衡に向かい銀価格は上昇すると判断したという。
(弟1章 投資の原則)

○ 辛抱強く待つ
 「投資の世界には、見送りの三振がありません。投資家は、バットをもってバッターボックスに立ちます。すると、市場という名のピッチャーがボールをど真ん中に投げ込んできます。たとえば、『GM株を四七ドルでどうだ』という感じで投げてくるのです。もし四七ドルで買う決心がつかなければ、見送ります。野球であれば、ここで審判が『ストライク』と言いますが、投資の世界では誰も何も言いません。投資家がストライクをとられるのは、空振りしたときだけです」
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 「郵便が三週間遅れて届くような田舎に住んでいたほうが、優れた運用成績を残せるかもしれない」
(弟1章 投資の原則)

○ 自分の頭で考える
 オハマに生まれ育ったことで、バフェットは他人を頼らない開拓者魂を身につけた、とチャーリー・マンガは言う。「投資に成功することは、本質的に他人を頼らない自立した者である、と彼は考えている」
(弟1章 投資の原則)

○ 正しい道具を選ぶ
 他人を頼りにしない自立した投資家に向けて、バフェットは次のようにアドバイスしている。
 「まず、企業がどのように活動しているかを知り、そこで使われている用語(財務会計や簿記の知識のこと)を学ぶ必要があります。そしてある程度の情熱を持ち、辛抱強さや冷静さを身につけてください。特に辛抱強さや冷静さは、知能指数より重要かもしれないと私は思っています。この四つを満たせば自分の頭で考える力がつき、市場をときおり襲う集団ヒストリーの悪影響も避けることができるようになります」
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 「企業経営者が会社についての事実を株主につたえようとするとき、経営者は企業会計の原則の枠内でそれを行うことができます。ですが残念なことに、フェアでないことをやろうと思っても、企業会計の原則の枠内で行うことができます。少なくともいくつかの業種ではそうです。この違いがわからない人は、個別株投資に手を出すべきではありません」
(弟1章 投資の原則)

○ ウォール街に気をつける
 「フルタイムで働いているプロの人たちは、一般の人たちに大変大きな利益をもたらしてくれます。たとえば、歯医者さんなどがそうです。ですが総体的に言って、ウォール街で資金を運用するプロのファンド・マネジャーたちは、何の利益ももたらしてくれません」

 「ウォール街の人たちは、熱狂的な金融ゲームが繰り返される様子について、複雑な経済の微調整を促す高度な機能であり、社会の役に立つものだといった表現を好んで使います。しかし、本当のところはその逆でしょう。短期的な値幅取りを目的にした取引は、『神の見えざる手』ならぬ『見えざる足』となり、社会の向こうずねを蹴り続けているではありませんか」
(弟1章 投資の原則)

○ 自分が理解できる株しか買わない
 「投資は合理的に行わなければならない。もしそれがわからないなら、投資などしないことだ」
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 「失敗した場合でも、そのいきさつを説明できるようにしておきたい、と私は考えています。つまり、自分が完全に理解していることしかしたくないのです」
(弟1章 投資の原則)

○ 新しい市場も調べる
 二〇〇二年にイギリスを訪れたとき、バフェットはサンデー・テレグラフ紙の取材に応じ、この国で「大きな取引」ができることを楽しみにしていると語った。
 「私たちはゾウを捕まえに来たのです・・・専用の銃も手に入れたし、弾も込めてありますよ」
 イギリスで得た獲物は、酒類製造などで知られるアライド・ドメック、ヨークシャー電力、スーパーマーケットのテスコなど。韓国の製鉄大手ポスコの株式も四%取得し、イスラエルのハイテク企業もいくつか手中に収めた。
 二〇〇六年の株主総会では、もし仕事を一からやり直すことになったら、今度は世界各地に投資するだろうと語っている。
(弟1章 投資の原則)

○ ペトロチャイナ
 ペトロチャイナ(中国石油天然気)は、時価総額で言えばロイヤル・ダッチ・シェルに次ぎ世界第四位の石油会社である。バークシャーは同社の株式を二三億株、率で言えば一.三%保有している。取得費用は四億八八〇〇万ドルだが、二〇〇六年後半には、その価値が三三億ドルに上昇していた。
(弟1章 投資の原則)

○ 自分の能力の輪を広げる
 まず紙と鉛筆を用意する。
 「そうしたら、自分が理解できる企業の名前を書いて、それを取り囲むように輪を書きます。次に、その輪のなかにある企業のうち、その本来の価値に比べて株価が割高なもの、経営陣がダメだと思うもの、事業環境が芳しくないものなどを消します」

 次に、
 「私だったら一業種ずつこつこつと勉強し、最終的には五,六業種についてある程度深い知識を持ちたいと考えます。またどんな業種であっても、一般にいわれていることを鵜呑みにせず、自分の頭で考えてみたいと思います。・・・保険であれ紙パルプであれ、一つの企業に目をつけたら、自分がその企業を相続するつもりで調査をします。要するに、経営者兼大株主の立場に立って考えるわけです。しかも、自分の一族が保有する資産はこの企業だけだと仮定します。・・・経営者として自分は何をするか、何をしたいと考えているか。心配事はないか。どんな競争相手になりそうな人や、顧客になりそうな人に直接聞いてみるのです。そうすれば、その会社の長所と短所が見えてきます。・・・ここまでやれば、経営陣よりもその会社のことを理解できているかもしれません」
(弟1章 投資の原則)

○ たくさん読む
 バフェットは、どうやって企業の真の価値を見出すのだろうか。とにかくたくさん読むのだそうだ。
 「目をつけた企業の年次報告書を読み、次にその企業のライバルや会社の年次報告書を読みます。これが主たる情報源です」
 GEICOに最初に着目したときもそうだった、とバフェットは振り返る。
 「図書館にこもって、とにかく読みまくりました。まず(保険格付けで有名な)AMベスト社の資料を読み、いろいろな会社をひととおり調べてから、詳しい知識を得るために何冊か本を読みました。そして年次報告書を読み、保険の専門家に話を聞き、可能な場合には経営陣にも会って話を聞きました」
(弟1章 投資の原則)

○ 単純明快を心がける
 「株式投資の極意とは、いい銘柄を見つけて、いいタイミングで買い、いい会社である限り持ち続けること。これに尽きます」
(弟1章 投資の原則)

○ 数字はほどほどにする
 「もし投資に数学が必要だとしたら、私はかつて携わっていた新聞配達の仕事に戻らなければならないでしょう。実際、私は投資という分野では、代数の知識の必要性を感じておりません。企業の真の価値を探ることがその根幹にあるからです。たしかに、一株当たり純利益を計算するときは、純利益を発行済み株式数で割りますから、割り算は必要です。
 でも、たとえば農場やアパート、クリーニング店などを買収したいと考えるとき、高度な計算ができる人物を新たに雇ったりするでしょうか。たいていの人は、たぶんしないと思います。それがいい買い物であるかどうかは、買収した企業がこれから利益を稼ぎ出す力と、支払う価格(株価)によって決まるのです」
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 投資銘柄を選ぶときに高度な数学を使う必要がないとすると、学術誌や業界誌はなぜ数量分析を詳しく取り上げているのだろうか。バフェットはこう見ている。
 「ピラミッド型の組織を作っている聖職者の集団なら、どこでもやっていることです。下を創らねば上には立てない、ということですね」

 数学は不要だというバフェットの考え方は、何となく生まれたものではなく、あらゆるものを試したうえでたどりついた結論だという。
 「私はかつて、ありとあらゆる種類の銘柄について株価チャートを作っていました。データは多ければ多いほどいいと思っていたものです」

 一〇代のころはテクニカル分析に没頭していた。一七歳のときには、分析記事を一本書いて公表したことがある。
 「経済誌のバロンズが、掲載している統計数値をどのように利用しているか教えてほしという原稿募集の広告を出したんです。採用したものについては誌面で紹介し、五ドルの謝礼を支払うとのことでした。そこで、私は端株に関する統計の使い方を書いて送りました。採用されたのですが、私が統計を使って稼いだのは、この五ドルが最初で最後です」
(弟1章 投資の原則)

○ 倹約の精神を重んじる
 「私は、どこかの会社がコスト削減に乗り出したというニュースを耳にするたびに、この会社はコストというものをちゃんと理解していないと思ってしまします。コストの削減は一気にやるものではなく。目覚めたときに『さて、息でもするか』などと考えないように、本当の意味で優れた経営者は、『よし、今日はコストを削減するぞ』などと考えたりしないものです」

 バークシャー・ハサウェイは、サンフランシスコの大手銀行ウェルズ・ファーゴの株を約七%保有していた。ある日のこと、チャーリー・マンガの耳にこんなニュースが入った。同社のCEOのカール・ライチャートが、幹部の一人がオフィスにクリスマス・ツリーを飾りたがっていると聞いて、それほど欲しいのならポケットマネーで買うようにと命じられたというのだ。
 マンガーは、この話を好意的に受け取った。「そのニュースを聞いて、われわれは株を買い増したんだ」
(弟1章 投資の原則)

○ 事実を直視する
 自分の保有する株が値上がりしても、自分の手柄だと思ってはいけない。結局のところ、「株は、あなたに所有されていることを知らないのです」
(弟1章 投資の原則)

○ 変化の方向性に注意する
 バフェットとマンガーは変化の程度が限られている(少なくとも対処できる範囲にとどまっている)産業を好む。
 「たとえば、チューインガムなんかいいですね。チューインガムのかみ方は、この二〇年間でまったく変わっていません。新しいテクニックを誰も編み出していないわけです」
(弟1章 投資の原則)

○ 失敗は潔く認める
 バフェットは一九九八年、大手再保険会社ゼネラル・リーを二二〇億ドルで買収した。この取引には二つの利点があった。一つは、バフェットの能力の輪(この場合は保険業)のなかに入る事業であること。もう一つは、世界市場に打って出るというバフェットの最近の目標に合致していたことだった。コネチカット州に本社を構える同社は、一五〇近い国々で事業を展開する世界最古の再保険会社コロン・リーの株式を七八%保有している。ゼネラル・リーとコロン・リーを合わせた再保険事業は、世界で最も長い歴史と三番目に大きな事業規模を誇っている。
 だが買収からほどなく、バフェットはゼネラル・リーの保険引受業務と準備金の積立に問題があることを発見し、その解決に数年を要した。それだけではない。顧客の利益を実際よりも多く見せかけるために不正だと知りながら保険を引き受けた疑いが浮上し、SECによる調査にも対応しなければならなかった。さらに、ゼネラル・リーのデリバティブ取引部門とも対決しなければならなかった。バフェットも後に認めたように、同社はまさに問題児だった。
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 とはいえ、ゼネラル・リーは有力な保険会社であり、バフェットもマンガーも、傘下に収めて良かったと話している。同社はムーディーズ、S&P、そして保険会社の格付けで知られるAMベストの三社から最上級の格付けを獲得している。バークシャーにとって最も価値のある資産の一つに、フロートと呼ばれる保険会社の滞留資金がある。バフェットはこれを運用して利益を上げているが(ある株主はこれを「女装したレバレッジ」と呼んでいる)、四九〇億ドルに達するバークシャーの滞留資金の半分近くはゼネラル・リーによるものだ。しかもバフェットは二〇〇六年、ゼネラル・リーのデリバティブについて株主のみなさんに悲しい報告をすることはもうないでしょうと述べている。残高がほとんど無視できるレベルにまで圧縮でき、同社の経営を揺るがす恐れはなくなったからだ。
(弟1章 投資の原則)

○ 同じ失敗を繰り返さない
 バフェットは一九九五年、バークシャーが保有していた航空会社USエアの転換権付き優先株の評価額を三億八五〇〇万ドルから七五%も引き下げ、二億六八五〇万ドルを償却した。約束されていた利回り九.二五%の配当金が、九四年九月から支払われなくなったからだ。翌九六年の春には、この優先株の売却先を探し始めた。
 「優先株だということで投資しましたが、それがそもそもの失敗でした。素晴らしい事業だと判断して投資したわけではなかった、ということです。素晴らしい事業なんて、この世の中にはそう多くはありません」

 バフェットはノースカロライナ州で行った講演で、航空事業が投資に向かない理由を次のように説明している。
 「ライト兄弟が初飛行したのは、ここノースカロライナ州のキティ・ホークという村です。興味深いのは、その時代から現在に至るまでアメリカの航空運輸業界が、差し引きすればまったく利益を上げてこなかったということです。もし、あの時代のキティ・ホークに戻って初飛行の瞬間に立ち合うことができたら、人はきっとこう思うでしょう。いつか世界中の何千万人という人たちが同じように空を飛ぶようになり、人と人との距離がぐっと近いものになる。ならば、この技術に関わらなくてどうする、と。
 しかし、何千万、いや何億ドルという資金が投じられたにもかかわらず、航空事業全体としてはまだ利益が出ておりません。もしこの事業全体に投資していたら、その利回りはマイナスになっているはずです。だからもし、あの時代のキティ・ホークに資本家が立ち会っていたら、ライト兄弟は撃たれていたことでしょう。飛行機の技術は人類にとっては偉大な一歩かもしれませんが、資本主義にとっては大きな後退なのです」
(弟1章 投資の原則)

○ 失敗から学ぶ
 バフェットは二一歳のとき、自分の純資産の二〇%をあるガソリン・スタンドに注ぎ込んだ。彼に言わせれば、これは人生最大の失敗の一つだったらしい。この二〇%をほかの案件に投じていれば、八億ドル前後に増えていたはずだというのがその根拠である。
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 バークシャーは株主に配当金を支払っていない。いわゆる二重課税を避けるためであり、株主の利益を自動的に再投資するためである。ただバフェットは一度だけ、投資パートナーシップの株主に一〇セントの配当を支払ったことがある。
(弟1章 投資の原則)

○ 「おとぎ話株」を買う
 バフェットは内在価値や安全余裕率を説明するとき、文学的な表現を好んで使う。彼が好きなのは、たとえばこんな企業だ。
 「私好みの企業は、たとえるならば、かっこいいお城のようなものです。周囲を深く危険な壕に囲まれ、なかには正直で慎みのあるリーダーがいます。この城の強みは内部にいる優秀な人材で、壕は常に水をたたえ、敵は攻め込むのをためらいます。また、リーダーは城の富を作り出しても、これを独り占めしたりしません。要するに、われわれが投資したいと思う企業は、市場で圧倒的な力を誇り、まねをすることが困難で永久に揺るがないと思えるほど強力なフランチャイズを持っている企業です」
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 一九六九年には、お気に入りの「おとぎ話株」について現実世界の言葉で解説したことがある。
 「私が株を買うときには、その会社全体を買うつもりで考えます。平たく言えば、商店街にある店を一軒丸ごと買うつもりでいろいろと調べ、分析するということです。丸ごと買うのなら、その店のことをすべて知っておきたいと思いますよね。ウォルト・ディズニー株のときもそうでした。ディズニー株は、一九六六年の前半には五三ドルで売買されていました。ちょっと見ただけでは、特に割安感はありません。しかし、この株価に発行済み株式数をかけると、時価総額は八〇〇〇万ドルになります。それだけ払えば『白雪姫』や『南海漂流』などの数々の作品が手に入るのです。しかもこうした作品のなかには、作品としての価値は健在なのに、帳簿上ではすでに減価償却されて評価額がゼロのものもありました。おまけに、ディズニーランドや、天才ウォルト・ディズニーがパートナーとしてついてくるんですよ」

 一九九六年、ディズニーがキャピタル・シティーズ/ABCを買収した後、バークシャーは再びディズニー株を大量保有するようになった。
 「映画の『白雪姫』を所有することは、油田を所有するようなものです。つまり、売っても売ってもなくならないということです」
(弟1章 投資の原則)

○ エクセレント・カンパニーを探す
 「バカでも経営できる企業を探しなさい。いずれ、そういう人間が経営者になるのだから」

 「企業の業績は、いろいろなことから影響を受けます。しかもそれが来週なんか、来月なのか、はたまた来年なのかは誰にもわかりません。ですが本当に重要なのは、取り組むにふさわしい事業を営んでいるかどうかです。古典的な事例として、コカ・コーラを取り上げてみましょう。
 同社が株式を公開したのは一九一九年で、初値は四〇ドルでした。ところが、その翌年に一九ドルに下落しました。第一次世界大戦の後、原料となる砂糖の価格が激変したためです。初値で買った投資家は、一年後には投資額の半分を失ったことになります。
 しかし、それにもめげずその株を持ち続け、配当もすべて投資していたらどうなったでしょうか。その株には今、およそ一八〇万ドルの価値があるはずです。この間には恐慌もありました。戦争もありました。砂糖の価格は上下に大きく変動しました。そのほかにも数え切れないほどの変化がありました。それにもかかわらず、コカ・コーラ株は大きく値上がりしたのです。
 要するに、大事なのは商品そのものが長期間持ちこたえられるかどうかを考えることです。その銘柄を買うべきか売るべきかを延々と考えるよりも、そちらのほうがはるかに実りが大きいとはおもいませんか」

 「こういうふうに考えてみましょう。これからあなたは一度だけ取引をして、その後一〇年間投資の世界から離れるとします。今手に入る情報はすべて手元にあり、その内容も十分把握していますが、向こう一〇年間は投資対象を変更できません。さて、どんなものに投資しようと考えるでしょうか。
 私なら、確実性を重視します。確実に成長し続ける市場で事業を営み、世界的規模でリーダーの地位を維持できる、しかも大幅な売上数量の増加が見込める、そんな企業です。そうなると、コカ・コーラしか思い浮かびません」
(弟1章 投資の原則)

○ ジャンク・ボンドへの見方
 バフェットは一九八三年と八四年、ワシントン電力公社(WPPSS)の社債を一億三九〇〇万ドル購入した。この社債は格付けを見る限りリスクが高く、WPPSSならぬWHOOPS(「おっと、しまった」の意味)とも呼ばれていた。なぜそんなジャンク・ボンドを買ったのかという問いに、バフェットはこう答えた。
 「私たちは、格付けをもとに判断しているわけではありません。もし、格付け会社のムーディーズやS&Pに投資資金の運用を任せたいのであれば、とっくの昔にそうしています」
 ※この債券は結局デフォルト(債務不履行)にならず、年率一六.三%の高い利回りをバークシャーにもたらした。しかも、発行体が公的企業であるため税金は一切かからず、年換算で二二七〇万ドルの利息が手に入った。
 これ以降、バフェットはRJRナビスコ、クライスラー・フィナンシャル、テキサコ、タイム・ワーナー、アマゾン・ドット・コムなどのジャンク・ボンドに投資して利益を上げた。
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 バフェットはバークシャーの二〇〇二年の年次報告書で、株式投資とジャンク・ボンド投資には似ている面があると書いている。
 「どちらの投資も、証券の価格と価値を比べる必要があります。また何百何千という証券の情報に目を通し、そこにごくわずかに含まれている、リスクとリターンの比率が魅力的な銘柄を探し出す必要もあります」

 しかし、株式とジャンク・ボンドでは期待するものが異なるという。株式投資ではどの銘柄でも利益の実現を狙うが、ジャンク・ボンドはその限りではないそうだ。
 「私たちが買うジャンク・ボンドは発行しているのは、まさにぎりぎりの状況にある企業です。過大な借入金があるのが普通で、資本利益率の低い産業に属していることも少なくありません。経営陣の資質に疑問を感じることもあります。経営陣と社債保有者の利害が直接ぶつかる恐れすらあります。したがって、ジャンク・ポンド投資にあたっては、多額の損失がときおり発生することをあらかじめ想定しています。ただこれまでのところ、まずまずの成績を収めていると思います」
(弟1章 投資の原則)

○ フランチャイズの価値をあなどらない
 「今こうしている間にも、地球に住む二五億人の男性のヒゲが少しずつ伸びている。そう考えながらベッドに入れば、ぐっすり眠れるはずです。たぶん、ジレットの社員に不眠症の人はいないと思いますよ」
(弟1章 投資の原則)

○ 安価な滞留資金を手に入れる
 保険会社は、保険料を集め、それを保険金として支払うまでの間、これを運用して利益を得る。バフェットは早い時期にこのことを知り、その滞留資金(フロート)の運用益が保険会社全体の利益を決めることを学んだ。バークシャー・ハサウェイが保有する保険会社の滞留資金は、合計で約六五億ドル。このうち三〇億ドルは、完全子会社となったGEICOのものである。もちろん、この滞留資金は一時的に預かっているものであり、バークシャーが所有しているわけではないが、利用することはできる。バフェットはこう語る。
 「(証券アナリストのなかには)保険会社の価値をその簿価だけで評価する人がいますが、あれは大きな誤りです。本来なら、滞留資金の価値も考慮しなければなりません」
(弟1章 投資の原則)

○ 独占を愛する
 フレディマック(連邦住宅貸付抵当公社)は、金融機関の住宅ローン債券(モーゲージ)を多数買い集めてモーゲージ証券を発行する準公的機関である。姉妹のような関係にあるファニーメイ(連邦住宅抵当金庫)と合わせると、その市場シェアは九〇%を超える。つまり、モーゲージ証券の発行市場はほぼ、この二社による寡占状態にある。
 「(寡占は)独占に次いで素晴らしい状態です」

 「新聞の発行も、素晴らしい事業だと言えます。この業界には、ほぼ独占的な状態がごく自然に形成される傾向があるからです。もちろん、広告媒体として見ればほかのメディアと競争状態にあるわけですが、非常によく似たライバルは存在しません。これと同じような業界があったら、ぜひ教えていただきたい。まず見つからないでしょうが」
 ※この発言は一九八六年のものである。この後アメリカでは人口動態や小売業界で大きな変化が生じ、インターネットのように競合する広告媒体も増えたことから、新聞業界に対するバフェトの評価は「悪くはないが、すごくいいとは言えない」へと下がり、最終的には新たに新聞社を買収することへの関心も完全に失ってしまった。
(弟1章 投資の原則)

○ 経営陣は重要だが、よい会社であることはもっと重要だ
 「結局、ほとんど例外なくこういうことになるでしょう。優秀と評されている経営陣が、事業基盤が弱いと評されている企業に乗り込んだ場合、変わらずに残るのは企業の評価のほうです」

 「特に経営などされていなくても多額の利益が上がる企業。それが私の理想です」
(弟1章 投資の原則)

○ 要するに
 「株式投資は単純明快です。誠実で有能な経営陣が率いる優れた企業を見つけ、その内在価値より安い価格で株を購入する。そして、永久に保有すればよいのです」
(弟1章 投資の原則)









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