フィッシャーの「超」成長株投資(Chapter6 いつ売るべきか - その株に売り時はあるのか?)

フィリップ・A. フィッシャー (著), 高田 有現 (翻訳), 武田 浩美 (翻訳) 2000年10月1日


○ 株を売る3つの理由
 本書で述べた方法を使って株うべき株を厳選し、時期を選んで買い付けたのだとすれば、その株を売る理由は3つ、わずかに3つしかありません。ひとつめの理由はだれもが納得できるものだと思います。つまり、投資対象を選択する時点で判断を誤っており、その企業が実際には思っていたほど優れた条件を備えていなかったことがしだいに明らかになるような場合です。このような状況に適切に対処できるかどうかは、主に感情面での自己抑制の問題です。投資家が自分自身に正直になれるかどうかによって、ある程度は決まってくるのです。

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 見込み違いの株は塩漬けにするのではなく早めに売却し、自由な資金に換えたうえで、大きな利益が望める銘柄に投資しなおすことが特に大切です。
(Chapter6 いつ売るべきか)

○ 危険で不合理な選択
 このようにしていけば失敗が大きな損失につながることは避けられるのですが、いざ実行するとなると簡単にはいかないものです。人間には自尊心というものがあります。自分が間違っていたとは思いたくないのです。買った株が間違いだったと気づいても、売却時に多少なりとも利益が出れば、ばかなことをしたという意識は消えてしまいます。それとは逆に、少しでも損をすると、何から何まで駄目だったのだという気分になってしまいます。このような心理的反応は自然で正常なものではあるものの、そうした気分にとらわれて投資をしていくとしたら、それは非常に危険なことです。どの株だろうと少しでもよいから利益が出るまで持ち続けようとするのは、何よりも損失を大きく広げる原因とさえいえるのです。
(Chapter6 いつ売るべきか)

○ 売るべき第二の理由=状態の変化
 企業の状態が悪化するには2つの原因が考えられます。経営者に問題があるか、もはやこれまでのように売上げが伸びなくなってきているかのどちらかです。企業の成功が、かえって経営の中枢にいる人間を堕落させることがあります。かつての活力や巧みな経営手腕が、うぬぼれ、自己満足、惰性といったものにとって代わられたのです。それよりも多く見られるのは、経営陣の交替により、経営のレベルが低下するという現象です。新しい経営陣が、その会社を爆発的に成長させてきたそれまでの経営方針を捨ててしまったか、そうでなければ、それを実行するだけの能力をもっていないかのどちらかです。上に述べたようなことがひとつでも目についたなら、株式市場全体がどれだけ好調でも、売却益にかかる税金がどれだけ大きかろうと、その企業の株は、すべてただちに売ってしまうべきです。
(Chapter6 いつ売るべきか)

○ 大失敗の原因
 わたしはこれまで、数多くの投資家が弱気相場を恐れて株を処分し、その先何年にもわたって手に入れられたはずの大きな利益を捨ててしまうのを目にしています。結局は市場の下落などは起こらずに、その株が上がり続けることもよくありました。いわゆる下げ相場がほんとうにやって来たときでも、自分が売った値段よりも安く買うことができた例は、これまで見てきた限りでは10に1つもありません。たいていは、自分が投げ捨ててしまたときの株価よりもずっと安くなるのを待っているうちに買いそびれるか、そうでなければ、ほんとうに安くなっても、もっと下がるのではないかという恐れから結局は手を出せずに終わってしまうかのどちらかなのです。
(Chapter6 いつ売るべきか)









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