フィッシャーの「超」成長株投資(Chapter10 徹底的に絞り込む - わたしの経験)

フィリップ・A. フィッシャー (著), 高田 有現 (翻訳), 武田 浩美 (翻訳) 2000年10月1日


○ はじめに
 その企業が異常なほどの売上げ成長を実現できるような事業を展開しているか、もしくはそのような方向に向かっているかということ。もうひとつは、その事業が、市場規模の拡大につれて新規事業者がやすやすと参入し先行企業の利益を簡単に奪ってしまえるような性質のものなのかどうかという点です。もし事業の性質上、新規参入を阻む方法がないに等しいのであれば、実際に売上げの成長が見られていても、投資価値はかなり低いということになるかもしれません。

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 率直に言って、もしも必要な情報を十分に手に入れることができないのなら、その企業の調査は諦めて別な企業の「聞き込み」を始めるべきだと思います。投資先の候補のなかに調べのつかないものがいくつかあったとしても、投資で大金を手にすることはできるのです。実際に資金を投ずることになる企業はいくつかに絞られるのですから、必要なのは、その数少ない企業をどこまであまりにも限られていて、調べきれないことを数多く出てきそうなら、その企業のことは忘れて、別な企業に目を向けるのが賢いやり方ではないでしょうか。

 しかし、かなりのことが調べられそうな場合には、次のように調査を進めます。まず、知り合いや、すぐに知り合いになれそうな人のところに片っ端から訪ねていき、そのなかから、何でも話してくれるように仕向けられればこちらの知りたいことを完全に明らかにしてくれるだろうと思える人を1人か2人に絞って目星をつけておきます。これまで面識のない相手であれば、いきなり押しかけて質問をしてはいけません。たいていの人は、自分が仕事をしている業界の話をするのは楽しいと感じるものですが、しかし初対面の相手には、顧客や競争相手や納入業者の強みや弱みについて自分が感じていることを包み隠しなく話そうとはしないものです。そんなとき、わたしは会おうとする相手が取引をしている銀行を見つけ出します。こちらのことを知っている銀行員のところに出向き、会いたい相手のことと会いたい理由とを率直に話せば、たいていは驚くほど親切に手助けをしてくれます - ただし、あまり頻繁に世話を頼むと嫌がられるでしょうけど。取引銀行から紹介されて会いに行くと、たいていの人は驚くほど協力的に話をしてくれます。もちろん銀行からこのような手助けをしてもらうためには、こちらが情報を求めるのは投資先を決めるための判断材料を手に入れることだけが目的であって、中傷にもなりかねないような情報の出所を漏らして紹介先を困らせるつもりは決してないのだということを銀行側に完全に納得してもらうことが必要です。この点さえ守れば、この段階で調査が完全に行き詰っているような場合でも、銀行の力を借りて、必要な情報を必要なだけ手に入れられるよになるかもしれません。

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 ここで、これまで述べてきた手順を要約することにしましょう。第一歩は、調査すべき手順を要約することにしましょう。業界の友人から得たヒントをもとに選んだ企業がおよそ5分の1を占め、少数の優秀な投資家が奨める魅力的な企業のなかから選び出したものが5分の4を占めます。こうして候補を選び出すのは、端的に言えば、どの企業に調査の時間をかけ、どの企業を無視すべきかを手早く判断していく作業です。それからSECの資料にある2~3の重要な項目を必要な点に絞って調べた後で、その企業が15ポイントで示した基準にどれだけ近づいているかを調べあげるために、意欲的に「聞き込み」調査を行います。この段階で、候補が次々とふるい落とされていきます。並の企業でしかないという証拠が積み上がって候補からはずれるものもありますし、細かく調べるだけの価値があるかどうか自信をもって判断するだけの証拠が集まらないために除外されるものもあります。魅力的な投資先であることを示すようなデータがたくさん手に入り、最終的に経営者との接触にまで至るケースは、ほんとうに稀にしかありません。そうして経営陣と会ったあとで、事前の予測に対して期待通どおりの裏付けが十分に得られ、問題に感じていた点について納得のいく説明を受けて不安が解消されれば、それでようやく、これまでの長い努力が報われるかもしれないと感じられる地点に達することになるのです。

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 年間に1万ドルもの大金を注ぎ込むに値するような活動が、株式投資の他にあるでしょうか。しかも、その1万ドルを10年のあいだに(そのあいだ、経営者が依然として高い能力を発揮しいていることを時おり確認するだけで)4万ドルから15万ドルの資産価値を持つものに育ててくれるような経済活動が株式投資の他にあるかどうか考えてみてください。これは成長株の選択に成功した人に与えられる報酬なのです。
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 この章で述べたのと似たようなやり方を使って、本書の15ポイントを十分に満たしていながらも株式市場からそれに見合った評価を受けていない企業が見つかれば、それこそが大きな資産を築いてくれる最高の成長株なのです。これはわたしの過去の実績がはっきり証明しています。しかし、楽をしていては見つけられませんし、毎日見つかるわけでもありません。
(Chapter10 徹底的に絞り込む)









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