バフェットの投資原則(第2章 貢献の原則)

ジャネット・ロウ (著), 平野 誠一 (翻訳) 2008年8月22日


○ 株式投資は社会に貢献する手段の一つだ
 「経済的な繁栄を得るには実物資本の大幅な増加、つまり近代的な生産設備などへの多額の投資が必要不可欠です。たとえ労働力が潤沢に供給され、消費需要が旺盛で、政府の政策が優れていたとしても、高価で新しい資本財があらゆる産業で活用されない限り、人々は大変ないらだちを覚えることでしょう。
 このことはロックフェラー一族のみならずソ連も理解しています。西ドイツや日本ではこの考え方を実際に応用し、大変な成果を収めています。エネルギー資源の面ではアメリカのほうがはるかに有利であるにもかかわらず、これら両国は資本形成を急ピッチで進め、アメリカ以上のスピードで生活水準を向上させてきたのです」
(弟2章 貢献の原則)

○ 報酬が平等に分配されないとき
 「個人的な見解ですが、私が稼いだお金の大半は社会のおかげです。もし私がバングラデシュやペルーなど、市場が整備されていない土地に放り出されたら、私は自分の才能を生かすことができません。三〇年経っても苦労していることでしょう。・・・」
(弟2章 貢献の原則)

○ 税金はきちんと納める
 バフェトはジョージ・W・ブッシュ大統領の減税案に反対した。特に、死亡した人の遺産にかかる「遺産税」を廃止する案については、「金持ちのための減税」と呼んで異を唱えた。逆に、中低所得者層への減税には賛意を示した。ふだんの生活に必要なことにお金を使う可能性が高所得者層よりも高く、それゆえに景気を刺激する公算も大きいというのがその理由だ。
 「共和党のメッセージは、俺たちは金持ちだ、税金なんかもう払いたくないと言っているように聞こえます。これは、あまり理にかなったことではないと思います。だって、私が納めている税の税率は、私の秘書の税率より低いんですよ・・・はっきり言って、これは変です」
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 バークシャー・ハサウェイは二〇〇六年、四四億ドルの連邦法人税を納めた。申告書は九三八六ページという大部なものだった。
 「アメリカ政府は前年度に二兆六〇〇〇億ドルを使いました。一日当たりに直せば七〇億ドルの支出です。したがってバークシャーは、連邦政府の支出の半日分以上を負担したことになります。社会保障費やメディケアの費用から軍の経費に至るまで、あらゆる支出の合計の半日分です。もしバークシャーのような納税者が六〇〇名いれば、ほかには誰も連邦所得税や賃金税を一切納める必要がなかったことになるでしょう」
(弟2章 貢献の原則)

○ たくさん稼いだら、たくさん寄付する
 個人財産の八五%相当額を意義のある事業に寄付する(ゲイツ財団への寄付とは別に、六〇億ドルがバフェットの家族の財団経由で提供される)という約束は、アメリカ史上最も気前の良い行為である。アメリカの二大慈善家、「鉄鋼王」のアンドリュー・カーネギーと「石油王」のジョン・D・ロックフェラーをもはるかにしのぐほどだ。二〇〇六年の貨幣価値で計算すると、カーネギーの信託財団は四一億ドル、ロックフェラーは七六億ドルにとどまる。
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 多額の資産を持つ二人が手を握るとなれば、壮大なことこのうえない。バフェットの寄付により、ゲイツ財団の規模は、アメリカ第二位の民間慈善団体であるフォード財団の六倍近くに膨らむ。ゲイツ財団の予算と資源は、世界保健機構(WHO)をも上回る。もしゲイツ財団が一つの国だったら、その資産は世界ランキングの五五位に相当しよう。産油国のクウェートを上回る規模だ。
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 バフェットとゲイツがタッグを組めば、世界各地で苦しんだり困ったりしている人々の痛みや悩みを軽くできる可能性が生まれるが、この二人が組むこと自体を問題視する向きもある。イギリスのガーディアン紙は問題点を次のようにまとめていた。
 「アフリカにある多くの国々の保健大臣たちにとって、事業計画をゲイツ財団に提供することは、西側の先進諸国から援助を引き出すことよりも優先順位の高い仕事になった。これほどの大きな力が一つの財団に集中して、はたして良いのだろうか。ゲイツ氏とバフェット氏のために、ほかの援助が衰退してしまう恐れはないだろうか。実際、ユニバーサル・ヘルスケア(国民皆保険)の裏口民営化を危惧する人々は、財団の規模に警戒感を抱いている」
(弟2章 貢献の原則)









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