フィッシャーの「超」成長株投資(Chapter8 賢い投資家になるための5don’t)

フィリップ・A. フィッシャー (著), 高田 有現 (翻訳), 武田 浩美 (翻訳) 2000年10月1日


○ Point1 設立まもない会社の株を買ってはならない
 投資の観点からいうと、①営業活動を始めてから少なくとも2~3年は経過し、 ②既在の企業とはまったく違った分野で利益が出始めてから1年以上が経過している企業でなければ、投資対象としての基本的な要件を満たしていないと考えるべきでしょう。これは、年間の売上げが100万ドルに満たない小さな会社も含めて、あらゆる企業に当てはまる原則だとわたしは考えています。企業としての基盤が確立された会社では、あらゆる事業分野で必要な条件がすでに整い、それぞれが十分に機能しています。投資家はその企業の製品、売上げ、経費、経営陣の協調体制など、会社運営のあらゆる側面を自分の眼で見ることもできますし、それらさまざまな側面でその企業がもつ強みや弱みを常に観察する立場にある人たちの意見を聞くこともできることでしょう。しかし、経営基盤が確立されていない新しい会社となると、将来の設計図を頼りに問題点や評価すべき点を推測するしかありません。これははるかに難しい作業になりますから、誤った結論を下してしまう可能性が極めて高くなります。

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 経営基盤の確立した企業のなかにも素晴らしい投資のチャンスは十分にあるのですから、一般の個人投資家は、それがどれだけ魅力的に思えても、設立まもない企業には決して投資をしないと決めるべきです。
(Chapter8 賢い投資家になるための5don‘t)

○ Point3 アニュアル・レポートの書き方が気に入ったというだけの理由で株を買ってはならない。
 アニュアル・レポートの書き方は、決算報告書が当期純利益を正確に伝えているのと同様に経営者の哲学や主義や目標を明確に表現している場合もあるでしょうが、しかし一方で、会社のイメージづくりを担当する広報部の技術が少しばかり過剰に働いている場合もあるのです。
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 買うべき株を決める際にレポート全体の言葉使いや印象に動かされるというのは、広告看板の魅力的な宣伝文句に影響されて物を買うのと同じようなものです。その製品は実際に広告と同じだけ魅力的なものかもしれません。しかしそうではないかもしれません。値段の安い商品なら、実際に買ってみてほんとうの良し悪しを確かめればよいのですから、このような買い方にも意味があります。しかし、株を衝動買いできるほどの金持ちはほとんどいないはずです。最近のアニュアル・レポートの多くは株主に好感を与えようとしてつくられていることを忘れてはなりません。レポートの向こう側に隠された事実こそが投資家にとっては重要なのです。
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 レポートから受けた印象が悪かったからという理由で、その企業を投資対象から外してしまってもよいのでしょうか。普通はそうすべきではありません。というのも、繰り返しになりますが、レポートの印象で企業を判断するというのは、外側を包むきれいな包装紙で箱の中身を評価するようなものだからです。
(Chapter8 賢い投資家になるための5don‘t)

○ Point5 ちょっとした値段の違いにこだわってはならない
 いろいろな問題点を明確に論じるために、ここまで架空の例を挙げてきましたが、この項では実例を使うことにします。20年ほど前、さまざまな面で優れた投資の腕前を見せていたひとりの紳士がニューヨーク証券取引所に上場している株を100株買おうと考えました。買い付けを決めた日、その株の終値は35.5ドルでした。翌日も同じ値段です。しかしこの紳士は35.5ドルで買おうとはしませんでした。50ドルを節約したいと考え、35ドルで指値をし、それを変えようとしませんでした。結局その株は、その後一度たりとも35ドルまで降りてくることはなく、25年が経過した現在でも、依然として輝くほどの成長性を将来にわたってうかがわせています。25年のあいだに配当が支払われ、さらには何度も株式分割が行われた上で、現在では500ドルを超える株価で取引されています。

 つまりこの投資家は、わずか50ドルにこだわったがために、少なく見積もっても46,500ドルの利益を取り損ねたのです。
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 200株や300株といった単位で買っていく小規模投資家にとって、守るべきルールは極めて単純です。もしそれがほんとうに良い株で、しかも現在の株価がかなり安いと思えるならば、「成り行き」で買うことです。1/8ドルとか、1/4ドル、1/2ドルといった程度であれば、余分に支払っても、この株を買い逃して取り損ねる利益に比べれば何ほどのものでもありません。長期にわたってそれだけの成長を見込める株でなければ、投資家たるもの、そもそも最初から株など買うべきではない、とわたしは信じます。
(Chapter8 賢い投資家になるための5don‘t)









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