決算書がみるみる読める本―できる人は数字がわかる!(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

成田 青央 (著) 2006年2月


○ 強く賢いリーダーになるなら!!−損益計算書はとってもシンプル!
 損益計算書の中身は単純なのです。つまり、1年間の売上(収益)から、経費(費用)を引いて、最終的な利益を算出しているだけです。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 収益と利益のちょっとした誤解を解く−損益計算書はとってもシンプル!
 収益とは、「どれだけ稼いだか」という意味で、おもに売上高や営業外利益(本来の業務以外での収入)を指します。一方、利益とは、「いくら儲けたか」ということで、収益から経費を差し引いた残りを意味します。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ なみはともあれ利益を出したい!~利益の内容に注目~−人生いろいろ、利益もいろいろ
 ごく普通の経営者なら、決算を黒字にするため、血の滲むような努力をしています。それでも赤字になるようだったら、電卓を片手に知恵を絞り、黒くする方法を考えます。また、黒字があまりに大きかった場合も大変で、税金対策に頭を悩ませます。どっちに転んでも経営者は大変。
 ・ 売上総利益:営業能力や生産能力の成績
 ・ 営業利益:営業活動の成績
 ・ 経常利益:通常経営の総合成績
 ・ 当期純利益:今期の総合成績
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 「強い」と「儲かる」の違い−強い会社と儲かる会社
 「強い会社」というのは、資金運用が上手で、資金がたっぷりある会社を言います。一方、「弱い会社」は、借金に依存して、利益が少なく、投資のウマミもありません。
 「儲かる会社」というのは、経営が上手で、コスト管理などの内部努力がしっかりしている会社です。一方、「危ない会社」は、社内管理ができておらず、勢い任せで、利益の上下動が激しい会社です。タイミングさえ合えば投資効果は絶大ですが、リスクも多大というわけですね。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 損益分岐点からも会社体質がわかる!−強い会社と儲かる会社
 損益分岐点を簡単に言うと、どれだけ売り上げれば黒字になるのかの限界点です。もし損益分岐点より売上高が下がれば、赤字になるという予想が立ちます。
 企業が利益を出すには、まず売上高を上げる、そして社内経費を抑えることが肝心になります。そこで損益分岐点が低いということは、少ない売上でも利益が出ることになり、不況に強い「利益体質」を確立していることになるのです。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ まずは利益のクセを知る−利益から会社の成長力を読み取ろう
 たとえば伸び盛りの企業でも、必ず利益が増え続けるわけではありません。新商品開発や事業拡大のために、設備投資や人材採用を行えば、費用が増えて、利益が減ります。しかし合理的な理由がある限り、この企業はシロ(健全)であると分かります。
 ところが、利益や元手(自己資本)の少ない企業では、設備投資をするとき、借金などに頼ります。適切な範囲であればいいのですけど、バブル期のように、ひょいひょいと買い物をしたために、支払利子が巨額になって利益を食い潰すことも多いのです。こちらは明らかにクロ(そうは言っても赤字ですけど)。とはいえ、赤字にならないよう、買いこんだ株式や不動産を叩き売ってしまうでしょう。そうして最終的には利益をクロくしますが、経営実態はひどいものです。この場合は、ほかの経費の増え方もチェックする必要があります(たとえば交際費、寄付金、リベートなどの怪しい科目)。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 在庫をチェック!商品の売れ行きからドタバタが見えてくる−在庫と割引手形で支払い能力チェック!
 売上総利益の中身は、1年間の売上高から売上原価を引いたものでした。この売上原価は、もっと細かいもので構成されています。簡単にいうと、「期首在庫(去年の売れ残り)」に「今期の仕入高」を足したものから、「期末の在庫(今年の売れ残り)」を引いたものです(期末の売れ残りを差引くのは、今年の売上には関係していないからです)。
 ここで注目すべきは期首在庫です。数年分の資料があれば、見比べてみてください(電卓は不要)。最近、なんだか利益が減少傾向にあると思ったら、毎年の期首在庫が増えていませんか。これは商品の陳腐化(時代遅れや人気の低迷)や、管理の悪さによる劣化が原因で、どんどん積み重なっているのでしょう。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 手形取引の光と闇−在庫と割引手形で支払い能力チェック!
 約束手形はいつ現金化できるかです。業界の慣習などによっても違いますが、およそ90日から135日ほどです。もし、この間に巨額の支払があったら大変。受取手形や売掛金が十分にあったとしても、権利だけではどうにもなりません。この受け取りと支払のズレが、「勘定合っても銭足らず」の原因になるのです。
 知識のある方は、「だったら手形を割引いて現金にすればいい」と思われるでしょう。事実、多くの企業は、資金繰りに余裕を持たせるため(あるいは銀行とのお付き合いを兼ねて)、一部の手形を割引に回しています。
 損益計算書では、営業外費用で割引料(もしくは支払利息)として計上されていますが、ここがピョンと飛び跳ねていたら、何かあったと思えます。もしくは、同業他社と比べて普段から高めになっている企業は、売上能力や経営能力に問題があると言えます。つまり資金繰りが悪化して、借金や手形割引に依存しているのです。
 売上総利益や営業利益が高くとも、経常利益がいやに減っていると、こんな金欠病まで透けて見えてきます。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 心理と数字のおかしな不一致−労働分配率の活用方法
 付加価値とは、仕入れた商品に、独自の加工やアイデアを加えて生み出した価値の増加部分です。これを簡単に言うと、100円で仕入れたものを300円で売ったとき、差額の200円が付加価値になります。つまりこれこそが企業活動と利益を支えている根幹です。
 付加価値を生み出す源泉は、十分な設備や職場環境のほか、社員ひとりひとりの才能・情報・アイデア・技術の研鑚にあります。そこで付加価値の効率がいい企業ほど、元気があると見えてきます。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ よく聞くけど、いまひとつ分からない減価償却費−減価償却費は費用なのに利益になる?
 企業の経営者というものは、決算が赤字だろうが黒字だろうが、悩みのタネは尽きません。赤字だったら「株主総会や記者会見に出るのが怖い」、黒字であっても「このままでは税金でガッポリ持ってゆかれる・・・」。
 このとき、決算書の裏側で、ヒッソリ暗躍しているのが減価償却費です。実はこの勘定科目、計上しても、しなくてもいいと言ったら驚きますか?つまり、減価償却費には姿かたちがない幽霊のようなものなのです。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ これが減価償却費の基本−減価償却費は費用なのに利益になる?
 減価償却費は、備品や機械など、購入した固定資産にくっつく形で毎年発生します。
 固定資産を買って場合、経費で落とす金額を、毎年定率(もしくは定額)で処理すると便利です。これを「償却する」といいます。
 減価償却のやり方は、税法に規定されています。まず購入した固定資産の耐用年数を一覧表で調べます。たとえば耐用年数が10年の資産を買った場合、毎年1回、10年かけて一定額を償却(経費として計上)します。
 償却できるものにもルールがあって、買ったけど使っていない機械や、使っても価値が減らない土地などは対象になりません。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 減価償却で儲けが増える?−減価償却費は費用なのに利益になる?
 黒字が多い企業なら、減価償却を過大にして利益を減らし、税金の支払を免れるという手法が生まれます。どの資産を、どれだけ償却するかについては、税法で細かく決められていますが、実務面では、企業に選択や評価の余地があるので、調整に使われやすいのです。
 減価償却の数字が飛び跳ねていたり、評価ルールを変えた企業は、その理由を要チェックです(たとえば定率法→定額法に変更)。赤字隠しに使ったのかもしれません。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 引当金とはなんぞや−引当金科目と税務対策の関係
 決算書では、「引当金」という名目の費用がお目見えします。貸倒のほか、あなたも興味があるであろう賞与引当金(ボーナスの原資)、退職金引当金などがあります。
 これら引当金は、あらかじめ出費や負担が見込まれるものですが、具体的な数字までは予測不能です。たとえば貸倒など、いつ、どのくらい発生するのか見込めませんが、常識的に考えても、回収不能になるケースはどうしたって発生します。企業はそれに備えるべきであるし、税法もその分だけは「必要経費」として課税対象からか外すようにしています。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ 知ってるとちょと鼻たかだか?ROAとは−ROAは難しくない!
 ROA(Return On Asset)とは、総資産経常利益率を意味します。
  ・ROA(%) = 経常利益 ÷ 総資産 × 100
 ROAの分析ポイントは、経常利益を使うことにあります。営業利益は売上に直結する営業活動の成績ですが、経常利益は本業以外の財産運用も含めた経営活動全体の成績でした。
 そこでROAで算出された数値は、一般に「企業の総合力を示す総括的な指標」とされています。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )

○ とにかく損益分岐点の使い方を知りたい!−よくわかる損益分岐点
 ディスカウントストアでは、固定費(賃料や人件費)がとても低い位置にあります。でも変動費(仕入れ、運送費など)は、売上の直線と似たような急勾配です。つまり、売上をあげるほど変動費(仕入れコスト)もたくさんかかるので、とにかく多く売らないと儲けがでません。しかも売上が損益分岐点を超えても、儲けはそんなにでません。薄利多売というわけですね。
 一方、人材派遣業は、固定費の水準がいやに高いですが(おもに派遣労働者への報酬ですね)、売上に対する変動費の傾きはかなり緩やかです(物の仕入れは必要ないですから)。こうした高固定費の企業は、売上が損益分岐点を超えると儲けも急上昇する特徴がありますけど、下回れば一気に大赤字に転落です。すると一気に人員削減となります。
(第3章 これが会社の成績表(損益計算書) )








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